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去る者追わず、だが先は見えず
「えっ、ギルドを辞める?」
ギルド近くの酒場で俺は一緒に飲んでいた同期の言葉に驚いた。
「あぁ、依頼も減ってきてそろそろ潮時じゃないか、て思ってな」
「そうか……、寂しくなるな」
止める理由なんて無い、続けるか否かは本人が決める事だ。
「それで……、次の仕事は決まっているのか?」
「あぁ、王立騎士団が募集をかけていてな、先日面接を受けてきて採用されたんだ」
「騎士団だったら国の仕事だし潰れる事も無いだろうし安心だろうな」
因みに募集広告をチラッと見たが募集していたのは魔王を倒した勇者パーティーの一員である戦士が部隊長を務める新規部隊で主に20代を集めていた。
……うん、俺は箸にも棒にもかからなかった。
ていうか、魔王倒していきなり騎士団の部隊長になれるなんて、やっぱり功績をあげるのが凄いと思うし納得もある、だがそれと同時にそんな明らかに新設した部隊が上手くいくかどうか、という疚しい気持ちもあったりする。
「ロイも体が動くうちに決めといた方が良いぞ。 動けるうちが花だからな」
「そうだな……」
言われなくてもわかってる、でも選択肢が無いのだ。
だから、地べたを這いずり回ってでも冒険者を続けていくしかない。
その日、飲んだ酒は同期の未来への祝いと自分の将来の不安である意味忘れられない味だった。




