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夜空の渡り人  作者: 澪露
白龍の愛し子編
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キヨの備忘録


「ここは…書斎かな?

黒龍の事とかわかればいいんだけど…」


引き戸を閉めた凛桜はその部屋を見回して呟く


暖かい光に照らされたその小さな空間には

整然と置かれている沢山の書物で溢れていた



ふと、壁際にある机に目を向ける凛桜



「……なんだろ?」


何か…あの書物から感じる……



凛桜は机の前に座り、その書物へ手を伸ばす


その瞬間、書物は柔らかい光を放ち

文字の黒い線たちがゆっくりと形を変えていった



「……すご…。」



触れるだけでその人の妖力を使い、文字を変形させる術。初めて見たし、到底真似できる代物ではない。


祭壇や引き戸の件を含めても、

相当妖力の扱いが上手な人だった事は理解できた。


「そんな人が遺したもの…」


凛桜はゆっくりとその書物をめくった



――――



「ふぅ……。」


凛桜は日記から目を離し、上を向いて息を吐く



この日記は先代の愛し子であるキヨが次代の愛し子、

つまり私の為に書いた備忘録のようなものだった。



キヨは16歳まで海神を祀る神社で巫女として仕えていた、神事の最中に波にのまれるまでは…


その波の中で白龍から例のお告げを受けたそうだ。


「……そこから4年で黒龍と対峙したのか。」


その3年間はキヨにとって苦しくも楽しい日々だったみたいだ。

想い人の与介よすけと駆け落ちし、

この里に来て息子である与一よいちに恵まれた。

人魚の里での一時はとても穏やかで幸せなものだったのだろう。キヨの書き方からもそれがよくわかる。


そしてその気持ちと同じくらい葛藤も記されていた。

愛する子供を置いて旅に出る選択…


"私では黒龍を止めることしか出来ない。

贄としてこの身を捧げる他ないのだ。"


淡々と書かれているが、その後は長々と自身の運命を呪うような言葉が綴られていた。



「最期に見る景色はきっと私にとって不幸せなものだろう……か。」



愛する人達を置いて自ら死に向かう…辛く悲しい選択をするしかなかったキヨは一体どんな気持ちで黒龍の元へと向かったのだろうか…


そして自分は同じ状況になった時何を思うのか。



凛桜は静かにページをめくった



"次代の愛し子へ

私は力及ばず、この身をもって黒龍を封じるだろう。

仲間を集めなさい。周りを頼りなさい。

貴方ならば必ずや全てを救えるだろう。

白龍の元で見守っている。"



凛桜は震える唇を手で抑える



キヨで力及ばず……?なら私はどうだ?

術の使い方はキヨと比べられるレベルではないし、

ましてや白龍の言葉など聞こえたこともない。



キヨは白龍の愛し子として私よりも強い


それは一目瞭然だ。


そんなキヨでも勝てない相手に私はこれから挑むのか…



「………最悪だ…」



凛桜は滲む視界からそっと目を逸らした



キヨの遺した記録でさらに絶望に突き落とされた凛桜。

これからどうするのか…引き続きよろしくお願いいたします!

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