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元最強勇者が転生したようです。  作者: ひつじ
序章 元最強勇者、転生
8/8

強欲の罪

「当たるわけにはいかないな」



 私でも、これに当たれば、いや、擦りでもしたらやられるだろう。



 幸いなことに、"奴"の手は追尾しないようで、かわすことは容易だった。しかし、次から次へと繰り出されるその攻撃は、避けることにのみ集中していれば近づけないほどだった。



「一か八か、魔法を放つしか、倒す手立ては無さそうだな。これは」




 "奴"に向け構える。"奴"も私が立ち止まって良い的だと言わんばかりに手を放つ。



「来い」



 "奴"に向け渾身の力で放つ魔法。

 それは昔、父に教えてもらった中で一番好きだった魔法。



浄化の獄炎ピュファケイションフレア



 いくつもの紫炎(しえん)が"奴"を包む。しかし、"奴"はその手で全てを消した。



 まったく、驚いた 浄化の獄炎ピュファケイションフレア不消(ふしょう)の炎、第十階の高位魔法。それをそんな簡単に消すことができる。



 こいつは強い。そう確信できた



 その攻撃を受けた、いや、吸収したのだ。"奴"は私の攻撃を。それと同時に姿が変わった。"奴"の姿は人の()()似ていた。以前に一度見たことがある姿、




  【七つの大罪の一人】




  【強欲の罪 マモン】




 それが、奴の真の姿だった。



「この姿は久しい」



 その化物は先ほどと異なり、流暢だ



「会うのは初めて、ですね。話は最終戦争(アルマゲドン)の時に聞いています」



 最終戦争(アルマゲドン)大国アーレスと七つの大罪の3人が戦った戦争だ。



最終戦争(アルマゲドン)の事は我々もあなたに感謝をしています。魔王を倒し、降伏せざるを得なくしたのですからね」



 地面に足を付けたと同時に無数の手を放つ。しかし先ほどより数倍大きく、その数も100は下らない数だ。



強欲の罪(シン オブ グリード)


 

 その声と共に、その手は色を黒く染めた。その禍々しい瘴気は、当てられるだけで気絶してしまいそうになるほどだ。



 このままではやられる。そう思った時だった



 目の前まで迫った手が一瞬にして消えた。

 否、マモンが手を消したのだった。



「つまらない。本来の力がない貴様は奪う価値はない。」



 興が冷めた。と、呆れた様な顔で言う



「次は一月後に来ることにしよう。それまでに力を戻しておくといい。そうしなければ……そうですねぇ。貴様の大切なものを"全て"奪って差し上げます」



 と、それだけを言い残し、煙を身に包み消えた。それと同時に何事もなかった様に、穴も塞がり、倒れていた人は全て起きた。



「だ、大丈夫でしたか!」



 駆け寄り、声を掛けるナーク。



「しかし、心配してくれるのはいいが、さっきまで倒れていたのはお前の方なんだぞ」



 ナークもマモンにより倒れた者の1人だった。



「わ、わかってますけど。七つの大罪のマモンが復活したなんて」



 表情は暗く、声色も強張(こわば)っていた。



「大丈夫。安心しろ。私が守ってやる。お前は心配するな」



 それを聞いてもなお、俯いたままで、


「はい」



 と返した。

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