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第43話ちいさな巨人、夏空を斬る
昭和の片隅、
大和高田駅前の借家暮らし。
風鈴が鳴って、汗が落ちて、
どこか人生も湿っぽい、そんな午後。
現れたのは――身長149センチ。
されど歩けば肩で風を切る、切る、切る。
(85円切手ちゃうで、と自分でツッコむ始末)
誰やねん、その風格。
田中裕二か?
いや、猫ひろしか?
まさかの白木みのる?
……居酒屋ちゃうねん。
おっと、岡村隆史?
それはナイナイ、シャレが過ぎるわ。
彼は近所の有力者に頭を下げ、
ついでに僕の視界にも入ってきた。
まるでドラマの主役気取り――
いやいや、家政夫のミタゾノちゃうねん。
夏祭りの余興、
照りつける太陽に向かって彼は言う。
「暑い、暑いよ」と空を仰ぐ。
――ちゃうやろ。
「見上げてごらん」やろ。
思わず笑う、昭和のボケとツッコミ。
ネクタイを外して、ひとこと。
「長さが一緒や」
(身長と、とは言わんでも分かるがな)
どこからともなく流れるメロディ、
「ちっちゃな頃からちいちゃくて〜」
人生そのものがネタやないか。
そして決め台詞、堂々と。
「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ」
小さな体に、大きな余白。
笑いの隙間に、どこか哀愁。
その名は――
池乃めだか。
昭和は、こういう人間でできていた。




