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昭和に出会った人たち  作者: 妻戸裕次


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第11話あかずの踏切で出会った男

福島天満宮の北隣にあった「喫茶ジャマイカ」。

その店から、ひとりの男が出てきた。


背中にギターを背負い、まるで小林旭みたいな風貌。

けれど頭は鳥の巣みたいにボサボサで、思わず「居酒屋帰りか!」と突っ込みたくなるような格好だった(笑)。


当時の僕はというと、昼休みにパチンコへ行こうかなんて思っていた、のんきな時代。入組してまだ2年目くらいだったかな。


その男がふいに話しかけてきた。

「朝日放送って? 近いですか?」


「ああ、ここから“あの開かずの踏切”を越えてね……」

と、つい余計なことを言いながら(笑)道案内をしてあげた。


それから半年ほど経ったある日、テレビを見ていると――


ギターを抱えた、あの“鳥の巣男”が歌っている。


曲のタイトルは、なんと「あかずの踏切」。


なな、なな、なんと――

あの男は、井上陽水だった。

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