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第十話
人間と魔族が停戦協定を結んだ日、魔王城のホールに、大きなテーブルが運び込まれた。魔王からの停戦の条件は、魔族の親子を痛めつけ、貶めた連中を人間の世界で裁くことだった。こんなことが二度と起こらないように、人間の世界でも、厳しく取り締まることになるらしい。当たり前だ。
テーブルの上に、次々と料理が並べられていく。僕は魔王の隣に座って、食べたことのない料理の数々に目を輝かせた。
「相変わらず食い意地が張っておる」
「食事っていうのは、生活に必要不可欠なものであると同時に、人生を豊かにするものです」
呆れる魔王に、僕はにこやかにこたえた。口の端にヨダレがたまっている。アイリスとトニーは、まだ少し警戒しているのか、あいまいな笑みを浮かべた。
「僕と一緒に食事をしたこと、覚えておいてくださいね」
「……カップ麺はないのか?」
「あ、モツ煮込みもありませんか?」
僕と魔王は顔を見合わせて笑った。二人とも、元いた世界にいつ戻れるのかわからないけれど、そう遠くないうちに、帰ることができるんじゃないかという気がした。
魔王城の窓から見える空に、花火がいくつもあがっていた。
<おわり>




