おまけ②そんなつもりじゃなかった、ならと女はわらう。
雨野ざまぁ回ですが、かなりメンタルにくる内容になっているので、苦手な方は読まないでください。明日から、明神ニヤニヤ回、BBQバトル前後編、二人でお出かけ前後編のハッピーラインナップをお届けし、完全終了予定です!
ただ、おもしろいだろうと思っただけだった。
ご飯屋さんで悪戯する動画を撮るのも。
ただ、ちょっとムカつくからしつけてあげるつもりだった。
朝霞やあの子にちょっかい出すのも。
ほかになんかネットにあげられた色んなことも別にそんなオオゴトにするつもりはなかった。
なのに、された。
みんなに拡散されまくって、あたしの本性はこれだって決めつけられて、外を歩けなくなった。
あたしが誰かにしたことがいっぱいいっぱい撮られてた。
『今の時代、こういうことがあり得るとなんで自覚出来なかった!? みんな、スマホを持ってるんだぞ! そのつもりになれば、いくらでも撮ることなんてできるんだ! バカ者が!』
お父さんはそう言って怒ってたけど、お父さんも実は、死ぬほどパワハラ動画撮られまくってて、そいつらに復讐されたんだから同じだと思う。
お父さんは議員を辞めたし、色々なところにお金のクメンの為に走り回っているみたいだ。お母さんはずっと泣いてる。めっちゃうるさい。
お姉ちゃんは、家を出ていった。
『それがアンタたちのやってきたことなんだよ。しっかり償ってね』
とかなんとか言って出ていった。
お父さんが大嫌いなお姉ちゃんとお姉ちゃんが大嫌いなお父さんだった。
そして、お姉ちゃんは多分あたしも嫌いだった。あたしもお姉ちゃんが嫌いだった。あたしのやること言うことに不満そうなお姉ちゃんが。
妹のみうは、親戚のところに行った。
『なんで!? なんでお姉ちゃんやお父さんのせいで、みうがこんな目に遭わなきゃいけないの! 二人が悪いんじゃん! 二人が謝って捕まって……もうしんでよ!!』
とか言った。ひどい妹だ。
あんなにお姉ちゃんお姉ちゃんってあたしに甘えてたのに。
家を出ていく直前に、あたしの部屋に炭酸のペットボトルを思い切り投げ込んできた。めっちゃ破裂してぐちゃぐちゃになった。お母さんは掃除してくれなくなったから、自分でやったけどべとべとのままだし、色々こわれた。
学校は転校したけど、行かなくなった。初日でウザいのに絡まれまくったから。
外にも出てない。朝霞の身体を堪能するつもりだったのにケーサツに連れてかれたショウ達があたしに復讐しようとしてるって知ったから。アイツらわたしにハメられたって思ってるから。
ずっと、天井かネットを見てる。
スマホは電源を切った。広まりまくったあたしの番号にみんながいっぱい『しね!』とか『ごみ』とか言ってくるから。あたしのいじめじゃないやつもあたしのせいとか言ってくるやつもいるから。
ネットを見ればいっぱい悪いやついるのに。
いじめて嗤ってるやつ、迷惑動画撮って調子こいてるやつ、悪口いっぱい言ってるやつ、いっぱいいっぱいいっぱい悪い奴はいるのに。あたしだけ、こんな目に。
いや、
絶対お前らもいつか地獄に落ちるからな。誰かがお前の言ったことやったことを記録に残してるからな。お前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前もお前も!
全員言うんだ! 『そんなつもりじゃなかったんですう~』って!
ばああああああああああああああか!
てめえらもみんな、地獄行きだよ!!!!!
怒ったらおなかが減る。
下におりて、泣いてるお母さんを無視してカップ麺を食べる。
最近はずっと宅配のカップ麺。そういえば、宅配のお兄さんもニヤニヤしながら『大変っすね~』とか言ってきた。その持ってきた箱へこましてアイツのせいにして文句言ってやろうかと思った。それ以来置き配にした。置き配にしたら結構な割合で悪戯されるから急いで回収するようにした。
カップ麺はおいしいけど、ダルい。なんか、ダルい。
ドーナツ屋とか行きたい。一緒に行くやつももういないけど。
「なんで……こんなことに……」
じわっと涙が出てきた。その時だった。
「あんたのせいでしょうが!」
ガラスが割れるような音がしたと思ったらお母さんが叫んでた。
「ああああああんたのせいで! 全部全部めちゃくちゃよ! ああああんたのせいで! あ、あ、ああぁあああああああ……! あんたなんか生まなきゃ……! あんたなんか! しねばいいのに!」
全然呂律が回ってない。ウケる。
「生んだのはあんただし、育てたのもあんたとお父さんじゃん。人のせいばっかにすんなよ。てめえがしね」
あたしがそう言うとソイツはもう何も言えなくてまた泣き出す。ガチでウザい。勝てない口喧嘩してくんじゃねーよ。あたしはめんどいので部屋に戻る。あたまがくらくらしながら階段を上る。さっさと部屋に入って、横になろう……。そう思った時だった。
風が吹いた。
閉め切ってたはずの部屋から。男が、いた。髪もボサボサで服もぐちゃぐちゃの、大川だった。
「お、おかわ……?」
「あはははははは! ひ、ひさしぶりだなあ! あ、あまの! おまえ、おまえのせいでオレは……オレはそんなつもりじゃなかったのに、オレはただただただあさかを、あさかをぉおおおお!」
大川は完全にイカれてヤバい人間になってた。だって、二階なのに外から登ってきてて、窓割ってて、バットを持ってて……完全にイカれてる! さっきのガラスが割れた音はコイツがやったんだ!!
「ねえ、やめてよ。ちがうちがうちがうんだって……! あたしだってそんなつもりじゃ……」
「うるせえ! またオレをおどすつもりだろ! もうしたがわねーぞ! オレは正義のミカタになって、オレはあさかをすくうんだぁああああああああああ!」
ガチで意味不明なこと言って襲い掛かってくる大川。頭がおかしい! メンタル弱すぎだろ! くるってんじゃねえよ!
「あ、あ、ああああああああああああああ! くんな! くんなよ! カス! カス!」
「……! また、オレに悪口言ったなぁあああああああ!」
ただでさえ妹のせいでぐっちゃぐちゃな部屋が大川のせいでもっとぐちゃぐちゃに。
もうやだもうやだもうやだ! なんであたしがこんな目に! 最悪最悪最悪!
とっとと勝手にイカれてしねよ! 変態性癖野郎が!
だけど、大川はギョロギョロの目であたしを離さない。そして、思い切りバットをアタシの目の前で振り上げて……。
気づけば、目の前が真っ赤だった。体中がいたい。何が起きたのかもどのくらいじかんがたったのかも確認できない。起き上がれない。
そして、遠くで大川とあの女が叫びあってた。
「なんでこんなことを!? なんでこんなひどいことを娘に出来るの!?」
「ち、ちがうんです……! た、ただ、ぼ、ぼくは雨野さんに謝ってほしくて……」
二人とも、さっきまで言ってたことと違うじゃん。ああ、誰か録画でも録音でもしてくれてたらなあ。そしたら、言うんだよ。二人とも、
『そんなつもりじゃなかった』って。
そんなつもりじゃないなら、言うんじゃねえよ。やるんじゃねえよ。
ばあか。
割れた窓から空が見えた。曇り空なのに太陽の光がウザいくらい眩しくて、あたしは目を閉じた。
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