第65話 少年と武闘派
「つばきちゃん、ごめんねぇ……」
つばきちゃんが守ってくれた、何もできなかった……。
「いいのよ」
「な、何なのあいつっ! あんな危ないやつに追われてるなんてっ!」
離れていたキラちゃんが執事に向かって叫ぶ。
ルナたんもありがとう。
「……彼奴は悪夢。我々をしつこく追ってくる吸血鬼です。何人もの仲間が奴に……」
吸血鬼!? 幽霊じゃなかったんだ……。
確かに黒いマントに黒い髪、ちょっとかっこいい顔に赤い目、どれも吸血鬼っぽかったけど。
「……知ってたのね、あいつがくるって」
「……左様でございます。しかしこんなに早く来るとは思いもしませんでした」
ナイトメア、あんなやつからめぐちゃんたちを守るってこと!?
そんな……。
「奴は椿様に対し、『顔を覚えた』と言っていました。つまり――」
「第1夫人様もやつに狙われることとなってしまった。誠に申し訳ございません」
――そうだっ!
つばきちゃんは絶対に守らなきゃっ!
「僕っ! もっと強くなるよ!」
「……ええ。どうやらレイ様は戦いには不慣れな様子。幸いそれについては『聖騎士』が指南することが可能でしょう」
おぉっ!
これで僕も武闘派とやらに……!
けど……できるかな、僕に……。
「な、何だかすごい話になっちゃったね……」
「お嬢様も他人事じゃありませんよ? ほら、元気づけて差し上げたらどうですか?」
「……」
キラちゃんも守るよっ!
きっとキラちゃんのことも覚えられただろうし。
「……頑張ってねっ!」
「ふわっ」
いつもと違うような笑顔で頭をなでなで……。
「……頑張るよっ!」
「うんっ!」
もぅ何も……怖くないっ!
「ではでは、明日からしばらくこの地にて特訓を行いましょう。よろしいですね?」
「よしっ! 今なら何が来ても滅ぼせるがするよ!」
早く来ないかな、ナイトメア!
「明日かー……私ちょっと用事があって来れないなぁ~」
「樹利亜様――祖母様のお誕生日会ですね。ご家族だけでのお祝いとのことですので、絶対に来るようにと言われていました」
そっかぁー、キラちゃんは来れないのか……。
「でも大丈夫ですよ、お嬢様と私の心はいつだってあなたとともに在りますから」
「ちょっ、ちょっとぉ~……は、恥ずかしいってっ! あはは……」
「うんっ! キラちゃんたちがいるから僕は頑張れるよっ!」
もちろんつばきちゃんもっ!
「(……将来浮気しないかそれだけが心配……)」
「(私からしたらあなたたちこそが浮気相手だけれど?)」
何だかつばきちゃんたちがこそこそ話をしてる!
「ふふ……青春、ですなぁ」
「……せいしゅん……?」
「めぐは……知らなくていいことだよ」
その後、『聖騎士』に戦いの心得やちょっとした訓練をして今日は帰ることに。
ちょっと強くなった気がしたよっ!
▼▼▼
「ふふ、ここまでは計画通りですな」
「……」
「計画……くくっ、はハハ……ワァーッハッハッハッ! 計画通リッ! 我ガ主ヨッ! 計画通リデスヨォォォオッ! アーッハッハッハァッ!!!」
お読みくださりありがとうございます!
頭をなでなでだけで何でも滅ぼせる系主人公。




