第38話 少年とかけがえのない存在(たち)
「……」
警察の事情聴取やらなんやら……いろんなことを終えたときには、既に真夜中だった。
「……軽率、だったわね」
「ごめんなさいっ」
恭子さんに叱られているとこ。
「私がよ……いえ、配信者のコメントに釣られて行ってしまったのは、本当に軽率だったわね」
「はいっ、本当に……」
「けどっ! 本当に……あなたたちが無事でよかった……」
泣きながらつばきちゃんたちを抱きしめる恭子さん。
「ごべんなさぁぃ~……うわぁぁぁんっ!」
「……ごめん、なさい」
「私こそごめんなさいっ! もっと気を付けてあげればよかった……!」
……。
……。
……。
「さて、明日からは私と一緒に行動するようにね」
「……でもっ!」
「……わかったわ」
キラちゃんが反対しようとし、つばきちゃんが受け入れる。
「つーちゃんっ!? だって活動は続けないとレイくんがっ!」
「輝蘭羅さん、ありがとう。けれど、もうあなたとの活動はこれでおしまい」
「――えっ!?」
そうだ。
つばきちゃんもキラちゃんも、もとはと言えば僕のために危険な目にあったんだから。
「そもそもここまで危ない目にあったのは、私たちが巻き込んだせい。本当にごめんなさい」
「……」
「だから、こんな形になってしまって申し訳ないけど――」
「……とに……」
2人のことを思えば、僕のことなんてどうでもいい。
危ない目に合わせてまでやりたいとは思わない。
「本当に、そう思ってるのっ!?」
「えぇ」
「――っ!」
――パシン。
乾いた音が、部屋に響く。
「私だって! 私だってレイくんのために何かしたいって思ってるのにっ!」
「……」
「巻き込んだなんて……他人事みたいに言わないで!」
他人事だなんて……そんなこと、僕もつばきちゃんも思ってない。
けど、これ以上は……。
「だけれど、そもそもあなたには――」
「関係あるっ! どっちが先かなんて関係ないっ! 私はっ!」
知ってる、知ってるよぉ……。
キラちゃんが僕のために夜遅くまで調べ物したり、行先を考えてくれたり……っ!
関係ないなんて、本当は言いたくない!
「――っ、そ、それでも……あなたには……」
「私は――わたし、は……!」
「……あなたを、失いたくないの」
つばきちゃん……。
「大切な人を失うのはもう嫌!」
「つーちゃん……」
「レイくんを失った時っ! 本当に苦しかったっ! 死にたかった! あんな思いをするのなんてもう嫌っ!」
「……」
「だから……わかって?」
つばきちゃんが、誰かのことをこう言うのなんて見たことも聞いたこともない。
それだけ、キラちゃんのことが大切だから……。
「……わかった」
「……ありがとう」
少しだけ、寂しそうに――。
「もう危険な目にはあわないっ! 危なそうなことは避ける。簡単に人を信用しない。それから――」
「……輝蘭羅さん?」
「密室になるようなところには男性と行かない。そして――2人とは離れないっ!」
「……輝蘭羅さん!」
キラちゃん……! そうじゃないんだよぉ……!
「……私がいなくても、2人は除霊を続けるんでしょう?」
「それは……」
僕としては、もうこのままの体でいいと思っている。
けど、多分つばきちゃんはそう思っていないだろう。
だから――。
「なら、2人だけを危険な目にはあわせられないよっ! 私にとっても2人は大切なんだからっ!」
「……綺羅、らさん……」
「私にだってできることはきっとあるからっ! だからね……関係ないだなんて、そんな……寂しいこと、言わないでよぉ……ぐすっ」
キラちゃんっ!
「うぅ~……もう、そんなこと言って……知らないんだからっ! ぐすっ」
「つーちゃん、うぅっ……ひっぐ……」
これで……これで良かったんだろうか。
結局、キラちゃんを危険な目にあわせることには変わりないんだから……。
「いいの、いいのよ……」
「恭子さん……」
僕にだけ聞こえるように、そっと涙を流しながら呟く恭子さん。
「娘がかけがえのないものを手に入れられるなら……後は私たちの役目なんだから……」
▼▼▼
――その夜。
例の男たちは警察署内で全員謎の死を遂げた。
お読みくださりありがとうございます!
シリアス展開なのでコメントも迷いましたが、シリアスに行こうと思います。
シリアス(尻a◯s)っていわゆる小泉構文ってやつですよね……。
もう1つ小説を投稿しています。異世界転生モノです。
そちらもよかったらぜひお願いします!




