第十二話
慌てて部屋を飛び出し外に出ると、門前には屋敷中の執事、メイドが既に整列していた。それに倣って俺たちも到着するのを待つ。馬のリズムよく地面を蹴る蹄の音が聞こえてくる。時が進むにつれてその音は大きくなり、遂に門の前に姿を現した。
御者が降りて扉を開けると、父上が出てきた。門へ一歩足を踏み入れると、「おかえりなさいませ」と使用人たちは頭を下げる。俺たちも同じように下げた。
「皆の者、ただいま帰った」
この一言で使用人たちは顔を上げる。父は手に持っていた荷物を預けた。
「父上!」
俺たちは駆け寄った。
「おお、エクスにアルヴァ、元気だったか?」
「はい!あ、でもアルが……」
「何、アルヴァがどうかしたのか?」
父上に問われたので、兄さんと一緒に聖堂で儀式を行ったこと、女神様から神託があったこと、その夜に風邪を引いてしまったことを簡潔に話した。女神様の話をした時は驚いてくれたがその後すぐに神妙な面持ちで聞いていた。
「……そうか、それで適性は?」
「水と土でした」
「そうか、水と土……」
「父上は魔法も扱えますよね?適性はなんだったんですか?」
前々から疑問だったのでこの際質問してみる。
「ああ、俺は水と風だな。もうしばらく使ってないから腕は落ちてるだろうな」
「今度見せてください!」
「ああ、いいぞ。そろそろ鍛え直さないといけないしな」
「そういえば、王都で何かあったんですか?父上が呼ばれるなんて滅多にないですし……」
と、兄さんが質問する。父上は少し悩んでいるようだったが口を開いてくれた。
「お前たちには関係ないことだ。何も心配しなくて良いぞ」
「そうなのですね」
「できるならもっと話を聞きたいが、俺は長旅で少々疲れが出ている。お前たちも話し足りないことがあるだろうが、一度休んでから話でもしよう。そうだな、夕食の時に聞かせておくれ」
「承知しました。ではまた後ほど」
そう言うと、父上は微笑んで屋敷に入って行った。家族が帰ってくるのはやっぱりいいな、なんて、今思えばおじさんみたいなことを思いながら自分も部屋に戻る。机の上にスープが置かれているのを見て、まだ食べてる途中だったのを思い出した。急いで食べねば、と思い椅子に座る。ひたひたに浸かりきったパンをすくいあげ、口の中に入れた。
「ぬるい……」
作者の瑠璃です。
まずは読んでくださりありがとうございます。
この作品はタイトル通り、それぞれの視点で描かれる異世界物語です。魔族サイドのお話もあるのでもしよろしければその作品も読んでいただけると嬉しいです。また不定期投稿なので気長に待っていただければと思います。ブクマ、評価等していただけるとめっちゃ喜びます!!




