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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1547年(天文16年)1月下旬、万里小路頼房、府中探訪記

万里小路頼房は1月末迄の滞在中、出来る限り立花家の領内を巡りました。

熱心に記録を取る几帳面な人柄でした。

1547年(天文16年)1月下旬


府中に滞在していた勅使、万里小路頼房は1月末まで滞在を予定しています。

お気に入りの加賀美利久(立花義秀の三男)に案内させてお忍びで立花家の領内探訪に出掛けました。


「関東に下向するなど二度と無いかもしれぬ、時を無駄にせず、あちこち探訪したいからのぉ。

加賀美殿、本日は鎌倉幕府の軍勢を撃破した分倍河原合戦の現場を観たいのじゃ!」


「承知致しました!分倍河原の古戦場にご案内いたします!」


万里小路頼房、加賀美利久のお忍びには馬10騎、徒歩10名が同行します。

府中城から大國魂神社の脇を通過して府中街道を南下、分倍河原合戦の古戦場に到着、小高い丘の上に分倍河原合戦の記念碑が置かれていました。


「なんと?分倍河原合戦の記念碑?!

おぉ?!戦いの様子が記されてるじゃないか?

両軍の布陣図があるから分かり易いぞ!」


「はい、立花家はこの当時、府中周辺の領地を鎌倉幕府に没収されて窮地にありましたが、9代目当主、立花義久公が新田義貞公の挙兵に合流、僅か6000の軍勢で幕府の大軍に挑みました。

まず最初に久米川の八国山周辺にて30000の幕府を隘路に引き込み撃破致しました。

我が軍勢は散々に追撃して幕府軍を分倍河原まで退却させました!」


「ほほほ!それでここで更に大きな戦いになったのじゃな?」


「はい、鎌倉幕府軍は府中の町に籠もらずに、多摩川沿いの分倍河原に布陣したので、府中の町が焼かれずに済んだ事が幸いにございました!」


「おぉ、そうじゃな、府中の町に籠もられたら灰燼に帰したであろうな?」


「はい、それから鎌倉幕府軍には援軍が来着しており、多摩川の対岸の関戸城周辺に5000の軍勢が密かに布陣しておりました。

分倍河原に布陣した鎌倉幕府軍は退却中に数を減らしておりましたが、20000の軍勢が健在にございました。対する新田義貞公と立花義久公の連合軍は味方が増えましたが10000程の軍勢に御座いました」


「鎌倉幕府軍が25000!新田義貞公と立花義久公の軍勢は半分以下の10000!

不利を承知で戦ったのじゃな?」


「その通りにございます。この時、退却した幕府軍が分倍河原に布陣した理由は鎌倉からの援軍が関戸城に到着した事を知り、新田義貞公と立花義久公の連合軍を引き付けて叩く事を狙っていました。

対岸に控えた援軍が不意討ちすれば勝算が高くなり、幕府側は確実に勝てると考えていたと思われます!」


「ほぉ、それで、あちらの山の上に見えるのが関戸城かな?」


「はい、関戸城にございます。

関戸城の辺りは立花家の領地でしたが、幕府の執権、北条家に奪われていました。

北条家の重税に苦しむ領民や武家衆は立花家に味方しており、幕府側の情報は立花家に筒抜けでございました。」


「ほぉ、加賀美殿!その様な事があったのか、それからどうなるのだ?」


「はい、久米川の戦いの勝利を聞き、北条家に従っていた周辺の領主の5000の軍勢が加わりました。

やがて久米川の戦いの3日後の未明、立花家9代、立花義久公が3000の軍勢を率いて関戸城を夜襲して攻略、周囲に布陣していた幕府軍5000は鎌倉方面に潰走いたしました。

これで分倍河原の幕府軍は退路を断たれ、分倍河原にて新田義貞公と立花義久公の軍勢に挟撃されて壊滅したのでございます!」


「ほほほ!それは見事な戦い振りじゃのぉ、それにしても、戦没者の慰霊碑があるが…敵味方双方を弔っておるじゃないか?」


「はい、両軍で3000の死者が祭られています。

亡くなった兵士達は其々の郷里に守りたい人達が有り、郷里の方々は兵士達が無事に帰還する事を待ち望んでいた筈です。

立花家は其々の正義の為に散った兵士達の魂を慰める為に慰霊碑を建立致しました!」


「守りたい人達…郷里で待つ家族…其々の正義…

そうだな、正義と信じて戦ったのじゃのぉ…

加賀美殿、立花家は死者を平等に扱い為される様じゃな?

おぉ?!更にはお地蔵様が祭られておるじゃないか?

お帽子に、羽織も着せられ、花束に線香まで添えられてる!」


「はい、慰霊碑の傍にお地蔵様の小堂を拵えました。

この辺りの地域の方々が毎日掃除を為されて供養してくださいます。

お地蔵様があると、人々は不思議と世話をしたくなります。お年寄りと小さな子供達が集まり、成仏出来ぬ仏達の魂が寂しがらずに慰められるそうに御座います。お地蔵様には不浄の地を浄める不思議な力があるそうです」


「ほほほ!それは知らなんだ。

良い事を聞きましたなぁ。

都の不浄な場所にお地蔵様を祀るとしようかのぉ…

都の方々に浄めてもらいましょうぞ!」


一同はお地蔵様の前に立ち、祈りを捧げました。

帰り道、万里小路頼房は府中の商店街に立ち寄りました。

「おぉ!湯浴みがしたいなぁ。

都にも町中に湯浴み屋があるのだが、府中の町では風呂屋と呼ぶらしいが、比べて見たくなったぞ!

加賀美殿!風呂屋に参ろう!」


「はっ?万里小路様?府中の領民が一緒になりますが、構わぬと?」


「ほほほ!都でも、庶民が使う湯浴み屋に行くのが好きでなぁ、府中の風呂屋を試したいのじゃ!

庶民と語らうのが良いのじゃ!

さぁ、参ろうぞ!」


府中の町の風呂屋は立花家の直営で、湯船は男女に別れ、番台で料金を払い、更衣室には鍵付きの棚の中に衣服を入れ、木札の鍵を腕に巻いて湯船に向かいます。湯船に入る前に必ず身体を洗います。

男湯には湯男、女湯には湯女が数名配置されて全身を洗う客の背中を洗ったり、お湯を掛けて介助します。

お湯には青梅、秩父の硫黄や湯の花が溶かされており、天然温泉の如く温まる事から、府中の領民からとても人気がありました。


湯垢取り、全身の揉み解し、髪結い、髷結まげゆいも別料金を払えば奉仕する係が揃っています。

奉仕する相手を指名したり、異性に奉仕して貰う事も出来ましたが、風俗的な奉仕は禁じられていました。


湯上がりには囲碁、将棋をしたり、食事する事もできました。洗濯屋が併設されて、洗濯物を預ける事も出来ました。

近くには食事処や居酒屋が並び、大いに賑わっていました。


万里小路頼房は都の湯浴み屋に比べて遥かに先進的な仕組みに喜びました。

「加賀美殿!都にはこんなに恵まれた湯浴み屋はなかった故、まぁ驚いた、楽しかったぞ!」


府中の風呂屋でお湯に浸かり、垢すり、全身の揉み解し、髪結い迄、綺麗な女性にして貰った万里小路頼房はご機嫌良く、更には湯上がりに食堂で食べた芹鍋が大層気に入り、満足な様子でした。


「加賀美殿、麿は府中の町が気に入った!

暫く都には帰りたくないぞ!」


「はっ!お褒めに預かりまして光栄にございます!」 


万里小路頼房は都に府中と同じ湯浴み施設が欲しくなりました。

「加賀美殿、都に府中と同じ様な湯浴み屋が欲しくなったぞよ!費用は如何ほどになるかのう?」


「はっ?それは…確か…父から初期費用で2000貫(2億円)、維持管理の固定費、人件費が200貫(3000万円)と聞いておりますが…」


「なんと!高額な!」


「はい、お湯漏れせぬ様に宮大工達に100年使える風呂を築く様に命じました。

材料は檜にこだわり、利用する領民を労る施設にする為、少し贅沢な出来栄えになりました!」


「都に同じ物は無理だのぉ…」


「万里小路様、夢の話しにございますが…

足利将軍家に代わり、立花家が天下を制覇した時ならば、都にも同じ湯浴み屋が出来ましょう!」


「ほほほ!あははは!それは良い!

加賀美殿!そのお言葉、気に入りました!

この先のいつの日か、都で手伝える事あらば、万里小路頼房が奔走致しましょう!

ほほほ!楽しゅうございましたぞ!」


二人は互いに冗談を交わしますが、立花家の当主、立花義秀、嫡男、立花義國、松千代の3名だけは真剣に天下統一を目指していました。




立花家三代、立花義秀、立花義國、松千代が目指す天下統一には古河公方家と前橋上杉家の強豪を倒し、更には織田信長との対決、長尾景虎(上杉謙信)と戦う事になります。

そろそろ、長尾景虎が頭角を表します。

果たしてこの先の展開は?…

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