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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)12月下旬、勅使、万里小路頼房、前橋城から出立!

勅使、万里小路頼房は前橋上杉家を離れると最後の目的地、武蔵国、府中城を目指す事になります。

加賀美利久を従えて長旅が続きます。

1246年(天文15年)12月下旬


12月20日早暁、前橋上杉家当主、上杉英房と筆頭宿老、長野業政は前日に勅使、万里小路頼房から課せられた二つの書類作成を完了しました。

二人は僅かな時間仮眠を取り、起床すると冷水を浴びて水垢離みずごりを済ませて身を浄めます。


「業政、五公五民に税制を改め、勅使殿から指摘があったが、立花家の施政を参考に農民の待遇を改善せねばならぬ!」


「はい、耕作手当ての支給や、夫役ぶやくを改め、募集した労働者に賃金を支払う事から始めてみましょう」


二人は冷たい水を浴び、ようやく目が覚めて寝不足が吹き飛びました。12月の冷たい空気が二人の身体に冷たい風を吹きかけます。

従者に濡れた体を拭き取らせ、部屋に戻り着替えを済ませました。


やがて二人の元に宿老の長尾元長、石川和義、千坂正時、斎藤秀政の四名がやって来ました。

彼らは深夜まで書類作成に携わり、完成の見込みが出来た事で先に仮眠を取らせていました。 

仕上げられた書状の写しを回し読みさせて、今後の方針を悟らせました。


これから前橋上杉家は税率を下げて、耕作奨励金の支給を始めます。さらに過酷な夫役を改め、公共事業の工事等、作業者に賃金を支払うには財政の立て直しが必要になります。

当主と宿老達が結束しなければ実現出来ません。

実務に精通した人物の登用も急務となりました。

「さて、五年間は内政に専念すれば良いじゃないか?

開き治って楽しもうぞ!」

上杉英房は宿老達に笑顔を見せました。


勅使、万里小路頼房が朝食を済ませて落ち着いた頃、上杉英房と宿老五名は万里小路頼房の部屋を訪ね、昨日課せられた謝罪文と誓約書を提出しました。


万里小路頼房は其々の書状にゆっくりと目を通して目を閉じました。 

その間、上杉英房、長野業政と宿老達は緊張を強いられます。

やがて頼房が口を開きました。


「上杉殿、宜しいでしょう。

寝る間を削り、苦労なされましたな?

長野業政とお二人は水垢離なされたと聞きました。

その覚悟を確かに受け取り、書状を都に届けましょうぞ!」

頼房が穏やかに答えました。


「はっ!宜しくお願い致します!」

上杉英房と宿老五名が頭を下げました。

無事に書状の受け渡しが終わり、勅使、万里小路頼房の一行は前橋城から出発しました。

行き先は南へ6里(24キロ)先の藤岡の大龍寺に向います。

万里小路頼房は加賀美利久と馬を並べて昨夜の宴の様子を聞きました。


「加賀美殿、昨日の宴では上杉家の者共から質問攻めだったな?」


「はい、立花家の施政について聞かれました。

夫役、徴兵など、農民から徴発せずに人が集まる秘訣や、兵士の集め方から、教練方法、商売に関する事柄から税制、法律や戦場での話題などあれこれ尋ねられました」


「ほほほ、そうか、其方の戦場は下総国にて古河公方家の軍勢と戦ったのだったな?

前橋上杉家とは直接に戦っておらぬな?」


「はい、その通りに御座います」


「それが幸いした様じゃのぉ、其方はどれくらいの兵力を率いたのじゃ?」


「はっ、普段は3000の軍勢を率いていましたが、最大5000の軍勢を任されました」


「ほぉ、凄いじゃないか?そりゃ質問攻めを喰らうのは仕方がなかろう?」


「はい、古河公方家との戦いは広範囲に及び、双方で100000を超える大きな戦でしたから、質問攻めでございました」


「ほぉ、それは仕方無いな、近い内に麿にも聞かせて貰うぞ!」


「はい、承りました!」

二人は楽しそうに語らいながら藤岡方面に向かいました。



12月20日の夕刻、万里小路頼房の一行は大龍寺に到着、一泊して翌日21日に秩父藤田領内に入り、天神山城に宿泊、翌22日には秩父藤田家の本拠地、秩父大宮城に宿泊しました。

秩父藤田領内で万里小路頼房の一行は温泉に浸かり、毎日続く長旅の疲れを癒しました。


秩父大宮城は立花家の支援で一年前に築城が始まり、つい最近、圧倒的な存在を示す本丸御殿が完成しました。城内に温泉が湧いており、秩父の象徴、武甲山を眺めながら楽しめる露天風呂が自慢です。

万里小路頼房は加賀美利久を連れて露天風呂を堪能しました。


「ふー!気持ち良いぞ!

加賀美殿、武甲山の雄大なの景色に極上の湯!

連日の移動に疲れた身体が癒やされる!」


「はい、ご褒美の様に思えます!」


「そうだな、疲れた身体に温泉の湯が染み込む…

毎日馬に乗り続けて疲れたのぉ…」


「万里小路様、こちらから10里(40キロ)先の青梅勝沼城に参りますが、移動には二日間を要します。

こちらに二日間逗留なされて温泉で疲れを癒してから出発するのが宜しいかと思われますが、如何致しますか?」


「ほほほ!決めた!ゆっくり二日間、こちらに世話になるとしようぞ!

加賀美殿、宜しく頼むぞよ!」


万里小路頼房はこの露天風呂が気に入り、秩父大宮城に二泊する事になりました。


翌日の昼間には秩父神社を参拝して、町を散策して疲れを癒しました。

立花家の同盟大名、秩父藤田家の領内は山間部にありながら活気に満ち溢れ、行き交う領民が楽しそうに暮らす様子が伺えました。

二日間の滞在の間、万里小路頼房は温泉と秩父名物、牡丹鍋(猪鍋)、鹿鍋を堪能して鋭気を養い、24日早朝、東へ10里(40キロ)の青梅三田家の勝沼城を目指して出発、飯能方面の山間部を進みました。

険しい道で馬が体力を消耗する為、秩父と青梅の中間地点の長徳寺に一泊して、翌25日に青梅三田家の領主、三田綱秀、三田綱重親子に出迎えを受けて勝沼城に入りました。







連日の移動で勅使、万里小路頼房の身体も疲れていました。加賀美利久は万里小路頼房に無理をさせず秩父の温泉で体力回復を図り、ようやく青梅勝沼城に到着しました。

目指す府中城まで後一息の距離になりました。

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