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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)12月中旬、謀略成功!古河城から前橋城へ!

勅使の行列に投石する事件が発生した結果、古河公方家と古河公方家の最高権力者、簗田高助に試練が突き付けられました。


実は前日の投石事件は立花家が仕掛けた事が切っ掛けで発生しています。

冤罪被害者が発生したのは想定外でした。

早朝に常陸の国衆が抗議に現れたのも立花家が仕組んだ演出でした。


1546年(15年)12月中旬


12月16日早暁、簗田高助は万里小路頼房から課せられた投石事件の報告書、幕府への謝罪文、謹慎、停職中の誓約書を纏め終えました。

書類作成に集められた家臣達を労い、仮眠する様に促して、高助は机の横に伏して仮眠を取りました。

やがて夜が明けて間もなくの頃でした。

仮眠していると高助は近習に肩を揺すられました。


「どうした?何かあったのか?」


「はい!正門前に常陸国の国衆20名余りが、春先に房総半島に動員された報酬を要求して騒いでいます!

支払わぬなら町に放火すると叫んでおります!」


「なんだとぉ?あれは解決した筈だが?」

眠い目を擦りながら立ち上がりました。

醜聞が勅使の耳に入れば更にややこしい事になります。高助は兵士を引き連れて正門に向いました。


その頃、高助の嫡男、簗田晴助が抗議に集まった国衆と正門前で対峙していました。

晴助は支払いは完了していると主張しますが、国衆達は貰っていないと否定します。

「払わぬなら今から城下を火の海にしてやるぞ!」

国衆達は一歩も引かない態度を取りました。


「えぇーい!不埒な奴らめ、捕らえろ!

抵抗したら打ち取れー!」

血気盛んな22歳、簗田晴助は50名の兵士に命令を降し、兵士達は即座に動き、槍を振りかざして国衆を捕らえに掛かりました。

シュンッ!シュンッ!シュンッ!

国衆を捕らえようとした兵士に対して離れた後方から弓矢が放たれました。

国衆は後方に10名の弓兵を配置して、危険が迫れば援護する手筈になっていました。


「先に手を出したのは古河公方家だぞ!

城下を火の海にしてやる!」

国衆は捨て台詞を残して城下に向いました。

「逃すな!打ち取れー!」

簗田晴助が兵士達を追撃に向かわせました。


やがて簗田高助が正門周辺の騒ぎに駆けつけ、嫡男晴助に様子を尋ねました。

「晴助!騒いでる国衆は如何した?!」


「はっ、報酬未払いだとか、騒ぐので捕縛を試みましたが、逃亡しました!人数はおよそ30名程にございます!城下を火の海にすると息巻いておりましたから増援を出して追撃致します!」


「よし、直ぐに兵士を集めて追撃するぞ!」

簗田高助は城内から増援部隊を集め、城下へ300の兵士を送りました。

嫡男、晴助に現場を任せて簗田高助は昨日の投石事件の冤罪の後始末に取り掛かる為、執務室に戻りました。

冤罪だと発覚したのは領民3名、兵士4名、勅使に犯人逮捕を急かされ達為、人数合わせに牢獄の罪人から犯人に仕立てた者から4名の冤罪が関係者から申告がありました。

「はぁー…勅使に夕刻迄にと強制されて焦る余りに失態を重ねてしまったな…」

ため息を吐き、高助は側近に弱音を呟きました。

其々の遺族への対応を協議していた時でした。

簗田高助の家臣が急ぎ足で現れました。


「殿!大変です!正門前に冤罪だと主張する遺族達が次々に集まり、責任者に会わせろと騒ぎが起きております!」


「何!来たか?!正門脇の立崎曲輪に案内せよ!

遺族をなだめて聞き取り調査せよ!

簗田高助は簗田家の重臣、瀬能英孝に冤罪処理の対応を託しました。

高助は勅使、万里小路頼房に命じられた投石事件の報告書、謝罪文、謹慎、停職期間中の誓約書の提出をしなければならず、落ち着く間も無い時間が続きました。


やがて、朝食を済ませた勅使、万里小路頼房に対面する時間になりました。

簗田高助から三つの書類を受け取り、万里小路頼房はその場で其々の書類に目を通しました。

読み終わり、万里小路頼房が書類について語ります。


「まずは、投石事件の報告書だが、どうやら事実と違いがある様だな?…当方に入った知らせにはなのぉ、罪人の何名かを取り逃した故に身代わりを仕立てたとか?人違いで罪人にされた者、人違いの連座で直属上司や一族の代表者が切腹や斬首の犠牲になったなどの悲惨な事柄を知らせる者があってなぁ…

今朝は正門に冤罪の被害者遺族達が抗議に現れたらしいじゃないか?

簗田高助!この失態を何とする?!」


「はっ!急ぐ余り、失態を犯して隠した事を深くお詫び致します!」

平伏して答える簗田高助は万里小路頼房の一喝に取り繕う間も無く、全面的に認めるしかありません。

同行している立花家の加賀美利久が背後で情報を集めた事を悟りました。


「まぁ仕方無い、麿まろが夕刻迄にと急かした事も有ったからな、冤罪の後始末は最善を尽くすが良い、冤罪については我が胸の中に留めるとする!」


「はっ、ご配慮に感謝申し上げます!」

簗田高助は厳しい指摘に肝を冷やしますが、早朝に現われた常陸の国衆の事が追及されずにホッとしていました。


「しかし、今朝現れた常陸の国衆は房総半島に動員されたのに、報酬が未払いらしいな?」


「はっ、それは…誤解が、行き違いかと思われますが、…」


「都合が悪いから討ち取ろうとしたら逃げられたか?」


「いえ!けっして左様な事では無くて、騒ぎを聞いて駆けつけましたが、話し合いにならず、国衆が城下に火を放つと叫びましたので追捕を命じました!」

 

「実はなぁ、護衛役の立花家の指揮官、立花家当主の三男、加賀美利久から常陸国衆の報酬未払いについては簗田一族と国衆の一部との癒着と不正の結果、支払われる筈の報酬が着服され、多くの国衆へ未払いが生じたと聞いたのだが、今だに解決して無い様だな?」


「はっ、恥じ入るばかりに御座います!」


「ふむ、正直に答えたじゃないか?

ならば、再度常陸の国衆に支払い漏れが無いのか、確認すべきだな?お主を裏切り、大金を着服している奴が誰なのか、突き止めなければならぬぞ!

さらに、正門で騒いだ国衆を罰してはならぬ、彼らは命懸けで働いたのに報酬を貰えなかった被害者だからな!」


「はっ、仰せの通りに致します!」


「では、しっかり再調査をなされよ!

麻呂はこの後は前橋上杉家に勅命を授けてから年末年始は武蔵国の府中へ参る。

立花家の世話になり、1月の下旬まで府中に滞在する故、調査結果を必ず報告すると約束せよ!」


「はっ、承りました!」


「それで宜しい!それでは投石事件の報告書、朝廷への謝罪文、謹慎、停職期間中の誓約書の三通は確かに預かった!

これよりは古河公方家の名称は5年間封印!

古河公方家は5年間は謹慎、停職!

今から単なる古河の足利家に過ぎぬ!

5年間は軍事行動を禁ずる!

配下の大名家も5年間は同様に謹慎、軍事行動を禁ずる!」


「承知致しました!」


万里小路頼房は簗田高助の弱みを握り、朝廷に逆らえぬ状況に追い込みました。

この日の午前中に勅使、万里小路頼房の行列は関東管領、前橋上杉家の本拠地、上野国、前橋城へ向いました。


古河城から渡良瀬川を船で渡り、およそ25里(100キロ)の道のりになります。

古河城が背後に微かに見える程離れた時でした。

加賀美利久は万里小路頼房と馬を並べて進んでいました。

「万里小路様、実は、昨日の投石事件ですが、我が立花家が仕組みました!

隠していた事をお詫び致します!」


「ほほほっ!やはりそうであったか?!」

万里小路頼房は薄々立花家の仕業と疑っていましたから、笑ってしまいました。


「はい、古河城下には事前に多数の忍びを潜入させておりました。

勅使の行列見物に集まった群衆に酒を配り、領民になりすました数人が投石した処、領民や敵の兵士が投石に加わり、想定以上の騒ぎになりました」


「ぶははは!そうか、やりおるなぁ…」


「はい、古河城下は利根川と渡良瀬川に挟まれた土地故に町の道には多数の小石が使われております。

立花家に反感を持つ領民や兵士を焚き付けたら自然に石を投げて騒動になりました」


「それで怒った麿が簗田高助に夕刻迄に罪人を処罰しろと命じた故に、大して調べもせずに処刑した為、冤罪が発生したのだな?」


「はい、その通りにございます!」


「それでは早朝に現れた常陸国衆は偽物なのか?」


「いいえ、まぁ、本物の国衆は2名ですが、報酬の未払いは事実でございます!

彼らに約30名の援護を付けて応援を致しました!」


「なるほど、それだけか?」


「はい、実は、投石事件の冤罪の遺族に簗田高助に抗議して賠償金を貰うべきだと焚き付けました!

事前に万里小路様に伝えてはならぬと周囲の者に箝口令を出して黙っておりました!

お詫び致します!」


「ぶははは!呆れた奴らじゃのぉ、気に入った!

見事に古河公方家を混乱させたじゃないか?

まぁ、暫くの間は内緒にして進ぜよう。

都に戻れば黙ってはおれぬぞ、これほど痛快な土産話しは無いからな!」


「はい、都までは内緒にお願い申し上げます!」


二人は和やかに会話を続け、次の目的地を目指して馬を進めました。

加賀美利久はは古河城周辺に忍びを配置して将来に備えました。何年先に立花家が古河城を攻略する時に必ず役に立つ筈です。

父、立花義秀に託された任務を成功させて気分の良い日になりました。

勅使の護衛を務めながら、立花家はしっかりと謀略工作を成功しました。

これから関東管領、前橋上杉家の本拠地に向います。

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