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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)12月上旬、府中へ凱旋!

立花家と諸将の行列は府中の町に凱旋します。

ひと月半の長旅が終わります。

1546年(天文15年)12月上旬


12月3日早朝、芹ヶ谷城本丸から見える空は青く、周囲の多摩の山々に鳥達の声が響きます。

初冬の冷たい空気に触れた諸将は数日振りに酒を呑まずに朝を迎えました。

朝餉は卵掛けご飯、豚汁、漬物を旨そうに平らげました。

「いざ!府中へ凱旋だ!」

立花義秀の一声で芹ヶ谷城から騎馬300、弓、長槍500、総勢800の行列が府中の町に向いました。

芹ヶ谷城から府中城迄は5里(20キロ)、昼頃には到着出来る距離にありました。

芹ヶ谷城近くに町田街道が相模原、八王子方面に向かって整備され、鎌倉街道が丘陵地帯を抜けて整備されて関戸から多摩川を越えて府中の町に至ります。

立花家と諸将の行列は鎌倉街道を北上して府中へ向いました。


丘陵地帯を抜けて関戸城を通過すると多摩川に達します。府中の町の防衛の為にこの辺りには橋を架けていません。鎌倉街道から府中へ向かう人々は関戸の渡し船で多摩川を渡ります。


この時、多摩川の河川敷には上流側に1000名、下流側に1000名が待機していました。

府中城の留守居役、宿老の瀬沼寿勝が手配した軍勢が主君達の行列を安全に渡河させる為に準備していました。

渡河用に馬200頭、船を50艘を特別に用意して馬と船で短時間で一気に多摩川を渡ります。

上流側に1000名、下流側に1000名が冷たい水に浸かりながら人の壁で水流を弱めて安全を確保しました。冷たい水に耐える兵士達太鼓を叩き、気合の声をあげました。

「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」


先導する騎馬兵に続いて立花義秀が松千代を一緒に馬に乗せて多摩川を渡ります。

「ぶははは!壮観だなぁ、寿勝(宿老、瀬沼寿勝)の差配はなかなか見事だな、冷たい水流に耐えている兵士達にはしっかり褒美をやらねばならん!

政家!(筆頭宿老、鹿島政家)兵士達に褒美の手配を致せ!」


「はい、畏まりました!」

立花義秀の指示に鹿島政家が答えました。


「お爺、多摩川に架けてる橋は立日橋たっぴばしのひとつだけだよね?

北条家が味方になったから橋を増やしてみたら?」


「そうだな、関戸から始めて、調布、世田谷、昭島、拝島、福生辺りに橋を架けるとするかな?」


「ヒャッハー!皆んなが喜ぶよ!

ついでに浅川とか、野川の橋も増やして!川沿いに住む領民の願いも叶えて欲しいけど?」


「わかった!多摩川水系の支流の全てを調べて必要な所にどんどん橋を作るぞ!政家!早急に手配せよ!」


「はい!畏まりました!」


立花家の領内では防衛の為、主要河川の多摩川に掛けた橋はひとつしか有りません。

数ヶ所に架橋すれば経済的な発展が見込まれ、架橋の工事に関わる業者に労働者が潤い、波及効果は大きくなると想定されます。


「立花殿!橋の工事を為さるなら、我が武田家の技術者や労働者を使って頂けないでしょうか?」

武田信繁が声を掛けました。


「おぉ、それは助かります。武田家の治水技術は素晴らしいと聞いております。

是非、協力をお願い致します!」

武田家は信濃国侵攻中で財政的に苦しく、何とかして稼いで財政を健全化する必要がありました。

立花家も武田家の技術的な協力は大変都合の良い事でした。


更にその話しを聞きつけた青梅三田家、滝山大石家、秩父藤田家から架橋技術と治水技術を学びたいと申し入れが相次ぐ事になり、全て受け入れる事になりました。


「ぶははは!上洛の帰り道に良い話しが纏まったぞ!

同盟大名家の架橋にも協力して参るぞ!」


多摩川を渡り、鎌倉街道を進み、やがて甲州街道に入りました。

沿道には領民が立花家、同盟大名家の行列を待っていました。拍手と歓声をあげる領民に立花家、同盟大名家の諸将や兵士達が笑顔で答えます。

領民達は立花家が上洛中に二度も敵と戦い、二度とも撃破した事や立花義秀、猿渡盛胤が朝廷から叙任された事等が逐一知らされていたので領民達の気持ちが盛り上がりました。

甲州街道から大國魂神社の正門周辺まで出迎えの領民や護衛の軍勢で一杯になっていました。


「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」

沿道から歓迎の気合の声があがりました。

沿道の歓声に包まれて、立花家と同盟大名家の行列は大國魂神社の正門前に到着しました。

立花義秀、松千代、猿渡盛胤の御老公様と同盟大名家の諸将が正門から頭を下げて一礼して中に入りました。


本殿にて大神様に上洛から無事に帰国した事を報告して感謝の気持ちを捧げました。

更に上洛して持ち帰った邪気を払う為にお祓いを受けて、御神酒を戴いて心身を浄めて本殿を後にしました。一同は先代大宮司、猿渡盛胤と挨拶を交わして正門へ向いました。


「御老公様(猿渡盛胤)、ご一緒に上洛出来て楽しかったよ!有難う御座いいました!」

最後に松千代が御老公に挨拶しました。


「松千代!楽しかったぞ!

上洛のきっかけは松千代の発案と聞いたぞ!

招いてくれた事を感謝しておるぞ!」

御老公様は松千代を抱きしめて胸に抱えました。


「きゃははは!御老公様は正三位神祇大伯せいさんいじんぎだいはくだからね。関東で最高の地位になったから大神様も喜んでいるよ!」

松千代が空を指して大神様が微笑むのを見ています。


「松千代!わしにも大神様が見えるぞ!」

空を眺める御老公様は片手で松千代を抱えたまま、大神様に感謝の祈りを捧げました。


松千代は御老公様に頭を下げて正門に向いました。

立花家と同盟大名家の行列は府中城に向い、再び歓声に包まれて府中城の正門に到着、城兵と多数の家臣達に迎えられて50日間に及ぶ上洛の旅が終わりました。

松千代が武蔵守護職の叙任申請を提案してから劇的な事の連続になりました。

上洛の旅が濃密な旅になり、大きな成果を持ち帰りました。

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