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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)11月上旬、祝賀の宴と幕府の裏側

将軍就任の祝賀の宴席の裏側には立花家の思惑と幕府側の思惑がありました。

浅香山宿営地の襲撃がばれてないのか?

確認したい幕府側と、幕府側の関与を疑う立花家の探り合いがありました。

1546年(天文15年)11月上旬


宴席会場の陽光殿に移動した招待客は上座に五摂家と上級の公家の席が20席程並び、中段に幕府と立花家関係者の席が東西四列になり、40席ずつ並びました。

下段に中級、下級の公家の席が東西四列になり、100席ほど用意されました。


関白、一条房通の祝辞に始まり、五摂家筆頭、近衛稙家が足利義輝の将軍就任の祝辞を述べ、乾杯の音頭を取ります。

「新将軍の前途を祝して乾杯!」


稙家の掛け声に一同が祝いの声を上げて盃を掲げて宴が始まりました。

琴の合奏が流れ、多数の女官達が上座、中段、下段の席に配置されて給仕とお酌をこなし、会話を持ち上げて場を盛り上げます。


談笑する公家や武将達に振る舞われる料理は朝廷ご用達の料理人が選りすぐりの食材を使って調理されています。

最初に着席した時点で一人に五つの小さなお膳が並んでいます。

給仕係が五つのお膳について、旬の食材を使う宮廷料理の真髄を紹介して賓客達の興味をそそりました。

食事の進み具合に合わせて更に三つのお膳が配られ、合計八つのお膳が配られます。


立花家、同盟大名家と幕府関係者の席は前日に顔合わせが済んでいた為、直ぐに和やかな談笑が始まりました。

松千代は目の前の席の足利義輝に祝いの言葉を掛けて日常の生活について談笑していました。


松千代は前日の宴席で幕府側が浅香山宿営地の戦いについて触れて来なかったのは、幕府側に仕掛人が居ると感じていました。

そこで足利義輝を浅香山宿営地の戦いの話題に導く仕掛けを試します。


松千代は義輝に府中から海路で堺に到着した事や堺の町で襲撃された事や浅香山宿営地の環境について語りました。

「松千代?お前も浅香山宿営地が謎の軍勢に攻撃された時に宿営地に居たのだろう?

話しを聞かせてくれ!」


浅香山宿営地襲撃の主犯は幕府の新管領、細川氏綱だと噂が流れていました。

この時、幕府側から一番触れて欲しくない事に将軍、足利義輝が興味を示してしまいました。


❰ぐふふふ…乗ったな?❱

松千代は心の中でニヤリとしました。

義輝の隣の管領、細川氏綱が一瞬嫌な顔になり、固い表情になりました。

松千代は細川氏綱は真相を知る人物と確信しました。


「怖かったよ!でもね、お爺が居るから大丈夫だと思ったよ!

お爺!上様(足利義輝)に説明してよ!」


松千代は笑顔で祖父、立花義秀に託し、浅香山宿営地の戦いを説明させました。

義秀も松千代の仕掛けに応じて細川氏綱、その近くに居る重役達の表情を確認しながら、夜襲を受けた時から敵勢2000名を壊滅させる迄の経緯を語り始めました。


わずか10歳で将軍になった足利義輝は義秀の話しに興味を示しました。

「それで浅香山宿営地を襲撃した軍勢は細川晴元の軍勢だったのですか?」


「敵の正体は確定出来ませんでした。

生き残りの捕虜達の出身地は丹波国、摂津国、和泉国、河内国に広がり、広範囲の地域から集められた浪人、地侍主体の傭兵でございました。

但し、正体不明の雇い主は僧侶、武家、富裕商人の姿で軍勢を集めていた事、常備軍を使わず、傭兵2000名を集める財力がある事

だけが判明しております」


義秀が足利義輝の問いに答えている間、管領細川氏綱の表情は固く、無言で話しを聞いていました。周囲に座る畠山政国、六角定頼、三好長慶は義秀の話しに聞き耳を立てている気配がありました。


この話題に触発されて幕府側の真偽を知らぬ武将達は浅香山宿営地の戦いの話しを聞きたがりました。

当日、宿営地防衛を託された鹿島政家、佐伯勝長、新納忠義の周りに集まり、当日の戦いの様子を聞いて盛り上がる様子に、細川氏綱、畠山政国、六角定頼、三好長慶の四名は終始、冷静な表情を崩しませんでした。


その様子を見ていた松千代と立花義秀は浅香山宿営地の襲撃は幕府側の仕業だと確信しました。


将軍祝賀の宴席は和やかに時間が流れ、女官達がお酌をしながら場を盛り上げています。

宮廷料理の旨い肴に立花家が献上した清酒が振る舞われ、宴は賑やかになりました。


この宴席に立花家が探していた松永久秀の存在が確認されました。

立花家筆頭宿老、鹿島政家の嫡男、鹿島政勝が、松永久秀と談笑する機会に恵まれました。三好長慶の家臣として出世してきた自慢話を聞かされましたが、久秀が厠に行く際に右足を引きずる姿が気になり、久秀の隣の青年武将に訪ねると、泥酔していた彼は松永久秀が先日の戦場で弓矢を射られて負傷した事を話してしまいました。


そこに絡んで来た幕府側の複数の武将に担がれて連れ出されたまま、松永久秀も青年武将も戻って来ませんでした。

鹿島征勝は彼も泥酔した振りをして気にしない振りをして談笑を続け、幕府側に悟られぬ様に注意を払いました。


やがて宴席は関白、一条房通の掛け声にて終了が告げられ、立花家の一同は近衛邸へ戻り、同盟大名家の一同は九条邸に宿泊しました。


鹿島政勝から松永久秀の件が報告され、三好長慶、松永久秀の関与の可能性が高まりました。

─深夜の近衛邸─

─立花義秀、鹿島政家─

「殿、幕府が浅香山宿営地の襲撃を企んだのは間違い無いでしょう。

帰国するまで油断なりません!」


「まぁそうだな、大規模な軍勢を動かす事は無いだろうが、少数の襲撃には注意せねばなるまいな…」


そこに松千代が現れました。

「お爺!明日は東福寺に戻るでしょ?

名所旧跡を巡りながら、立花家と同盟大名家の行列を見せつけて、幕府を牽制するのが良いかも?」


「松千代、まだ起きていたのか?

おぉ?名所旧跡巡りなら良かろう。

幕府より華やかに目立ってやるぞ!

政家良いだろう?」


「はい、喜んで支度致します!」



松千代が名所旧跡巡りをしながら立花家と同盟大名家の威勢を誇示する事を提案しました。

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