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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)11月上旬、室町幕府13代将軍就任式 !

足利義輝の元服式、将軍就任式の費用は全て朝廷が負担しています。

朝廷が御所を儀式に提供するのも全ては幕府に貸しを作る為にやっていました。

近衛稙家、九条稙通は朝廷の意向で幕府を制御する事を目指しています。


1546年(天文15年)11月上旬


─11月1日、御所内、関白一条房道邸─


足利義輝が僅か10歳にして元服式を行います。父の12代将軍、足利義晴は幕府と対立して都から追放され、長年に渡り近江国内を放浪していました。


朝廷の働き掛けにより、幕府の管領、細川晴元を失脚させて、新管領に細川氏綱を擁立しました。足利義晴は放浪先の坂本から都に戻り、隠居して嫡男、義輝に家督を譲り、将軍の後見人として支える事になりました。


元服式が始まり、幕府重臣の長老、六角定頼が烏帽子親として儀式を司り(つかさどり)ました。

新管領、細川氏綱が実力者、六角定頼に配慮して烏帽子親を託しています。


六角定頼は幕府の先の管領、細川晴元の陣営に属していましたが、離反して細川氏綱側に鞍替えした事で細川晴元が失脚する事に繋がりました。細川晴元の重臣、三好長慶を味方に引き抜いたのも六角定頼と噂されています。

元服式が終わると、朝廷から遣わされた勅使が将軍宣下の勅書を読み上げ、室町幕府13代将軍、足利義輝が誕生しました。

同時に従四位右近衛中将に叙任されました。

この官位は立花義秀の従四位左近衛中将に次ぐ官位になります。

将軍の官位が立花義秀より下になり、立花家に配慮した叙任になりました。


足利将軍家の嫡男は元服時に従五位の官位が最初に与えられます。

将軍に就任してから次第に上位の官位を叙任されるのが通例になります。

今回は元服と将軍就任が重なり、特例として従四位の叙任になり、足利家、立花家に配慮した官位が与えられました。


続いて宣誓の儀式に移り、足利義輝が新将軍としての誓いを表します。

勅使や朝廷の重鎮達や出席した公家、立花家や諸大名の前で宣誓書を読み上げました。

足利義輝は幕府を立て直して治安を回復させる事を宣誓しました。


その式の最中にあちこちで噂話が花を咲かせていました。松千代、立花義秀の耳に周りの雑談が聞こえました。

朝廷が細川一族の内紛を煽り、細川晴元派と細川氏綱派に分裂させた事や、六角定頼の引き抜きや、三好長慶の引き抜きに近衛稙家や九条稙通が暗躍したなどの噂があり、元服式に出席しただけで幕府内部の内幕を知る事になりました。


松千代は隣の義秀に小声で囁きます。

「お爺、応仁の乱以来、幕府は内紛が頻発して機能不全だよ。

噂ではあれから 80年も争いが止まずだって幕府の家臣達が嘆いているよ!」


「そうか、80年!?そんなになるか?

将軍家の相続争い、管領になる資格を持つ畠山家、斯波家、細川家の相続争いや有力大名家の相続争いに介入した結果、泥沼の状態になり、戦国時代の扉を開いてしまったのだ」


「お爺、史実と違い、朝廷には財力があるから、幕府を仲間割れに導き、細川晴元を失脚させたけど、お爺、史実では失脚した細川晴元は反撃して来るよ…

幕府はぐちゃぐちゃになり、三好長慶が勢力を伸ばして天下人と呼ばれる時代が来る!」


「三好長慶、さらに重臣の松永久秀の二人から目が離せぬ事になるな?」


「そうだね。それからお爺…幕府に財源が無いから義輝殿の元服式、将軍就任式や宴席も全部朝廷の負担かも?

本来なら足利家が主催して二条城で行うべきでしょ?」


「なるほど!朝廷が全ての費用を負担するなら?……ぶははははは!見事だ!朝廷は幕府に貸しを作ったな?

近衛家と九条家が動いたな?

幕府は朝廷の資金提供を拒めず、御所で儀式を行う名誉まで…金と名誉の二重の貸しをつくった訳だ!」


「お爺…朝廷の資金源は立花家…

勅許が与えられたから、都に立花家の商館を配置出来るよ…」


「ぶはははは!商館を起点に政治工作も可能となる訳だな?」


「お爺、足利義輝に将軍の地位を与えたけど、朝廷は源氏の長者の称号については何もなかったよ…誰も気がついて無いかも?

源氏の長者の称号は立花家と足利家が源義家

公の三男、四男の争いに発展する微妙な事だから、朝廷が配慮したみたいだよ…」

松千代は周りに聞かれない小さな声で義秀の耳元で囁きました。


二人の会話は周りにの雑談の声に混ざり、他人に聞かれる事はありませんでした。


やがて儀式の進行役から声が掛かり、朝廷側が用意した和楽の演奏に狂言の演舞が行われ、来客達はひそひそ話に没頭しています。儀式の時間は退屈な苦痛の時間でもありました。その長く退屈な儀式も時間が経過すると漸く終了となりました。


次に進行役に案内されて一条房通邸から大極殿に移動になりました。

大極殿にて帝の謁見が行われます。

本来なら朝廷から与えられた五位以上の官位を持つ人物だけが昇殿を許されます。

今回は特例として事前に審査された約120名に昇殿を許可しています。

幕府側30名、公家30名、立花家及び同盟大名家30名、宗教関係者30名が昇殿しました。


上座に公家の一同が座り、幕府関係者が東に立花家関係者が西に座り、上座の御簾の中に時の帝、後奈良天皇が鎮座しました。


関白太政大臣、一条房通から帝の勅書が読み上げられ、室町幕府13代将軍、足利義輝の就任を認める言葉を与え、さらには帝の意向が表れた内容が読み上げられます。


帝は民の安寧を願い、足利将軍家、立花家は先祖を共にする源氏の名家であり、互いを尊重して争う事無く、平和な世に導く事を望むと意志を示しました。

ここに、源氏の長者の称号を与えなかった理由が示されていました。


立花義秀は笑みを堪えて喜びました。

帝は足利将軍家を源氏の長者と認めない意志を示した事になります。

帝の意向を察した立花家の関係者は喜び、帝の意向に気がついた幕府関係者は動揺する事態になりました。


「ぶはははは!朝廷のお陰で元服式や将軍就任式まで世話になり、幕府関係者は文句が言えないだろう?」などと立花家の関係者は心の中で笑いを堪えていました。


やがて謁見が終わり、昨日と同じく、陽光殿に移動する事になりました。

昨日の宴席よりも大幅に座席が増やされ、総勢200名の宴席が用意されていました。

朝廷と立花家の絆は深まりつつあります。

幕府と立花家の関係は微妙…

将軍就任の宴席が始まります。

立花家関係者が幕府の内情を知りたがり、幕府関係者も立花家の内情を知りたいはず、互いの探り合いが始まります。

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