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1546年(天文15年)10月下旬、東福寺の休日

東福寺の広大な敷地は4キロ四方に及び、城塞として戦国大名並みの防御力を持つ設備を所有しています。

立花家と同盟大名家の安全が保たれ、穏やかな休日になりそうです。

1546年(天文15年)10月下旬


10月29日の翌朝は立花家と上洛を共にした諸将と和やかな朝食になりました。

東福寺の料理人が用意した京粥と京野菜の漬物が絶品で、大好評でした。


得にご老公様(猿渡盛胤 )が気に入り、「義秀!府中に持ち帰りたいぞ!」の我儘な一言で立花家が東福寺と漬物を年間契約で取引する事になりました。

後に❰京都洛南東福寺漬❱のブランドで京野菜各種の絶品漬物が手に入る事になりました。


和やかな朝食後の立花家、同盟大名家の一行は東福寺側の好意で東福寺敷地内の観光に出掛けました。

立花義秀と招待客に近習を含めて200名は馬に乗り、護衛200が常に同行して案内が始まりました。


案内役が自慢の紅葉を紹介しながら名所巡を巡りました。巨大な東福寺正門はいざ、戦いの時には二階建ての高さから弓矢の射撃で堅牢な守備力を見せつけます。正門以外にも各門前には高所から弓矢を放つ二階建ての設備がありました。

あれこれ巡りますが、敷地内には山があり、丘があり、要塞としての備えと建物には紅葉と一体化する美があり、美しい情景に溶け込んでいました。


軍事設備だけで無く、臨済宗の本山としての修行や宗教行事の設備も多数存在しています。皇室、公家、武家の墓地があり、葬祭関連の建物や賓客専用の宿坊、一般檀家の設備や宿坊などが、広大な敷地内に配置されていました。敷地内には多数の庭園があり、本尊はお釈迦様、敷地内には名匠の手掛けた仏像が多数展示され、希少価値の高い仏像の宝庫になっていました。


更に驚いた事に東福寺敷地内には多数の湧水があり、東福寺を水源とする幾つかの清流がありました。

東福寺の敷地は一里四方(4キロ四方)、仏教施設でありながら城塞としての設備があり、敷地内は塀が巡らされて迷路になっており、大軍に攻められても兵力分散を余儀無くされて分断出来る構造になっていました。


立花義秀は絶景の紅葉と軍事設備、仏教宗派の美が調和した姿に唸りました。

「鎌倉幕府の頃に九条家が出資して開山…近衛家も関わり、400年の歴史に立花家も関わっていたのだな…」


「お爺、立花家は都の巨大宗教勢力、本願寺、大徳寺、東福寺とは縁が繋がったよ!

これで幕府側も立花家に手を出すのは極めて難しくなったよね?」

松千代の言葉に義秀が反応します。


「ぶはははは!その様だ、その三つの宗教勢力に朝廷の守護を頼むつもりだ!」


「お爺!さらに畿内の八幡神社系列下の神社の兵力を加えれば、朝廷の軍事力として幕府を牽制出来るはず、朝廷の安全保障になるよ!」


「ぶはははは!松千代のその策に乗るぞ!

政家!(筆頭宿老、鹿島政家)

今の話しを聞いたな?

近衛家と九条家を仲介に仏教宗派と八幡神社系列下の神社を取り纏めよ!

朝廷の護衛として奉仕させるのだ!」


「はい!承知致しました!」


上洛に同行した一同の目の前で祖父、義秀、孫の松千代の会話から意思決定が為され、筆頭宿老が実現を命じられる様子に周囲はざわつきました。


その様子に驚いたのが、武田信繁(信玄の弟)と北条玄庵(北条氏康の軍師)の二人でした。

側に居た立花将広(立花義秀の弟)が瓢箪に入れた酒を呑みながら笑います。

「ぶはははは!いつもの事だ!

近衛家が婿に欲しがる麒麟児だからな!」

立花将広の言葉に周りが和みます。


「お爺はね、丸投げの名人なんだよ!

だからね、いつも政家おじさんが忙しくなるんだよ!」

更に松千代の一言で周囲にクスクス笑いが広がりました。


午前中は東福寺の広大な敷地を巡り、見学が終わる頃には正午を過ぎていました。

お昼には、東福寺に頼み、中身を漬物にした握り飯を出して貰いました。

極上の漬物に素朴な塩結びながら絶品の旨さがあり、立花家、同盟大名家の一同の舌を唸らせました。


昼の食事が終わり、宇治の緑茶を楽しんでいると近衛家当主、近衛稙家このえたねいえと九条家当主、九条稙通くじょうたねみちが間も無く到着すると先触れがありました。


「おっ!?えっ?近衛家と九条家の当主が?

お忍びで??」

立花義秀を始め、一同は何事かと、単なる挨拶なら良いが、何かしらの問題があるかも?

と不安が浮かびました。






近衛家当主、九条家当主の来訪が知らされました。先触れから間も無く来着とは…吉事なのか、凶事なのか?


少々不安が残ります。

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