表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

404/405

1546年(天文15年)10月下旬、上洛の行列は四條畷から京田辺、そして入京!東福寺到着!

立花家は朝廷側と綿密に調査して安全な上洛ルートを模索しました。

仏教各宗派と八幡神社系列下の武装勢力を味方に引き入れ、護衛に加える事になりました。

1546年(天文15年)10月下旬


立花家と同盟大名家の行列は堺の町衆に見送られて、気分良く四條畷しじょうなわて方面に向かいました。


浅香山宿営地から京の都の中心地までの直線距離は約60キロ、実際には70キロを進む事になります。

上洛の行程は初日に約30キロ先の四條畷に宿泊します。


早朝から上洛の旅が始まり、堺を通過すると東に進みました。やがて生駒山麓を右手に見ながら北に進み、夕刻には目的地の四條畷に到着しました。

上洛の行列3000名は生駒山麓の寺院約30院に分宿します。

この辺りの寺院は生駒山麓沿いに建立されて砦の如く防御力を備えた寺院が多く、警備に適している理由で宿泊地に選ばれました。


約30院が所有する複数の宿坊に分散して各々に立花家の軍旗を掲揚しました。襲撃する敵には約100ヶ所に分散した宿坊から狙いを定める必要がありました。


この宿坊は近衛家、九条家の働きかけで勅命を降し、一時的に朝廷の管理下に抑えて数日間、人の出入りを制限しています。

立花家と同盟大名家の上洛前から朝廷と立花家が派遣した警備兵が終日警戒しています。


立花義秀、松千代、ご老公様の三名は宿坊の風呂から上り、夕日を見ながら秋の紅葉と立花家の軍旗が林立する景色を眺めました。

モミジ、カエデ、イチョウに松、ハナミズキに桜の葉の美しい姿と夕日の調和が絶景を演出していました。


「ご老公、松千代!秋の紅葉が見事!

明日は都の美しい紅葉を楽しめますぞ!」

義秀と松千代は前世で京都の美しい紅葉を見た記憶から美しい姿を目に浮かべています。


「義秀、都の紅葉は日本一と聞いている。

明日が楽しみになったぞ!

清水寺に嵐山の紅葉を是非見たいものだ!」

ご老公様もご絶景を見ながら機嫌の様子でした。


翌日は快晴、四條畷の宿坊から上洛の行列は京田辺に向かいました。

出発してから間も無く、大阪本願寺の僧兵部隊1000名が護衛の任務に着いた事が報告されました。

本願寺の僧兵が先を進み、目的地の京田辺に向かい宿泊します。更に明日は都入りして東福寺まで先導する事になります。

松千代は義秀の馬に乗せられ、祖父と孫の旅の一時を楽しんでいました。


「お爺、本願寺は将来織田信長と10年も戦うから、少しでも仲良くする方が良いよ。

立花家の交易船を本願寺の大阪に廻すだけで喜ばれるし、あちらも交易を望むはずだよ!」


「松千代、本日の宿泊先、京田辺の大徳寺に本願寺の指揮官を招いて交易を持ちかけてみよう。本願寺は将来有望な味方になるぞ!」


この日も無事に京田辺に到着、立花義秀、松千代、ご老公様はこの地域最大の寺領を所有する大徳寺に宿泊、周囲には仏教宗派12院があり、同盟大名家の同行者達各々は分散して宿泊しました。


京田辺大徳寺は都の大徳寺の系列下にあり、本山から僧兵1000が派遣され、立花家と同盟大名家の護衛をしています。

ご老公様は朝廷が近畿地方の寺院勢力、本願寺と大徳寺の僧兵に護衛を命じた事を大層喜ばれました。


この日、京田辺大徳寺にて立花義秀、ご老公様が本願寺指揮官と大徳寺住職と宴席を囲みました。本願寺指揮官と交易の話しが進み、交易だけで無く、本願寺に商館の開設を打診されました。義秀は即快諾、堺の商務奉行と商談の詳細を取り決める事になりました。


翌日は快晴、木津川、宇治川の浅瀬を渡り、都に入りました。宇治川の先から石清水八幡宮の軍勢2000名が護衛に加わり、紅葉の風景を楽しみながら行進すると、午後15時過ぎに目的地、東福寺に到着しました。


東福寺の広大な敷地には近衛家、九条家の別邸がありました。そのすぐ近くに立花家と、同盟大名家の賓客の為、平屋建てながら庭園と池を備えた邸宅を用意していました。


東福寺の案内人によると鎌倉時代、九条家の出資にて開山して以来、近衛家も檀家に加わりました。その後、戦火に消失した三度の危機に立花家の支援があってその度に三度も再建され、そのお礼に立花家別邸を建てた事を知らされました。

立花家はご先祖様の功徳に恵まれて想定外の待遇を享受する事になりました。


やがて東福寺住職が挨拶に現れ、この屋敷を立花家専用の別邸として、東福寺が責任を持って維持管理する申し入れがありました。


「お爺、ご先祖様の功徳に感謝だね?」

松千代が囁きます。


「上洛して良かった…府中で留守番してたらこれまでの待遇は無かっただろう?」

義秀が呟きました。


「義秀!全ては大國魂(大國魂神社)の大神様の導き…

大神様は松千代を通じて伊勢神宮の大神様に繋げて参ったのだ!

理解しておるか?

大國魂の大神様は出雲(出雲大社)の大国主の大神様の同一の神様である!

出雲大社、伊勢神宮、大國魂神社に連なる神々の意向が我々を導いているのだ!

覚悟を決めて立ち向かうぞ!」


「神々の意思…導き…ご老公!

導かれるなら真っ正直に進みます!

幕府の思惑は不明、疑惑は尽きませんが、腹を据えて立ち向かいます!」


「お爺!ご老公様!カッコいいー!」

松千代の笑顔に二人の顔も笑顔になりました。


立花家と同盟大名家の行列は遂に上洛を果たしました。

襲撃された危機を乗り越えると、良い事が続きました。この先も良い事が続く事を願います。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ