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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)10月下旬、戦いの後始末、そして上洛開始!

立花家に敵対する勢力は勅使が滞在して、上洛直前の油断を予測して仕掛けて来ました。

これからも油断は禁物です。

1546年(天文15年)10月下旬


10月25日の昼過ぎに、勅使、今園定家は従者と共に都へ発ちました。

立花家は騎兵100騎を護衛に付けました。


昨夜から浅香山宿営地を襲撃した敵勢は先遣隊の攻撃が失敗、さらに本隊2000の攻撃部隊は潰滅、宿営地側の損害は皆無に等しく、噂を聞き付けた堺の町から多数の見学者が訪れました。

宿営地内には入れず、戦場を片付ける兵士達の近くに見学者が集まりました。


宿営地の外には未だ未回収の敵勢の遺体があり、見学者と見られる人々に紛れて武器商人達が宿営地付近を勝手に探索し始めました。


本丸最上階から戦場を眺める立花義秀に現場から武器商人達の行為が報告されました。

「ぶはははは!捨て置け!

好きにさせて良いぞ!人手が足りぬ故、片付けてくれるなら良いのだ!」

義秀は即決すると筆頭宿老、鹿島政家を呼びました。


「政家!堺の武器商人は揃ったか?」


「はい!会合衆の会頭、山城屋の手配にて武器商人達が揃いました」


「武器商人達に武器を買い取らせたらなぁ、その金で遺体処理を依頼せよ!

早期に処理せねば疫病発生の恐れがある!こちらから追加料金を支払ってでも早期に処理する事を優先せよ!」


「はい!承知致しました!」


「それから敵方の遺体の供養は進んでおるのか?僧侶は足りているか?」


「はい!夕刻までには終わると存じます」


「政家、敵方の捕虜は重傷者を含めて700、大半が負傷しておるな?

大勢の医者の手配が必要だ!

僧侶に医術の知識ある者もあろう!

山城屋、河内屋、和泉屋、更に近衛家、九条家の商務奉行に治療出来る者を集めて貰うのだ!」


「はい!承知致しました!

慈悲の心にございますか?」


「そうだ!戦いが終わり、互いに正義と信じて戦ったからな…どちらが正しいとか、それは関係無く、手を尽くして救いたい!

上洛する為、身を守る為に1200の命を消してしまったのだ!

放置は出来ぬ!解って貰えるか?」


「殿!生意気な事を申し上げました!

最善を尽くして集めて参ります!」


軽く慈悲の心と発言した事を反省する鹿島政家…筆頭宿老でありながら、義秀が多数の命を奪った事を悔いてる姿を見て慢心していた己の気持ちを反省しながら義秀の前から退出しました。


「殿が、大國魂神社の大神様にお仕えなされている事を忘れていた…

殿のお考えは未だ、我が身に遠く及ばぬ…」

本丸最上階から階段を下がりながら政家が呟きました。


漸く戦場を眺めている義秀に松千代が寄り添います。

「お爺、珍しく寂しいみたいだね?」

松千代が義秀の背中をさすりました。


「ぶはははは!松千代に見られたなぁ!

お爺もなぁ、時には落ち込む時もあるんだから、戦いに勝利したのにすっきりしない事もあるんだぞ!」


「お爺、立花家当主の決断の重みだよね?

お爺の決断ひとつで敵だけじゃなく、味方もたくさん亡くなる事もあるものね…」


「あぁ、そうだな…最近の数年だけでも数え切れぬ命を奪った事実が背中の重みになる時があるものだ…」


「お爺!今からご老公にお祓いして貰うのが良いよ!お爺の背中に白いのが憑いていてるみたいだよぉー!」


「ぶはははは!そんな事が有る訳?

有る?…かもな?

松千代の目に見えてるのか?」


松千代の手が義秀の背中を擦り、首をかしげながら何かを感じました。

「お爺、ご老公にしか白いの取れないよ!

…生霊とか、誰かの念!嫉妬の念が集まってるよ!」


「ぶはははは!ヤバいじゃないか!?

誰か!ご老公を呼んで参れ!」


「ダメ!お爺が自分から会いに行かなきゃ失礼でしょう?」

近習がクスクス笑います。

「ならば、先触れだ!ご老公にお祓いを受けに参りたいと申して参れ!」


近習がご老公の居室へ急ぎ、お祓いの許可を得て戻りました。


松千代に嗜められた義秀は大國魂神社の先代、大宮司、猿渡盛胤のご老公にお祓いして貰う為、ご老公の居室を訪ねました。


「ぶはははは!義秀!生霊に嫉妬の念!

こちらに来てから背負った様だぞ!

昨夜は酔っていたから見えなかったが、ぐははは!武蔵守護職に、従三位左近衛大将の叙任を嫉妬する者に幾つも取り憑かれたな?」


「ご老公?そんなに沢山憑いてますか?」


「あぁ、朝廷の公家の生霊が数名、幕府の武将達の生霊が数名とこれは僧兵の死霊に様々な嫉妬の念が張り付いているぞ!

ぶはははは!

義秀!神棚は本丸最上階だな?」


「はい、最上階にございます」


「空に近い方が剥がし易いし、神棚の気を借りる必要があるからな、さて本丸最上階に参るぞ!」


本丸最上階、神棚の前にて猿渡盛胤のご老公と大國魂神社の神職20名がお祓いの儀式を行いました。

義秀に取り憑いた生き霊や邪念、怨念が祓われ、義秀の身を守る為、神棚を通じて生き霊や邪念を弾く(はじく)強い気を授けられました。


義秀の首から肩、背中が軽くなり、体重が軽くなった様な感覚になりました。


「義秀、帰路には伊勢神宮にて更に強い気を授けて貰う必要があるようだな。

伊勢の大神様の気を戴くのが善いだろう。

伊勢神宮には我らから儀式の手続きしておくから心配は要らぬぞ!

それから上洛する軍勢全てをお祓いする必要があるぞ!会合衆を通じて近所の神社の神職を出来る限り集めて纏めてお祓いをせねば都に不浄な物の怪を持ち込む事になる!

帝が祈り浄めてる聖地に不浄を持ち込む事はあってはならぬぞ!」


「はい!直ぐに手配致します!」


お祓いの儀式を終えてご老公様達は身を清める為に風呂に向かいました。

浅香山宿営地は関係者が忙がしく働き、戦いの後始末に追われました。

明日の26日の朝には出発する予定です。

3日掛けて28日の夕刻までに東福寺に到着せねばなりません。

戦場の片付けと明日の出発準備を分業して準備が進みました。


夕刻になりました。

昨夜から朝方に掛けて宿営地を攻撃した黒幕は不明ながら、軍勢の出身地は摂津国が最も多く、河内国、和泉国等から集められた土豪、僧兵、野武士と荒くれ者を集めた事が把握され、商人と僧侶、武家らしき雇い主に前金を渡され、立花家の大量の馬と献上品を褒美に雇われた事が判明しました。


─浅香山宿営地─

─立花義秀、鹿島政家─

「政家、尻尾は掴めなかったが、摂津、河内、和泉の最大の実力者は三好長慶、怪しいな?」


「はい、松千代様も三好長慶、その参謀役の松永久秀が怪しいと申されていました」


「自分の兵力は使わず、死んでも構わぬ治安を脅かす奴らを唆して宿営地を攻撃させた。

正規兵と違い、盾を持たずに弓矢の餌食になったのは当然だったのだ。

ぶはははは!軍資金は堺の会合衆から利権を餌に出させたに違いない!

既に会合衆の裏切り者が数名が捕縛されて、数名は堺の町から逃亡しているから、疑惑は深まったぞ!」


「はい!確かに、極めて怪しく思われます!」


「明日からは、敵の近くに行かねばならぬ…

これが、新将軍、足利義輝、又は管領、細川氏綱が承知しているのか?

知らぬ事なのか?

危険を承知の上洛になるぞ!」


「はい!道中は斥候部隊に安全を確かめさせて参ります!」


「うむ、心強い事に、松千代を通じて我らには伊勢神宮の大神様が見守るそうだ。

明日は支援してくれた堺の町衆に上洛の軍勢を眺めて頂き、都に向かうぞ!

政家、堺の会合衆に堺の町の中を通過して都に向かいたいと伝えよ!」


「殿!堺は自治の町にて大名家の軍勢不入の仕来たりがございます!」


「ダメ元だ!ダメなら町の手前の街道筋を通過して都に参ればよい!

近衛家、九条家の商務奉行にも知らせろ!会合衆に刺激を与えて反応をみるのだ!

賛成した商人、反対した商人を調べれば何か掴めるかもしれぬぞ?」


「殿?会合衆の中にまだ黒幕と繋がる者が潜んでいるとお考えですか?」


「その可能性があると言うことだ!

少なくとも近衛家、九条家は信頼出来る。

商務奉行の二人に観察させれば良い!」


「承知致しました!」



翌日26日早朝、緊急招集された近隣の神職者80名が手分けして上洛する軍勢にお祓いを行いました。

不浄な物を浄めた部隊は整列して各部隊の責任者から訓示を受けてから宿営地の東、正門近くに整列しました。


上洛する軍勢は立花家2000、同盟大名家

1000、宿営地には500の留守部隊を残します。

整列する3000の軍勢の前に立花義秀は馬上から声を掛けました。


「立花家、同盟大名家の諸兄に申し上げる!

同盟を誓い!手を携えて!汗と涙と血を流して前に進んだ諸兄の真摯なる姿!

正義の為に戦う姿に感謝申し上げる!

これより我らは都に向かい、上洛するのだが、今、ここに我らがあるのは!

堺の町の皆様の暖かい支援があっての事!

これより我らは堺の町の皆様に上洛する姿を御覧頂いて感謝の気持ちを伝えに参る!

先鋒部隊!前進開始!」


「おぉー!」

立花義秀の声に宿営地の関係者3500名の声が響きました。


「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」

気合いの声が上り、声に合わせて太鼓が鳴り響きます。


宿営地周辺には上洛部隊の行列を目当てにわざわざ堺の町から見学者が数百名集まっていました。

正門から堺の町へ向かう行列に見学者から拍手が上りました。



遂に宿営地から出発、堺の町を経由して上洛の旅が始まりました。

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