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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)10月下旬、三好長慶、松永久秀への疑念!

前日の襲撃事件の影響は堺の町を震撼させました。万が一に備えて近衛家の商務奉行が忙しく立ち回ります。

1546年(天文15年)10月下旬


前日の襲撃事件から夜が明けて、堺の町の警備が厳重になりました。

知らせを聞いた会合衆の会頭、山城屋を中心に臨時の会合衆総会を開きました。

総会には近衛家、九条家の商務奉行も参加して襲撃事件の黒幕が報告されました。


生捕りした兵士の口から幕府前管領、細川晴元派に雇われた事、死者の中に堺の町に採用された数名の傭兵、複数の会合衆の私兵が参加していた事が判明、その雇い主数名は総会に参加せずに欠席していました。


疑惑が深まり、会合衆の会頭、山城屋の指示で傭兵を複数の会合衆の屋敷に派遣して捕縛を命じました。

さらに傭兵部隊内部にも昨日から欠勤する者があり、宿舎の捜索に向かわせました。


堺の町は殺伐した雰囲気になりました。

あちこちで検問が始まり、東西南北、各々の門前は厳しい警備態勢になりました。


やがて会合衆から三名の逮捕者と傭兵と

会合衆の私兵数名が逮捕され、約30名の襲撃犯を街中に手引きして堺の町の傭兵、会合衆の私兵20名程が合流して犯行に及んだ事が判明しました。


総会で協議した結果、立花家の別邸、近衛家、九条家の警備傭兵部隊を周囲に配置する事、立花家の兵士を200名まで町に入る事を認める事になりました。


午後13時過ぎ、近衛家の商務奉行は総会の決議を知らせに立花家の別邸にやって来ました。

「立花様!ご推察の通り、会合衆と傭兵に裏切り者がおりました!

堺の町を代表してお詫び申し上げます!」


奉行から決議の内容を聞いた立花義秀は少し考えて決断しました。


「奉行殿、会合衆や堺の町の皆様の配慮には感謝申し上げます。

立花家は先乗り部隊に町から少し離れた大和川河川敷に宿営地を造らせました。

屋根付きの兵舎が有ります故、日暮れ前に宿営地に移ります。

此よりは日中は堺の町に滞在、日暮れ前に宿営地に移れば、町を騒がす事は無くなりましょう。如何でしょうか?」


「それでは宿営地に護衛部隊を配置いたしましょう」


「いや、大袈裟になりますから。

見回り部隊として20名を付けて頂けたら充分にございます」


「おぉ、それは謙虚に申されますが…

立花様の意向を伝えて会合衆の皆様と相談して参ります!」


「いや!有り体に申し上げるが、堺の町は疑心暗鬼でありましょう?

会合衆に裏切りがあって、傭兵、私兵も裏切りに参加したらからには警備部隊を派遣する余裕は無いはず!

無理する事無く20名を授けて下されたら誠に充分でございます!」


「参りましたな…全てお見通しとは!

承知致しました。

20名の見回りで充分と報告して参ります!」


「奉行殿、本日、明日と上洛する部隊が海路、堺に到着致しますが宜しくお願い申し上げます!」


「はい!勿論歓迎いたします!

それでは失礼致します!」


近衛家の商務奉行は忙しそうに立ち去りました。想定外の事に堺の町は騒がしくなりました。

そこに松千代がやって来ました。


「お爺!今晩からは宿営地に夜襲して来るかもね?」


「ぶはははは!笑いながら言うな!

兵士達は大変なんだぞ!」


「あのね、夜の警備を遊びに変えたら?」


「なんだそれ?」


「あのね、弓矢の標的をあちこちに配置してさぁ、夜になったら的当てして遊ぶの!

それなら楽しくて眠くならないでしょ?」


「なんだ?遊びにして眠気を飛ばすのか?」


「的の回りに篝火で照らして真ん中に当てたら楽しいでしょう?」


「だげどなぁ…それをしたら今後の戦いの時に士気がだらけるぞ!」


「だらけたら?敵兵士が喜ぶよね?」


「おぉ?敵を誘うつもりか?」


「真剣に警備する部隊と遊んでる部隊に分けて、時間で交代すれば集中力は維持出来るよね?」


「ぶはははは!参った!松千代は軍師だな?

良し!その策で備えるぞ!」


「敵が来なければそれで良し、つまらない警備より、遊び付きの警備が良いよ!」


その日の昼間から宿営地の回りの警備すべき要所に弓矢の的を設置して、多数の篝火の用意がされました。

遊びの要素が加えられた警備に兵士達は昼間から試して楽しんでいました。


「お爺!きっと細川晴元派は何か仕掛けて来る!数日は小細工で…お爺!新しい幕府の兵力は和泉国、河内国、摂津国から動員されて都の近くに集まってるよね?

堺の町の近くは兵力の空白地帯じゃないの?」


「そうだな、都の周辺の警備に駆り出され、この辺りの兵力は手薄だな…

狙うなら…播磨国方面から此方に来るか?

だがなぁ、俺はそんなに細川晴元派に恨まれる筋合いは無いぞ!」


「お爺!敵方が手薄な処を狙うなら、立花家と同盟大名家!早く備なきゃ手遅れになる!」


「どうするつもりだ?」


「お爺!上洛の道中に洛中洛外の寺院の僧兵と八幡神社系列の神兵が護衛に付く約束だよね?」


「そうだが、今から催促して間に合うか?」


「あのね、細川晴元派が播磨国、丹波国から侵攻準備中と噂を流し、立花家と同盟大名家の上洛を妨害する!って二つの噂を流す!

それから味方の勢力に国境をパトロールしてもらうの!

未然に防げれば良し!

噂が流れるだけで、我らに利有り、敵方は評判が悪くなるだけ!」


「なるほど!ぶはははは!

松千代は俺の軍師だな?」


「お爺!幕府には危険な爆弾があるんだけど?」


「爆弾?なんだそりゃ?」


「三好長慶!最近、細川晴元の陣営から寝返って新将軍側に仕えたでしょう?

史実では幕府の混乱期に下克上の波に乗り、将軍足利義輝と対立、織田信長に破られるまで都に三好政権を築いた大物だよ!」


「そうだ!極めて危険な爆弾だよな…やがては将軍と対立するはず!

味方の陣営だが、さりとて幕府は真の味方とは言えず…もしも三好長慶が立花家を邪魔と考えたら?

まさか?排除するつもりか?…」


「さて、お爺!三好長慶は頭脳明晰、さらに危険な松永久秀は何処に居る?」


「そうだ!まだ爆弾があったな?

松永久秀が三好長慶の指示で動いていたのなら怖いぞ!平気で味方さえも潰すだろう」


「お爺!まずは先乗り部隊で既に人脈を作った藤原家長、日奉宗政、猿渡の盛春おじ様に寺院の僧兵、八幡神社系列神兵の合流を早める事を託して!」


「わかった!手配するぞ!ほれ!三人を呼んで参れ!」

義秀が近習に指示を出しました。

都に無事に上洛するにはしっかり準備が必要な状況にありました。





襲撃事件に関与したのは堺の町の会合衆に数名と、襲撃した実行犯に町の傭兵と会合衆の私兵が混じっていた事が判明しました。


関与した疑いのある会合衆の捕縛、家宅捜索が実行されて堺の町が騒がしくなりました。

松千代と立花義秀は再度の襲撃に備えて次々に対策を打ち出します。

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