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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)5月20日、次席宿老、本多広孝の葬儀と高城家復興への槌音、古河公方家に暗雲?

簗田親子の軍勢が去りました。

2年間駐留軍総大将を務めた次席宿老、本多広孝の葬儀が始まります。

1546年(天文15年)5月20日


この日の正午、鎌ヶ谷城本陣にて10日前に亡くなった次席宿老、本多広孝の葬儀が行われました。

既に火葬を済ませた遺骨の周囲には花を飾り、立花家、高城家、江戸太田家の関係者が集まりました。

立花義秀が故人の功績を語り、立花義國が想い出を語り、高城義春が故人に感謝の言葉を捧げ、嫡男、本多広家が最後に喪主として最後に挨拶を務めて葬儀が終了しました。


高城義春からの願いを受け入れて遺骨の一部を分骨して高城家の縁のある寺院にて奉られる事になりました。

4月上旬から始まった古河公方家の侵略を撃退して高城家の領内に復興の槌音が響き始めました。田植えが出来たのは全体の3割に過ぎず、例年より大幅に遅れています。

畑も踏み荒らされて整備が急がれます。



─鎌ヶ谷城本陣─

─立花義秀、立花義國─

「どうだ、義國、ようやく終わったが、総大将の務めは果たせたと思うか?」


「父上、数々の失敗がありました。

自分の配慮が足りず、本多広孝を失いました。他にも釣り野伏せに失敗があり、房総半島から将広叔父(立花将広)の軍勢の支援が無ければ負けたかもしれません!

簗田高助が退却に見せ掛けて父上の大堀川陣営を攻撃するなど見抜けず、父上の軍勢を窮地に晒してしまいました。

申し訳ございません!」


「良い経験になったじゃないか?

時に総大将は時に判断を誤る事もあるだろう。ひとつの判断が数千、数万の命を左右する!己れが責任を背負う覚悟を決めて、この悔しさを次に生かす事がお前の責務と心得よ!」


「はい、心に刻み、精進致します!」


「義國、古河公方軍は2年前は弱さを露呈したが、今回は随分粘り強く戦う集団に進化した様だな、局地戦では古河公方軍が勝利した戦いがあり、我々も反省する事があった。

次に戦う時には敵が進化していると考えて、決して油断せずに備えようぞ!」


「はい、今回は簗田高助が僧兵の軍勢を率いたことが激戦の鍵になりました。

当初は集団戦に慣れぬ様子がありましたが、次回は更に強くなっておりましょう」


「さて、先日は夢に松千代と不動明王様が現れたそうだな?」


「はい、初めての事に驚きました!」


「松千代に聞いたのだがな、お前が率いる主力の軍勢に油断があり、危ない状態だったらしいぞ」


「はい、あの時は前日の激戦の疲れを癒す為、休息日にするつもりでした。油断していたかもしれません」


「松千代はな、あの時に動かぬと戦の潮目が変わると言っておったのだ」


「油断と潮目、わかる気がします!」


そこに立花将広がやって来ました。


「兄上!義國!松千代の話しだろう?

俺の夢に出てきたぞ!兵力配置に悩んだ時に眠くなり、居眠りしたら松千代が不動明王様に連れられて夢に出て来てなぁ、迷うなー!前に進めー!なんて尻を叩かれて義國の戦場に援軍を派遣したのが正解だったのだ!」


「叔父上、本当に助かりました!

叔父上の決断が無ければ包囲されたまま、命を失なったかもしれません!」

義國が頭を下げました。


「ぶははは!松千代が立花家を救ったのは間違いないな?将広!松千代がな、お前の守護には不動明王様が就いていらっしゃるらしいぞ!」


「えぇっ?本当に?不動明王様が?!」


「松千代には見えているらしいぞ!」


「父上、松千代は本多広孝の事は何か予測したのでしょうか?」


「いや、広孝の事は予測出来ず、悔しくて泣いていたからなぁ、全てを予測する訳では無い様だ。神々が伝える必要が有る時に松千代を通じて知らせるらしいのだ。

さて、解放した足利晴氏は無事に古河城に到着しただろうか?

昨日か、本日中には到着するするはず、簗田高助と対立するだろうから楽しみだぞ!」



5月16日の日没後に解放された足利晴氏は深井城に宿泊、翌朝、旗本1000、宇都宮勢2000を合わせて3000の軍勢で野田へ進み、簗田領内を避けて杉戸から幸手を経由して栗橋城に到着しました。

栗橋城は古河公方家、次席宿老、野田弘明の居城です。栗橋城の正門に出迎えた野田弘明の案内で晴氏達は安心して宿泊することが出来ました。19日、晴氏の軍勢は渡船を利用して利根川を渡り、古河の城下町に入りました。晴氏の軍勢は旗本1000、宇都宮勢2000、野田勢2000を合わせ5000の軍勢が威儀を正して行軍します。


野田弘明が事前に手配した大勢の城下町の民や兵士が出迎えます。野田弘明は晴氏の為に事前に噂を流しています。

足利晴氏は簗田高助の窮地を救いに立花義秀の本陣に切り込み、激戦の末に破れたが、勇気ある晴氏を出迎えるように働きかけました。


事実を少し脚色した噂に領民も兵士も勇気ある公方様として拍手と歓声をあげました。

「公方様ぁー!お帰りなさいましー!」

「公方様ぁー!かっこいいー!」


行軍するの兵士達も足利晴氏が簗田高助を救う為に立花義秀の陣営に攻撃を敢行した事実を知っています。兵士達の多数は足利晴氏の行動をを支持しています。

帰国が歓迎された事に兵士達も気分が晴れて胸を張って歩きました。

足利晴氏は野田弘明、宇都宮尚綱を従えて拍手に馬上から手を振りました。

「弘明?負けたのにこんなに歓迎されるなんて思わなかったぞ!」


「公方様が勇気を見せた事に、民も兵士も感激しております!自信を持たれませ!」


野田弘明は晴氏を励まします。

やがて古河城正門に留守役の家臣達が並び、挨拶を受けて足利晴氏の軍勢は堂々と入城しました。



翌20日、晴氏は早起きして本丸の最上部から富士山を眺めました。

渡良瀬川の流れを見て帰国した事を実感します。耳を澄ませば雀やウグイスの囀ずりが聞こえます。

古河城は渡良瀬川の東岸に南北2キロの長さを誇る関東最大級の居城です。

東に見える城下町は関東最大級を誇り、多数の商家や寺社に民家が立ち並び、城の周囲にはは重臣達の邸宅を抱えます。

久々に清々しい気持ちになり、簗田高助に罵声を浴びて傷ついた心が癒されました。


「ふぅー!俺は幕府から関東全域の統治を任された古河公方家の当主なんだよな?

簗田高助に罵倒されて、何も反論出来なかった…このままで良いのか?」


見守る近習に聞こえる声で微かに呟き、次席宿老、野田弘明に相談する事に決めました。


─古河公方家、古河城─

─足利晴氏、野田弘明─

「弘明、俺が立花義秀に捕まり、泥酔状態で簗田高助と対面して罵倒を浴びた事は知ってるだろう?」


「はい、存じております」


「噂では、俺を隠居させて嫡男の政孝に継がせるらしいが、どう思うか?」


「公方様、私の返答は古河公方家を揺るがします…この質問の重みを理解なされておられますか?」


「重みとは?大袈裟だな?

筆頭宿老が俺に公方の資格無しと罵声した。

強制的に俺を隠居させて嫡男を跡目にするのは正しいと思うのか?

それともお前は反対するのか?」


「では、公方様は隠居を拒否なさいますか?」


「弘明!先に俺が聞いてる事に答えろ!」


「では、公方様!簗田高助を筆頭宿老から解任なさいますか?解任なさる覚悟があるなら答えましょう!」


「何だと?弘明!高助を解任?…

待て、少し考えさせろ!」


「承知致しました。暫く時間を取りましょう。

答えが決まりましたらお呼び下さい」


野田弘明が席を離れました。

次席宿老、野田弘明は晴氏の問い掛けに対して重大な決断を迫りました。

足利晴氏は野田弘明の凄みを感じて安易に考えていた自分に気が付きました。

戦国の世では安易な言葉が死に繋がります。

晴氏は本丸最上部から景色を眺めながら考え事ました。


野田弘明がどこまで覚悟しているのか?

簗田高助の解任を持ち出す発言はかなりの覚悟が必要な言葉です。

足利晴氏は想定外の展開に悩む事になりました。





立花義秀が仕掛けた罠が動き始めました。

足利晴氏の隠居?簗田高助の解任?

古河公方家に波乱がありそうです。

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