1546年(天文15年)5月16日、古河公方家分断!離間工作発動!
松千代が発案した古河公方家の離間工作は立花義秀、鹿島政家の知恵が加わりました。
足利晴氏と簗田高助の信頼関係が崩れます。
1546年(天文15年)5月16日
古河公方、足利晴氏は立花家の捕虜になり、立花義秀の策略で美女に酒を勧められ泥酔してしまいました。
終戦交渉の為にやって来た簗田高助との対面で醜態を晒した結果、簗田高助に罵倒される事になりました。
普段は松千代の護衛に仕える五名の侍女に慰められて機嫌を直した処に立花家筆頭宿老、鹿島政家が現れ、帰国を促されました。
「足利晴氏殿、簗田高助は貴殿を隠居、又は殺害して嫡男、政孝殿を新公方に就任させるつもりです。立花家はそこまでする事を望みません。直ちに古河城へ逃げなされ!」
「なんだ?高助が怒ったのか?
死にたくないぞ!
逃がしてくれるのか?」
酔いが残る晴氏に側近達が左右から支えて連れ出しました。
日没後の暗い道を照らす松明が準備され、足利晴氏と側近30名は立花家が用意した馬に乗り深井城方面に向かいました。
立花義秀が命じた護衛の騎兵200に守られて暫く進むと深井城から晴氏の直属の旗本の軍勢1000と合流しました。
数時間前に戦った両軍は複雑な感情のまま、立花家から足利晴氏が引き渡されました。
泥酔して馬に乗った足利晴氏は道中に何度も吐きながら深井城に到着しました。
足利晴氏は生涯で一番激しく、厳しい一日を過ごしました。
側近達が城内に担いで寝所に運ばれ、寝床が用意されました。
「あと一息で立花義秀を討ち取れたかもしれない状況でまさかの大敗、なんでだ?
捕虜になったり、解放して護衛してくれた…
立花義秀とは?…立花家は何を考えている?」
側近達に聞こえる程の独り言を呟きながら、眠りに着きました。足利晴氏の長い一日が終わりました。
側近達は明朝から帰国する進路の検討に入りました。帰国するには簗田高助の領地を通過せねばなりません。特に簗田家の本拠地、関宿城付近を通過するのは危険と思われます。
利根川を渡らなければならず、船の手配が必要となります。
足利晴氏を守る旗本の兵士達と宇都宮勢は無事に帰国出来るのでしょうか?