1546年(天文15年)5月16日、大堀川陣営の攻防戦!
大堀川陣営に簗田晴助の軍勢が現れ、古河公方軍の兵力が上回ります。
戦いは更に激しく、熱くなります。
1546年(天文15年)5月16日
大堀川陣営の攻防戦は簗田晴助の軍勢が戦場に現れた事で変化が生じました。
簗田晴助の軍勢4000が姿を見せると真言宗勢を追撃中の立花軍が陣営内に撤収しました。
大堀川陣営は撤収した騎兵1000が出撃に備え、撤収した長槍隊は弓矢に武器を持ち替えて襲撃に備えました。
立花義秀が将兵に伝えます。
「立花家の兵士達よ!
我らは正義と民の安寧の為に戦うぞ!
正義の鉄槌を放てー!」
「おぉーぉー!」
兵士達が声を上げて答えます。
「エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!
エイ!トウ!エイ!」
兵士達から気合いの声が上がり、接近する簗田晴助の軍勢に威圧を与えました。
陣営の前に間隔を空けて広がる防御柵と腰の高さの逆茂木に誘導された簗田晴助の軍勢が陣営の東から前進します。
簗田晴助の軍勢に助けられた真言宗勢が引き返して攻撃を再開しました。
真言宗勢が陣営の南から攻撃します。
簗田晴助の軍勢は防御柵と柵の間を密集して前進します。
盾兵を前列に並べて横並びに前進します。
陣営の長さは東に200m、防御柵が間隔を空けて並べられいる為、横並びに前進すると隊列が乱され、整然とした前進が出来ず、盾兵の隊列の乱れが生じます。
最前列の盾兵が陣営から50m迄接近したその時、陣営の指揮官が射撃を命じました。
凄まじい数の弓矢の連射が放たれます。
上空からも多数の弓矢が降り注ぎました。
「怯むなー!死ねば極楽へ導かれるぞ!」
簗田勢の指揮官達が叫びます。
密集した軍勢は盾の隙間から流れる弓矢に当たり、盾の上を掠めた弓矢に次々射たれて多数の兵士が倒れました。
それでも犠牲を出しながら前進を続けます。
「古河公方家が関東を制覇するぞ!
立花義秀を討ち取れー!
城主の地位を与えるぞー!」
簗田晴助が兵士を鼓舞しました。
元から死を厭わぬ洗脳をしている僧兵達に気合いが漲り、多数の兵士が倒れても前に進みました。
このままでは押し込まれると判断すると立花義秀は暴れ馬を使います。
「暴れ馬を放てー!」
陣営の指揮官が叫びました。
二頭の馬の胴回りに縄を結び、馬の尻を叩いて放馬します。
驚いた馬が走り出し、2mほど縄の間に兵士達を引っ掛けて暴走します。
5組の暴れ馬が放たれると簗田勢は忽ち暴れ馬の縄に引っ掛かり、馬に体当たりされて多数の兵士がなぎ倒されました。
更に手投げ網を使い、火薬玉を放ち、次々に爆発した金属の破片に多数の兵士が負傷しました。続けて5組の暴れ馬を放つと簗田勢の前列は崩壊、中軍まで暴れ馬に翻弄される状況になりました。
立花義秀は騎兵500を投入、騎兵から放たれる弓矢の連射で翻弄すると簗田勢の中軍まで崩れました。
しかし、その時、古河公方軍には簗田高助の軍勢2000が現れました。
簗田高助の軍勢は大堀川陣営の前衛部隊、鹿島政勝の軍勢の右翼を突き抜けて来ました。
簗田高助の軍勢は鹿島政勝の軍勢を押さえる為に1000の軍勢を残して到着しました。
簗田高助は嫡男、晴助の軍勢が苦戦中の様子に対応します。大堀川沿いの地面には石が多数落ちていました。
高助は兵士に呼び掛けます。
「石を二つ拾え!」
兵士達が石を拾いました。
「敵の騎兵を囲み、馬に石を投げろ!
馬を脅かせろ!」
兵士達が一斉に石を投げました。
立花軍の馬達が驚き、騎兵は包囲される前に危機感を察して大堀川陣営に戻りました。
簗田高助は嫡男、晴助に伝令を送りました。
伝令が伝えます。
「申し上げます!我が軍勢は北から攻める故、同時に攻撃せよ!との指示にございます!」
伝令がが立ち去ると、晴助は軍勢を再編すると、父の軍勢が攻撃を始まるまでの少しの間、将兵に休息を与えました。
晴助の軍勢は前日に激戦を戦い、今朝は未明から活動しており、かなり疲れていました。
父の簗田高助の軍勢も前日からの疲れが残りながら奮闘しています。今、目の前に宿敵立花家当主、立花家義秀、嫡孫の松千代、筆頭宿老、鹿島政家を葬る機会に恵まれ、気力を振り絞り戦いを挑みます。
大堀川陣営の北側へ移動する軍勢が攻撃に転じると大堀川陣営には北、東、南から10000の軍勢に総攻撃を喰らう事になります。
その時点で古河公方軍の勝利がほぼ確定する程の状況です。
その様子を見ていた松千代が義秀の側に駆け寄り、進言します。
「お爺!今、移動中の簗田高助の軍勢を叩く!今やらないと負けるよ!
日奉宗政の騎兵200が準備出来てる!
暴れ馬と火薬玉で簗田高助の軍勢を粉砕出来るよ!」
「松千代!よっしゃ!やるぞ!
政家!これで良いな?」
立花義秀は鹿島政家に尋ねます。
「はい!最善の策でございます!
撤収してきた騎兵を二次攻撃に向かわせれば、さらに効果が高まりましょう!」
「よっしゃ!日奉宗政!出撃せよ!
騎兵達も二次攻撃準備だ!」
日奉勢が出撃しました。
簗田高助の軍勢は移動中に日奉勢の接近を察して、長く伸びた隊列を集結、前列に盾兵を集めて待ち構えます。
短時間で隊列を密集させた簗田勢の練度は高く、優秀な兵士でした。
しかし、日奉勢200騎が接近すると暴れ馬が10組、20頭の暴れ馬が尻を叩かれて暴走します。簗田勢2000の密集隊列に突入すると多数の兵士を巻き込み、ニ頭の胴回りに張られた縄で引っ掛けて暴れ、兵士達に体当たりを喰らわせると練度の高い簗田勢も混乱しました。
更に騎兵200が弓矢の連射を浴びせると次々に火薬玉を投げ入れて爆発させました。
火薬玉が爆発すると周囲の30名程の兵士が金属の破片を浴びて負傷します。
機動力の騎兵に対して簗田勢は弓矢を放って対抗しますが、移動する騎兵には簡単には当たらず、一方的な攻撃に圧倒されました。
日奉勢は暫く攻撃を続けると、後続の立花軍の騎兵500に交替して引き揚げました。
簗田勢は更に弓矢の連射を浴びて苦戦が続き、背後に回った騎兵の攻撃を受けて隊列が大きく崩れました。
簗田高助の近くに迫った騎兵から容赦無く弓矢の連射が放たれ、側近数名が倒れる程の危機に瀕していました。
やがて簗田高助に連射が集中します。
「居たぞー!簗田高助だ!
射ち放てー!」
騎兵部隊の指揮官が叫び、簗田高助に弓矢の連射が集中します。
盾兵が集まり高助を囲みます。
簗田晴助は父の軍勢が苦境にあるのを見ていました。父を見捨てる事は出来ず、軍勢を率いて駆けつけました。
立花軍の騎兵500は晴助の軍勢に包囲されるのを恐れて後退します。
「父上!父上!ご無事ですか!」
晴助が父、高助に近づきました。
簗田高助は左胸に1本の矢が刺さり、側近に抱えられていました。
「父上!父上!父上ぇー!」
晴助が負傷した父を見て取り乱します。
直ぐに医療知識の有る側近が鎧を外して治療を始めました。
騎兵部隊から大堀川陣営に朗報が入りました。簗田高助の胸に矢が命中、簗田晴助の軍勢が合流するも動き無しとの報告です。
─大堀川陣営─
─立花義秀、鹿島政家─
「やったぞ!政家!
松千代の提案とお前が騎兵を送り出したから簗田高助を負傷させたぞ!」
「はい、状況が好転致しました。
殿、日奉勢と騎兵達に弓矢と火薬玉を補給させて再度出撃させましょう!」
「おぉ、そうだな、簗田高助を討ち取るぞ!」
そこに松千代が現れます。
「お爺!水軍衆の滝川道真がお手伝いさせて欲しいと申請してるよ!
簗田親子の軍勢は合わせて6000、先程より攻撃するなら破壊力が必要でしょ?
弓矢の名手500と火薬玉の扱い名手が居るから、騎兵の支援が出来るよ!」
「ぶははは!それは良いぞ!
政家!良いだろう?」
「はい!良策にございます!」
立花義秀は鹿島政家、松千代の提案を受け入れて簗田高助、晴助の軍勢に攻撃を開始しました。
簗田高助が負傷した事により、大堀川陣営の戦いの流れが乱れました。
どちらが主導権を握るのでしょうか?