１５４６年(天文１５年)５月１６日、古河公方軍撤退と大堀川陣営攻略作戦！
古河公方軍は高田城、松ケ崎城方面に撤退しました。同時に立花家当主、立花義秀が守る大堀川陣営の攻略を狙います。
１５４６年(天文１５年)５月１６日
古河公方軍、野田勢５０００は高田城の北へ進んだ後に西へ進み、立花義秀の予測外の北側から大堀川陣営に接近しました。
立花義秀は佐伯勢７０００に撃退を命じました。午前７時頃、大堀川陣営の戦いが始まりました。
古河公方軍は綾部勢２０００が東から田畑や雑木林を進みます。宇佐美勢３０００が南から田畑や雑木林を進みます。
立花軍が封鎖した街道筋を避けて、待ち構える弓矢の攻撃を避けて接近を試みます。
大堀川陣営に状況報告が届きました。
─大堀川陣営、立花軍配置─
陣営北部、佐伯勝長７０００
陣営東部、鹿島政勝５０００
陣営南部、瀬沼信勝３０００
陣営内部、立花義秀４０００
陣営西部、藤原家長２０００
合計２１０００
─大堀川陣営─
立花義秀、鹿島政家─
「なんだ？残念だな、罠がバレたか？
綾部勢と宇佐美勢は判断が早いぞ！
悔しいが、封鎖した道には来ないぞ！
政家！伝令だ！
鹿島勢と瀬沼勢に伝令！
敵は田畑や雑木林から侵入を開始！
敵の進路に騎兵部隊を先行させて兵力を展開せよ！」
「はい！手配致します！」
急報が伝令に託されて鹿島政勝、瀬沼信勝の元々に伝わり、軍勢の配置転換が急がれました。
「お爺、花輪城から火薬玉４０発と暴れ馬２０組を持って来た！
日奉宗政の２００騎に託して準備出来てるよ！」
「ぶははは！松千代！面白い物を持って来たなぁ、これは切り札に使わせて貰うぞ！」
義秀は敵襲を受けながら笑う姿を見せて周囲の将兵に安心を与えました。
綾部勢２０００は封鎖された道を避けて田畑や雑木林を通り、東から大堀川陣営に接近しました。
宇佐美勢３０００も封鎖した道を避けて田畑や雑木林を踏破して南から大堀川陣営に接近しました。
「政家！騎兵を出して綾部勢、宇佐美勢の動きを妨げろ！」
義秀の命令に従い、鹿島政家が騎兵を向かわせます。
義秀は陣営から綾部勢に対して騎兵２００、宇佐美勢に対して騎兵２００を出して牽制させました。彼らは流鏑馬の如く走りながら射撃する名手であり、綾部勢、宇佐美勢の先鋒部隊の前進を弓矢の射撃で妨げます。
立花家の騎兵は背中に１０本入りの矢筒を背負い、馬体の左右に１０本ずつ矢筒を装着、ひとり３０本を装備しています。
騎兵４００の部隊が１２０００本の弓矢を装備して迎撃します。
綾部勢と宇佐美勢は盾兵を前に並べて進みます。立花軍の騎兵は位置を変えて射撃確度を
変えたり、水平射撃と上空射撃を交えて射撃を続け、綾部勢、宇佐美勢は苦戦しますが、綾部勢、宇佐美勢も各々２００の騎兵を出して対抗します。彼らは馬上槍を得意として突撃を敢行します。
立花軍の騎兵の弓矢を恐れず集団で突撃します。立花軍の騎兵は距離を保ち、弓矢を放ち、移動しながら突撃を回避します。
騎兵同士の激しい鬩ぎ合いが続きます。
立花義秀は陣営から騎兵を２００騎ずつ次々に交代させました。
疲れた騎兵を元気な騎兵と交代します。
綾部勢、宇佐美勢の騎兵は約１０００ですが、集団戦闘の訓練を受けた騎兵は５００しかありません。
立花義秀の大堀川陣営には騎兵１２００、全てが集団戦闘訓練を受けています。
義秀は騎兵１０００を用意して次々に交代します。５００騎が全ての綾部勢、宇佐美勢の騎兵は消耗して次々に射たれ、綾部勢、宇佐美勢の前進は停止、そこに立花軍の鹿島勢、瀬沼勢の騎兵２０００が到着、背後から攻撃を開始すると、綾部勢、宇佐美勢は前後を挟撃される形になり、堪らず後退します。
綾部勢と宇佐美勢は挟撃されながも部隊の備えを崩さず、後退を始めました。
大井川陣営の北側の戦いは古河公方軍、野田勢５０００が守谷街道筋から脇道伝いに分散して南下、佐伯勢７０００が攻勢を受け止めて互角の戦いが続いていました。
そこに、高田城方面から北へ抜けて退却したと思われた真言宗勢６０００が大堀川陣営の戦場に現れ、陣営の南、封鎖した諏訪道から木材を退けて進みました。
諏訪道に配置した瀬沼勢は南へ離れ、宇佐美勢と戦闘中です。
守備側の隙を突き、真言宗勢６０００が陣営に接近しました。
物見の兵士から陣営に真言宗勢の接近が報告され、陣営の中は慌ただしくなりました。
─立花義秀、鹿島政家─
「殿！どうやら古河公方軍は我が陣営攻略に狙いを定めた様です。
退却を偽装していたのかもしれません！」
「ぶははは！簗田高助は危険な奴だぞ！
兵力不足を仏教宗派の僧兵数万を集めて補い、軍資金さえあれば無限に増やせる方法を考えやがった！」
「殿、真言宗勢６０００！侮れません！
こちらに向かって参ります！」
「さて、諏訪道から来たなら陣営の西に控えた藤原家長の２０００を諏訪道に向かわせろ！
それから騎兵部隊１０００を南から引揚げさせろ！」
陣営の西に控えていた藤原勢２０００が諏訪道から真言宗勢を抑えに向かいます。
南へ追撃に出た騎馬隊１０００に帰還の指示が出されました。
午前７時に始まった戦いは午前９時を過ぎていました。
高田城、松ケ崎城方面に退却した古河公方軍は瀬能勢が高田城周辺を守り、曹洞宗勢が松ケ崎城周辺を守り、立花義國が追撃させた本多勢、立花義弘の軍勢を各々撃退しています。撤退作戦は順調に進みました。
今後は高田城、松ケ崎城を維持するか？
破棄するか？
立花義秀の大堀川陣営をどこまで攻撃するのか？簗田親子で検討していました。
─午前９時頃、高田城─
─簗田高助、簗田晴助─
地図を広げ、城の配置、軍勢の配置を見て今後の方針を検討しています。
「父上、ここまでの撤退は想定以上に順調に進みました。後は維持する地域と破棄する地域を選ぶ必要があります。
明日になると立花軍は態勢を建て直し、立花将広の軍勢が３００００ほどの軍勢が戦場に現れ、勝ち目がなくなります！」
「晴助、現在戦っている立花義秀の大堀川陣営は落とせると思うか？」
「かなり厳しいでしょう。
我が手勢２０００を派遣して大堀川陣営の援軍に向かった畠山勢の進路を妨げていますが、間も無く突破して援軍の畠山勢が戦いに加わりましょう。
そうなれば一気に立花軍が有利になります。これ以上無理に戦うより、和議を考えませんか？」
「和議だとぉ！？
今から我らが大堀川陣営に向かえば、勝利出来るかもしれんのだ！
簡単に言うな！」
「父上、勝てたとしましょう。
立花義秀を討ち取ればどうなります？
午後には怒った立花軍全てが大堀川陣営に集まるでしょう。
我が古河公方軍は逃げ回り、全滅となりましょう…ここは大堀川陣営に向かい、こちらから和議を求めれば、立花義秀は受け入れると思います」
「ぶははは！お前はいつからそんなに冷静になったんだ？つい最近まで悪餓鬼みたいに粗雑だったではないか？」
「父上、俺だって成長します。
二年前、小弓城の攻防戦で立花軍と死闘を重ねて生死を別ける経験をしましたからね。
なんせ、父上が死にかけた時に簗田家を背負う覚悟をしましたから、生意気な口癖は未だ残っているかもしれませんが、まずは生き延びて次ぎの機会の準備に掛かりましょう」
「うむ、そうだな、高城領に侵攻してひと月になる。将兵は疲れ、早く帰郷して田植えに取り掛かりたいだろう。
立花家は田植えの季節に和議に持ち込む事が多いからな…
では、大堀川方面に向かうとするぞ！」
高田城から簗田高助の軍勢５０００と晴助の軍勢６０００が大堀川方面に移動しました。
高田城から大堀川陣営まで４キロしかありません。
１時間で到着する距離です。
簗田親子の軍勢の移動は大堀川陣営の立花義秀の元に察知され、緊張が高まりました。
古河公方軍、簗田親子は今後の方針を話し合い、嫡男、晴助が冷静に和議を提案しました。
和議の話し合いの為、親子は軍勢を率いて大堀川陣営に向かいます。
