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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)5月15日、簗田晴助、敗軍の建て直しに奮闘!

簗田高助の嫡男、簗田晴助が古河公方軍の敗軍を纏めました。

明朝までに軍勢を立て直す事が急務になります。

1546年(天文15年)5月15日


高柳ケ原の夜戦に破れた古河公方軍は松明たいまつの準備不足が顕著でした。

一時は立花軍を包囲して圧倒的優位だったにも関わらず、照明不足から決定的な優位を生かせずに立花軍の逆襲を招き、同士討ちが多発、自滅して敗走する事になりました。


不幸中の幸いに、戦場から幸谷城、柏城が2キロ程の距離に有り、多数の城兵が要所に篝火を掲げ、松明を持った数百の兵士達が捜索に向かいました。


敗走する将兵は彼らの迅速な対応に救われました。その指示は古河公方家、筆頭宿老、簗田高助の嫡男、簗田晴助から出されました。

晴助の軍勢は夜戦を見越して松明の準備がありましたが味方の軍勢に松明が不足している事を悟り、戦いの最中に幸谷城、柏城に篝火、松明の準備を命じていました。


敗走する古河公方軍の中で唯一奮戦して立花軍を引き付けて味方の逃亡を助けました。

やがて立花軍が追撃を停止すると戦場周辺を探索して味方を集めて幸谷城、柏城へ導きました。


晴助は幸谷城、柏城、戸張城、大井追花城に篝火、松明を絶やさず、明朝明るくなるまで明かりを絶やすな!と指示していました。


更に小野田城が陥落して援軍の綾部勢、宇佐美勢が敗走して行方不明と知ると夜間に関わらず捜索を命じます。

「小野田城の北側へ逃れたなら岩井城、小森城あたりに居るだろう。明朝には敵方の掃討作戦が始まるぞ!早急に捜索して明朝迄に柏城へ連れて参れ!」と80騎の捜索部隊を派遣しました。


簗田晴助が柏城に帰還した頃には古河公方、足利晴氏、簗田高助も無事に帰還していました。

柏城に収容しきれぬ軍勢が溢れています。

負傷した兵士が夥しい数になり、多数の将兵が空腹を抱えて食事の支給を待たされて士気が落ちている状況でした。

「なんだこの様は!男なら気合いを挙げろ!」

晴助が叫びます。


「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」

数百の兵士が応じました。


「もっとだー!!

気合いが足りねえぞー!!」

晴助が気合いを入れました。


「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」

更に多数の兵士が応じました。

「負けて落ち込むなー!

気合いだー!

もう一度だー!」


「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」

周囲に居た1000以上の兵士達に気合いが入りました。


「明朝から戦いが始まるぞ!

敵にやられたままで良いと思うなー!」


「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」


周囲に響く数千の気合いが響き、古河公方軍の士気の落ち込みが回復しました。


綾部勢、宇佐美勢の捜索に向かった捜索部隊は両軍勢を見つけて柏城に導き、綾部勢2000、宇佐美勢3000が深夜に合流しました。簗田晴助が捜索させて5000の軍勢が加わり、筆頭宿老、簗田高助に報告が入りました。


この日、幸谷城、柏城に帰還した兵士は32000、未帰還兵7000に及びました。


─柏城─

─簗田高助、簗田晴助─


「晴助、良くやった!

負けた状況で5000の軍勢が増えるのは有難いぞ!」


「それで父上、明朝に立花軍は総攻撃をして来るでしょう。

どうなさいますか?」


地図を広げて両軍の配置を考える二人…

古河公方軍は敗走した兵力を集めて幸谷城、柏城周辺に30000の兵力が残りました。

敵の立花軍は推定90000、明朝は退路を絶つ行動が予想されます。


「常識的には北から真っ直ぐ古河方面に退路を確保して退却すべきだろうな?

柏城の北、1里(4キロ)先には高田城と松ケ崎城の二つを確保して退却するなら、北西に居る立花義秀の軍勢推定20000の軍勢が封鎖するだろうな?」


「父上、立花義秀は兵力の半数を高田城、松ケ崎城に回して北の通路を封鎖するでしょう。

立花義秀の手元の軍勢は10000程度と思われます。

父上の軍勢は立花義秀の軍勢の近くを抜けて、背後の深井城付近から利根運河を渡れば我が古河公方家の支配地域に入ります。

運河なら船の必要無しに渡れます!

私の軍勢に殿軍を任せて頂きます!」


「待て!お前がやらずとも、簗田家の直参家臣に任せれば良いではないか?」


「父上!公方様をお願い致します!

今回の負けを致命的な敗戦にしない為に!

私に任せて頂きます!

瀬能、宇佐美、綾部の簗田家直参家臣と軍勢をこれ以上失わずに古河に戻り、兵力回復をさせなければなりません。

私の軍勢8000の殆どは僧兵です。

僧兵達は死んだら極楽に行けると信じておる故に勇敢に戦います。

必ず生還する故、殿軍を任せて頂きます!」


「わかった!殿軍を晴助に任せる!」


「それでは父上、柏城、幸谷城の守備兵を我が手勢500ずつ配置いたします。

守備兵を交替させて、父上の軍勢は夜明け前に深井城方面に向かって下さい。

明るくなると立花軍が動きます。

薄暮の時間には出立して、少しでも早く深井城方面に抜けて下さい!


高田城、松ケ崎城近くには曹洞宗勢、瀬能勢の9000が北へ逃げる退路確保の為に残っております。

我らは彼らと合流して退却します!」



「ぐははは!それならば立花義秀の居る大堀川陣営の南から抜けて背後を威嚇しながら通過してやろうぞ!」


「はい、善き手にございます!」


簗田父子は手を握り、再会を誓い、各々の準備に掛かりました。




古河公方軍は高柳ケ原の夜戦に敗れて大きな痛手を受けました。

崩壊の危機に簗田晴助の働きで士気が保たれ、再起を期した撤退作戦が始まります。

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