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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)5月15日、高柳ケ原の夜戦!

立花将広は勝利を掴みながら、未だ足りない何かを自問自答していました。

その問いかけが立花家の運命を左右します。

将広に夢のお告げが…

1546年(天文15年)5月15日


─藤ケ谷城、立花将広陣地─

─立花将広、新納忠義─


立花将広の陣地に配下の楢島正臣から戦勝報告が届きました。

古河公方軍が守る小野田城を攻略、古河公方軍の援軍、綾部勢3000、宇佐美勢4000を撃破した事、楢島勢、立花義弘勢等12000の軍勢が藤ケ谷城に向かっていると報せが届きました。


立花将広の陣地に勝利を喜ぶ兵士達の笑い声が響きます。しかし、立花将広は吉良勢を主戦場に向かわせた後も不安が残りました。

地図を見ながら周囲の城、軍勢の配置を眺めます。夕刻になり、これ以上兵力を動かすには適していません。


夕刻になり、早朝から働いて疲れた身体は疲れていました。

すぅーっと、将広に一瞬の眠気が襲いました。


そこに光輝く不動明王の姿と腕に抱かれた松千代の姿が…

「迷うなー!前に進めー!」

松千代の声が聞こえて目が覚めました。

なぜ?松千代と不動明王様?…

これが夢のお告げなのか?…


「打つ手は未だ足りぬ?…だとすると…高柳城に更に援軍を出すべき…」

独り言を呟く将広…


その様子を察した新納忠義は決意します。

「将広様、新納勢、常陸僧兵部隊10000は何時でも出撃する準備が出来ております!

夜戦に備え、既に松明の用意も完了しております!」


「よっしゃ!忠義!決めたぞ!

10000の軍勢を引き連れて柏街道を進み、高柳城の北から回り込み、義國の軍勢の支援を頼む!」


新納忠義は新納勢、常陸僧兵部隊を率いて藤ケ谷城から北へ進み、柏街道に進みました。

出立して間も無く日没になり、松明を掲げて道を進みます。

やがて斥候部隊が高柳ケ原で古河公方軍と義國の軍勢が戦っている場所を特定しました。

行軍する道筋の西側に広がる田畑と原野の奥に松明が幾つも見えます。

斥候部隊は味方の軍勢が古河公方軍に包囲されている事を掴みました。



報告を聞いた新納忠義は落ち着いて接近する事を命じ、田畑、原野の間道を伝って戦場を目指しました。松明を最大に灯して周囲に展開します。

その時、先行して援軍に向かっていた吉良勢が戦場の南側から古河公方軍に攻め掛かる様子が見えました。


「吉良勢に続くぞー!

応援歌で報せるぞー!」

味方に援軍到着を知らせる為、太鼓を鳴らして応援歌を合唱させす。


ダダダン!ダダダン!ニッポン

ダダダン!ダダダン!ニッポン!

おぉーぉー!にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!

おぉーぉー!にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!

おぉーぉー!にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

にぃーぃーっぽぉーぉーん!

ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!

ダダダン!たちばな!

ダダダン!たちばな!


薄暗い高柳ケ原の戦場に援軍到着を報せる応援歌が響きました。

古河公方軍に包囲されて苦戦中の立花軍将兵に援軍10000の合唱が胸に響きます。

「援軍だ!大軍だぞ!」

「援軍が来たぞ!きっと将広様の援軍だ!」

「泥酔軍師の援軍だぞ!」

立花軍の将兵が沸き立ちました。


包囲している古河公方軍は簗田晴助(簗田高助嫡男)の軍勢は松明を十分に備えていましたが、その他の古河公方軍は急な展開になり、松明が不足しており、包囲しながら立花義國の軍勢に十分な打撃を与える事が出来ていませんでした。


「義國を討ち取るまで後一息だったのに!

何で援軍が?立花将広の軍勢か?」

簗田高助が嘆きます。


立花軍の援軍10000の応援歌に大量の松明に驚き、古河公方軍の将兵が動揺しました。

新納忠義は常陸僧兵部隊3000に攻撃を命じました。


「裏切りだー!僧兵部隊が裏切ったぞー!」

古河公方軍の各所から僧兵部隊の裏切りを告げる声が聞こえました。


僧兵姿の軍勢から攻撃を受けた古河公方軍は味方の僧兵部隊が裏切ったと思い込み、一気に崩れました。


松明の明かりが限られた古河公方軍に多数存在する僧兵姿の軍勢は見分け方が付かず、忽ち同士討ちが始まりました。

古河公方軍の僧兵同士、一般将兵と僧兵が暗がりで同士討ちになりました。


古河公方軍は立花義國の軍勢を包囲している背後の南から吉良勢、東から新納勢に背後から奇襲される形になりました。


古河公方軍の包囲が破れ、援軍の新納勢が松明で周囲を照らし、立花軍は弓矢の雨、連射を浴びせて一方的な展開に変わりました。

古河公方軍の将兵は同士討ちをしながら北から西方向、柏城や幸谷城方面を目指して逃げ出します。

松明不足は退却を困難にしました。

方角が解らなくなり、高柳ケ原をさ迷い、次々に討ち取られました。


古河公方軍側で唯一、多数の松明で味方を引寄せて退却を助け、鮮やかな活躍をしたのが、簗田高助の嫡男、簗田晴助の軍勢でした。彼の軍勢4000は立花軍の攻撃を受けながら、軍勢の姿を維持しながら見事に退却しました。

その他の軍勢は散々な状態で退却して行きました。


立花義國が率いる軍勢は新納勢の将兵と共に追撃に転じました。程々に追撃した後、安全を優先して追撃を停止すると軍勢を集結させました。やがて南側から攻撃していた吉良勢とも合流を果たし、勝利の鬨の声をあげました。


「エイ!エイ!おぉーぉー!

エイ!エイ!おぉーぉー!

エイ!エイ!おぉーぉー!

エイ!エイ!おぉーぉー!」


高柳ケ原に立花軍の勝利の声があがりました。

立花義國は藤ケ谷城、佐津間城の味方の城に伝令を走らせて勝利を伝えました。

夢のお告げに立花将広が素直に従いました。

それは立花家の運命を左右する分かれ目になりました。

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