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1546年(天文15年)5月15日、松千代、不動明王様と義國を叱咤激励!

泥酔軍師、魔術師、立花将広が精力的策を巡らす一方で、疲労が溜まり、立花義國の鎌ケ谷城本陣には緩い空気が充満していました。

1546年(天文15年)5月15日


立花頼将は父、立花将広から課題を与えられ、高津城、吉橋城、八千代城の恭順した将兵から志願者を募り軍勢を組織しなければなりません。集めた軍勢を楢島正臣に託して小野田城攻撃に向かう事になっています。

父の課題が時間的に厳しい事に気付きました。馬を走らせながら側近達と頭を働かせて解決方法を考えました。

「やるしか無い!早い者勝ちで、募兵に応じたら支度金を3貫(30万円)にするぞ!割り増しすれば志願者が殺到するだろう!」

馬上で即決すると頼将は側近達を、3つの城に先行させて募兵を急ぎました。


父から預けられた支度金は馬車で運んでいます。金額を確認せずに預かり、不足したら大変です。頼将は不安になりながら道を急ぎました。


やがて高津城に到着すると、頼将の目に志願者の行列が見えました。

馬車の支度金を確認すると1貫(10万円)ずつ袋に包まれ、目録を確認すると 30貫を配っても足りる600名分の支度金が用意され、目録の最後に城の警備に残る者にも夕刻までに支度金を用意すると、記載されていました。頼将は用意周藤な父の配慮に感謝しました。


吉橋城で支度金を配る最中に父、将広が夕刻までにと知らせた支度金が届きました。

万が一、手間取る事態を想定して父、将広が輸送部隊と騎馬隊を派遣した事が判明しました。

父、将広から騎馬500騎と志願兵を率いて楢島正臣の軍勢と合流せよとの命令が伝えられました。


立花頼将は吉橋城、八千代城へ向かい、3つの城から志願兵 を500名を加え1000の軍勢にて楢島正臣の軍勢6000と合流しました。

八千代川の河川敷で軍勢を整え、楢島正臣を主将に7000の軍勢が小野田城攻略に向かいました。


八千代川の河川敷から小野田城まで4キロ、行軍1時間の距離にありました。

小田野城の南西2キロには立花義弘と高城義春の軍勢9000が待機しています。

小野田城攻略に向かう楢島勢と連絡が繋がり、小野田に立花軍16000が接近します。


小野田城は千葉家の領地で800の城兵が配備され、千葉家の兵士600名と古河公方家の兵士200名の構成になっています。

昨夜から立花将広の軍勢40000が小野田を攻略に向かうと噂が城内に流れました。


午前中に高津城、吉橋城、八千代城が立花将広の軍勢に降ったと知らせが入りました。3つの城が千葉家の手を離れ、小野田城の城兵達は心理的に厳しい状況にありました。


立花将広から小野田城に噂を流す任務を命じられた吉良頼貞は立花将広が40000の軍勢を率いて小野田城攻略に向かう噂と、千葉家の兵士達が降伏する噂、内応する噂を流していました。

噂に怯える兵士達の目に小野田城に迫る立花家の大軍が迫ります。

朝廷から認可された黄金菊の紋章の軍旗が掲げられ、恐怖心が高まります。

やがて古河公方家の兵士達が逃げ始めました。古河公方家の兵士200は小野田城の東に布陣する宇佐美勢4000の陣へ逃げ込みました。


楢島勢7000は小野田城の東へ進路を進み宇佐美勢に向かいました。

宇佐美勢は小野田城を攻撃する立花家の軍勢の腹背を攻撃するつもりで待機していました。

直接攻撃される想定せず、陣地と言える防御力はありません。いきなり楢島勢の弓矢の連射に晒され、盾を並べて防御に徹しますが騎兵部隊の馬上から連射を受けて陣形が乱れ、長槍隊の侵入を許すと宇佐美勢は後退を始めました。


一方、立花義弘の軍勢9000も小野田城の西に布陣している綾部勢3000に攻め掛かりました。3倍の軍勢の兵力差を生かして包囲に掛かりました。

綾部勢も小野田城に攻める立花軍の腹背を攻撃する体制で待ち構えていました。


将兵達には立花将広の軍勢40000が攻めて来ると噂があり、内心怯えていました。

「不味いぞ!40000の軍勢だからいきなり此方に来たぞー!」

「無理だ、逃げろー!」

前線の兵士達は立花義弘の軍勢に威圧されて逃げ始め、総崩れになりました。

勝手に40000の軍勢が攻めて来たと思い込む兵士達が隊列を乱して逃亡します。

綾部勢は崩壊しました。

小野田城に残っていた千葉家の城兵は援軍が敗色濃厚な様子に恐怖が高まり、北門から脱出を開始します。


城兵が逃亡する様子には、楢島勢の攻勢に辛うじて耐えていた宇佐美勢も戦意を失い、退却を開始しました。

古河公方軍は綾部勢、宇佐美勢が厳しい追撃を受けて四散しました。


小野田城攻略に成功した楢島勢、立花義弘の軍勢は深追いをせずに軍勢を集結、軍勢に一旦休息を与えました。


小野田城攻略部隊、最上位の立花義弘は5キロ先、古河公方軍の支配地域、藤ケ谷城を目指して進路を北西に軍勢を進めました。



─下総国東葛飾郡、花輪城─


松千代はこの日の午前中、祖父、立花義秀を叱咤激励して出撃を見送り、花輪城に残りました。

松千代の周りには松戸湊から率いて来た水軍と護衛を含めた1000に守られています。

安心した松千代は疲れて眠りにつきました。

夢の中でふかふかの雲に包まれ、青い空に導かれると不動明王が現れました。

笑顔の不動明王が優しく松千代に語りかけます。

頭の中と胸に響く天界の声が疲れた松千代の身体を癒し、不動明王の腕に抱えられると暖かい炎に包まれ、不思議と疲労が抜けて身体が楽になりました。

松千代は不動明王に導かれ、空を移動しました。


─高城領、鎌ケ谷城立花義國本陣─

─立花義國、東郷信久─


立花義國は2日前の激戦の疲れが残り、今日は身体を休めたい、兵士も疲れてるから休ませたいと考えていましたが、早朝から叔父、立花将広の伝令に起こされて高津城、吉橋城、八千代城を攻略すると勝手な作戦をを聞かされて睡眠時間が削られました。


大軍の指揮を統べる総大将は決済しなければならぬ事が多数あり、寝不足になる事を痛感しました。

やがて立花将広から午前中に高津城、吉橋城、八千代城の陥落が知らされた後、連日の疲労から居眠りをしてしまいました。

側に仕える東郷信久は周りを静かにさせて寝不足の義國を寝かせていました。

東郷信久は義國を支えて彼も睡眠不足と疲労を抱えています。

やがて信久も眠りに落ちました。


暫く眠りに墜ちた二人…

二人の夢の中に少年が現れます。

背中に炎を帯びる鬼の形相の不動明王が右腕に大剣を持ち、左手に松千代を抱えています。

「目覚めよー!関東静謐!民の安寧の為!

厭離穢土欣求浄土!救国済民!

戦えー!!気合いだー!!」


松千代の声が響き、不動明王の炎が迫り、「うわぁっ!熱い!!」

熱い炎に包まれて目が覚めました。


二人は同時に目覚め、同時に目を合わせました。側近達がクスクス藁っています。


「信久…夢を見た…松千代が不動明王に抱えられ、何か松千代が叫んだら不動明王の炎を浴びた…

厭離穢土欣求浄土おんりえどごんぐじょうど!と言ってたのだが…」


「若殿、私も松千代様と不動明王様が夢にいらっしゃいました。

関東静謐…民の安寧…救国済民…目覚めよ!

戦え!と聞こえました」


「そうだ、信久、最後は熱い炎に包まれて目覚めた…

夢のお告げ?…松千代と不動明王だぞ!」


「若殿、同じ夢のお告げでございます。

松千代様が不動明王様とご一緒です!

戦え!気合いだー!とおっしゃいました!」


「信久、なんだか、眠気が消えて、疲れた身体に元気が出てきたぞ!

不動明王の炎が直してくれたに相違ないぞ!」


「はい、私も眠くありません。身体が軽くなりました!夢のお告げは本物です!」


「ならば、戦うぞ!休息を返上する。

諸将を集めろ!気合いを入れるぞ!」


立花義國、東郷信久は諸将を集め、夢のお告げの話を公表しました。

日頃から松千代の夢のお告げを知る武将達は縁起が良いと喜びました。


「川越、秩父と転戦、そして鎌ケ谷まで遠征が続き、さらに連日の戦いで、皆疲れているのは承知している!

諸将と兵士達に感謝申し上げる!

しかし!我らは朝廷から綸旨を戴き、関東静謐!民の安寧を命じられた天下の官軍である!本日中に古河公方軍と決着をつける!

正義の戦いだ!気合いの声をあげよ!」

義國が叫びます。

「うおぉー!!」


「エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!

エイ!トウ!エイ!」

諸将が声をあげました。

緩んでいた雰囲気から、本陣の将兵に引き締まった気合いが入りました。


立花義國は古河公方軍の高柳城本陣に攻撃を集中する命令を発令しました。

─古河公方軍、高柳城本陣攻撃部隊─

畠山勢13000

本多勢9000

立花義國7000


─合計29000─


畠山勢13000は高柳城の西から進撃します。本多勢9000は高柳城の南から進撃します。立花義國の軍勢は高柳城の東から進撃します。

古河公方軍、高柳城本陣周辺に立花義國の軍勢29000が攻勢を仕掛けます。




疲れて居眠りしている立花義國、東郷信久の夢に松千代と不動明王様が現れて叱咤激励しました。

立花義國に気合いが戻り、戦局が動きます!


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