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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)5月15日、立花将広の魔術策動!

松千代は立花家の危機には様々な神様の夢のお告げで立花家を救って来ました。

軍勢を引き連れて戦い、松戸城攻防戦、川越城攻防戦、鉢形城攻防戦などで全勝しています。

立花家にはもう1人、泥酔軍師、立花将広も負け知らずの連戦連勝を続けています。


松千代と立花将広が同じ戦場に居るのは初めてになりました。

さて、戦場にどんな影響を及ぼすのか?

楽しみな展開になりました。

1546年(天文15年)5月15日


立花家当主、立花義秀は56歳、4年後には家督を嫡男、立花義國へ譲る事を考えています。4年後に義國は35歳になります。

大軍を率いた総大将としての経験を少しずつ重ね、川越城攻防戦、秩父鉢形城攻防戦では何度も死闘を経験しました。

今回の戦いでは古河公方軍が優勢な状況から徐々に盛り返し、総大将として奮闘しています。


2日前に戦場に到着した義秀は総大将をそのまま義國に任せ、5月14日、軍勢を率いて主戦場の西部方面、深井城と深井湊の攻略に向かいました。

流山城、花輪城を確保しましたが、真言宗勢の猛烈な攻撃に苦戦します。

松戸湊から松千代が水軍部隊を率いて援軍に現れ、更に周囲から援軍が加勢して撃退、激闘の末の辛うじて耐えた辛勝になりました。


15日早朝、太陽が登り、爽やかな朝を迎えました。遠征疲れで立花義秀の身体は疲労が残り、頭から冷たい水を浴びても眠気が去らぬほど疲れていました。

そこに朗報が届きます!


鎌ヶ谷城本陣から立花義國が伝令を向かわせました。花輪城外に布陣している立花義秀の将兵達に効かせる為に陣中を5騎の伝令達が叫びます。

「伝令!伝令でこざる!

昨夜、立花将広様が幕張城に到着!

立花将広様の軍勢40000が幕張城に到着しましたー!

房総半島の里見家の反乱を鎮圧!

下総公方家、千葉家の軍勢を粉砕なされ!

立花将広様が40000の大軍を率いて幕張城に到着!」


花輪城の外から聞こえる声が城内にも聞こえます。やがて伝令の使者達5騎は城内に入り、代表が義秀に報告します。


「昨夜、立花将広様の軍勢が幕張城に到着されました。

昨日、猪鼻城にて千葉家の軍勢を粉砕為されて4000余りの捕虜を確保、宿老、奥住様に後始末を託されて来たとの事にございます。将広様が引き連れた軍勢の実数は29000にございます。

城の外では40000と人数を割り増して叫びましたが、義國様から敵方の間者に聞かせる為に声高に叫びましてございます!」


「ぶはははは!よっしゃ!

それで良し!と義國へ伝えよ!

こちらの軍勢は深井城、深井湊周辺から幸谷城周辺に圧力を掛けるぞ!と伝えよ!」


使者達は報告を済ませると鎌ヶ谷城に戻りました。




─下総国、東葛飾郡、花輪城─

─立花義秀、鹿島政家─


「驚いた…まさか、将広が此方に来るとは想定しておらぬ、ぶはははは!

古河公方家の簗田高助は頭を抱えてるだろう

から笑いが止まらぬ!

我が軍勢は90000程の大軍になるぞ!

義國と将広の動きが楽しみだぞ!」


そこに美人侍女5名を引き連れた松千代が現れました。

「お爺!将広爺が来たー!

もうすぐ会えるんだ!

将広爺!すごーい!」


義秀は満面の笑みで松千代を抱き締めます。

「凄いのは松千代だぞ!

2ヶ月前に里見家に反乱の兆しが見えた時、松千代が将広を指名したから派遣したんだぞ!」


「あのね、将広爺は敵方の武将や兵士達を惹き付ける魅力があるから、味方にしてしまう不思議な運気を持ってるよ」


「だはははは!松千代には将広が大活躍するのが見えていたのか?」


「頭の中に将広爺が大勢に迎えられて祝福されてる姿が見えた!

だからお爺にお話したんだよ!」


「そうか!見えてたのか!

ぶはははは!昨日は死にかけたほどの苦戦を松千代が水軍部隊を率いて救ってくれた!

凄い軍師だな?

松千代は立花家の至宝だぞ!

宝物だぞ!」


「お爺に宝物って言われたら一番嬉しいょ!

お爺大好きー!」


松千代と祖父、義秀の会話に周りの雰囲気が和みます。実は松千代が駆けつけた戦いは全て逆転勝利に導いています。


「ぶはははは!負けそうな時に松千代が現れたら全部逆転勝ちだなー!

泥酔軍師、将広も負けた事無い奴だな?

いつも二人を連れて戦に出れば良さそうだな?」


「将広爺はね、不動明王様が守護神様だから強いんだよ!」


「何?将広に不動明王様が?

松千代には見えるのか?」


「見えてるよー!だから負けないよ!」


「ぶはははは!松千代が側に居る!

不動明王様に守られた将広もやって来たから負けないぞ!

ぶはははは!良い事を思い付いたぞ!

政家!至急だ!噂を流せ!

里見家を反乱軍から救い、武力介入した古河公方家、下総公方家、千葉家の軍勢に連戦連勝!房総半島を縦断して駆けつけた泥酔軍師、立花将広の守護神は不動明王様だとな!」


「はい、承知致しました!」

鹿島政家もニヤリと笑い、手配に掛かりました。


─昨日5月14日夜20時頃─

幕張城に到着した立花将広は猪鼻城の攻防戦の祝勝と、1ヶ月余り房総半島を駆け回った慰労を兼ねて二日酔いにならぬ程度に諸将と焼酎、日本酒を呑み、旨い酒の肴を楽しみ、締めに湯漬けを食べていると、突然明日の策が閃きました。


「おぃ!地図を持って参れ!」

吉良頼貞が周辺の要所が記された地図を広げました。

吉良頼貞は高城家の家臣を招き、両軍のおおよその配置を確認しました。


「楽しい事をやるぞ!

柏、鎌ヶ谷の主戦場の西側

に兄、立花義秀の軍勢が深井の城や深井湊の攻略を目指している。

中央辺りに義國(立花義國)の軍勢があり!

俺たちの軍勢が東を担当すれば、義國が楽になる!

明朝、高城領と千葉家の国境、高津城、吉橋城、八千代城を攻略するぞ!」


「叔父上、総大将の義國殿に許可を取りましょう」


「ぶはははは!面倒だな、朝一番で鎌ヶ谷本陣の義國へ伝令を出せ!

高津城、吉橋城、八千代城を攻略して小野田城攻略に向かうから、後は任せると告げよ!」


「はい、手配致します!」

吉良頼貞が答えました。


立花将広は幕張城内、高城家の家臣から敵方、国境の千葉領、高津城、吉橋城、八千代城の様子を確認すると方策を決めました。

現在、3つの城の守備兵力は各々300程度です。千葉家は房総半島に兵力を集中した為、当初は500から800程の兵力が配置されていましたが、国境からも兵力が動員されて兵力不足になっていました。


「決めたぞ!

高津城、吉橋城、八千代城3つの城の城主と将兵に通告する!

①40000の大軍と戦うか?

②無条件に退去するか?

③希望者全員を立花家に召し抱える!

立花家に仕えるなら支度金2貫(20万円)

俸給は月給制の現金支給、城主と幹部等、現状の地位を保証する!

俸給は城主が月20貫!(200万円)

副城主を5名任命する!

副城主の俸給は10貫!(100万円)

その他の俸給は地位に応じて与える!

どうだ?頼将(嫡男、立花頼将)!

お前に任せる!明早朝に使者を派遣しろ!

それから、3つの城に先発部隊200名ずつ派遣して松明を使い、立花軍の進攻が近いと悟らせろ!」


「はい!父上、承知致しました!」

4月上旬から房総半島を転戦しながら父、将広に数々の無茶振りに鍛えられた頼将は託された2つの任務に取り掛かりました。


吉良頼貞が心配します。

「叔父上!立花家で雇うならば、義父上(立花義秀)の承諾無しで大丈夫ですか?」


「ぶはははは!事後承諾で構わぬ!

大丈夫だ!先月も事後承諾をやらかしておるからな!兄上も馴れてるぞ!

常陸国の佐竹義廉の軍勢3000を古河公方家から房総半島の戦場で引き抜いて雇用したばかりだ!1000名は帰国を希望したから雇用期間中の報酬は支払い済みだ!

兄上から遠征の軍資金を潤沢に預かってるから、立花家に仕えるなら支度金は即払い可能だぞ!」


「叔父上、承知致しました」

吉良頼貞の心配が消えました。


「頼貞殿、高津城、吉橋城、八千代城は明日の昼間でには確保出来るだろう。

だからこそ、今、古河公方軍と千葉家の繋ぎの要衝が、小野田城となる。

小野田城に噂を流して貰いたいのだが、頼めるか?」


「はい!叔父上、何なりとお申し付け下さい!」


「明日の午後、立花将広の軍勢40000は小野田城を攻撃する!

これだけの噂だが、小野田城の将兵に伝わる様に流して貰いたい。やり方は任せるぞ!」


「はい、承りました!」


吉良頼貞は嬉しそうに挨拶をするとその場を離れました。


立花将広の思いつきの策が始動します。深夜に千葉家の支配地域、高津城、吉橋城、八千代城に向けて各200の先発部隊が出発しました。

先発部隊は城の周囲に到着すると、篝火、松明で城方の警備兵に軍事行動を認識させて脅威を与えました。


─5月15日早暁─


夜明け前、日の出前に立花将広の軍勢は稼働します。未明から準備が始まり、午前4時半過ぎに朝日が登ります。朝粥が配られて腹拵えを済ませると、次々に立花家の軍旗を掲げた軍勢が出陣しました。


高津城に平山勢2000、吉橋城に久良岐勢2000、八千代城に楢島勢2000が向かいました。

各々の城には前日の夜から立花軍の篝火、松明が揺れ動き、不安を誘っていました。

朝日が昇ると立花家の菊の紋章の軍旗を見た城兵が騒ぎます。

そこに立花家の使者が現れました。


立花家の使者は各々の城主と対面すると立花将広が提示した3つの提示から1刻(2時間)以内に回答を求めました。

40000の大軍と戦うか?

退去するか?

立花家に仕えるか?


城主及び幹部には前日から千葉家の軍勢が猪鼻城で大敗した事、幕張城周辺に立花将広の軍勢40000が到着した事や、立花家の当主、立花義秀の軍勢が流山城方面に進攻した事等が知らされ、厳しい状況を把握していました。


回答時間が限られている為、城主と幹部達は急遽、城兵を集めて状況を説明しました。

説明を受けた城兵達に戦う気力はありません。定員に満たない守備兵力と援軍も期待出来ぬ状況で、戦うのは無理だと意見が一致しました。


選択肢は2つ、立花家に仕えるか?

退去するか?

立花家に仕える場合の待遇を聞いた将兵達は大半が立花家に仕える事を考えました。


千葉家の城兵達は立花家と同盟してから高城家の兵士達の待遇が月給制の現金支給と聞いて羨望していました。

立花家に仕えると更に待遇が良いかもしれません。今回は支度金2貫(20万円)が決め手になったかもしれません。

幹部にも旨味があります。

通常は城主を支える城代は1名ですが、副城主の役職で5名の任命と聞いて喜びました。

城主と幹部達の地位の保証が決め手になりました。

しかし、少数の将兵には事情があり、退去を望む者もありました。


結論として、高津城、吉橋城、八千代城の3つの城は立花家に仕える事に賛同する者が多数、一部が退去する事になりました。


各々の城主から立花家に仕えると回答がありました。一部の将兵の退去が認められ、退去者はは正午までに退去を完了する事が決められました。



午前10時頃、立花将広は待機していた習志野城で報告を聞きました。


─高城領、習志野城─

─立花将広、立花頼将─


「頼将、高津城、吉橋城、八千代城を確保した。これで各々の城に派遣した軍勢6000のは楢島正臣を主将として小野田城に向かわせる!

そこでだ、新たに立花家に仕える兵士達に支度金を素早く支給して参れ!

それから、3つの城から100名ずつ集めて将兵300名の軍勢を仕立てろ!

立花家に忠誠を示し、戦い方を学びたい有志を集めて楢島正臣に預けるのだ!

側近達を集めて素早くせねば軍勢の出立に迷惑をかけるぞ!将孝にも手伝わせろ!」


「はい!それでは志願する兵士達に優先して支度金を配ります!

父上、志願する兵士が300を越えたら如何しますか?」


「ぶはははは!各々の城に最低限の兵士を残すからな、各々の城から200名を限度に最大600名までにせよ!」


「はい、承知致しました。

父上、それでは!」


忙しそうに近習に指図する息子を見守ります。立花将広は嫡男、頼将に様々な裏方の経験を積ませています。次男は滝山大石家に養子になり、大石家を継ぎました。

三男、将孝にも兄、頼将を手伝わせて経験を積ませています。


立花将広は更に吉良頼貞(26歳)にも目を掛けています。兄、立花義秀の娘を娶り、世田谷吉良家の若き当主です。房総半島遠征で立花将広の戦いに学び、本来のから持っている才能を磨いています。間も無く10000の軍勢を任されると期待される武将になりました。姪の婿であり、吉良頼貞の成長を見守ります。


さらに房総の里見義堯さとみよしたかから預かった嫡男、里見義弘(16歳)が常に側に居て立花将広の行動を見ながら大軍を率いる武将の姿を学んでいます。

里見義弘は立花家の娘(世田谷吉良家養女)を嫁に貰い、立花将広を叔父として慕っています。将広も甥として可愛がり、4月上旬の初陣から後ろ楯になり、次期里見家の当主の指導を続けています。


「父上!兄上と将孝に、立花家の婿、吉良頼貞殿、里見義弘殿を、優遇して、滝山大石家を継いだ父上の次男坊を忘れてませんか?」


滝山大石家に養子に出した次男、大石盛将が現れました。


「ぶはははは!、わ、忘れてはおらんが、忙しくてなぁ、出番の要求か?」


「はい、2年前に私が滝山大石家を継承した際に、大石家から養子縁組みを断られた関東管領上杉憲政殿が激怒なされて滝山城を攻略に参られ、両軍激戦の末、両軍数万の軍勢の前にて、私は一騎討ちにて一撃で関東管領、上杉憲政殿を失神させて捕虜にして以来、痺れる戦いから遠ざかり、父上は立花家の娘婿殿達を優遇されてませんか?

そこで、親父殿自身の娘婿、楢島正臣殿の起用も忘れずにお願い申し上げます!」


「ぶはははは!わかった!笑わすな!

あの一騎討ちは本当に見事であった!

まず、本家の婿を学ばせてから、順番があるだろう?正臣にも機会を与えるのは間違いない。余り優遇しては正臣が妬まれるからな、少しずつ実績を重ねるのが必要なのだ。

それからお前は滝山大石家を継いだ、同盟大名家の当主なんだから、慌てず待ってろ!

そろそろ大石家の収入は湊の交易絡みで20万石相当の収入を越えて自前で6000の遠征軍を出せるだろう?」


「はい、持っております」


「ならば、近い将来に出番がある!

今は側に居て俺のやり方を見ておけ!」


「承知致しました」

大石盛将は父の言葉に素直に従いました。


そして、立花将広は側近に指示を出します。

「伝令を出すぞ!

鎌ヶ谷城の本陣へ!義國宛てに報告だ!

高津城、吉橋城、八千代城を確保!

城主と将兵が立花家に恭順を誓約した!

人質代わりに100名ずつ、300名を研修名義に確保済み!

以上だ!」


立花将広は側に居る里見義弘、大石盛将に地図に示された周辺の軍勢の配置を眺めながら語ります。


「古河公方家の大軍が推定45000、立花家の軍勢90000が対峙している。

戦場の西側に立花家当主、義秀の軍勢が大きな圧力になっている。

東側に我が軍勢が高津城、吉橋城、八千代城を確保した故、我が軍勢が要衝の小野田城を攻略すると古河公方軍は包囲される脅威と、退路を断たれる脅威に晒される。

小野田城の攻略には立花義弘、高城義春の軍勢9000が配置され、我が軍勢が支援すれば半日あれば攻略出来るだろう」


里見義弘、大石盛将の二人が地図を見ながら将広の言葉に聞き入ります。

「父上、小野田城は5000程度の援軍で十分落とせましょう。

父上の本隊24000を古河公方家の本陣、高柳城に向けては如何でしょう?

総大将、義國兄上の支援に加われば敵軍は必ず総崩れになります!」


「ぶはははは!気がついたか?

要衝、小野田城を40000の軍勢で攻めると噂を流す狙いは、敵方の意識が小野田城に注目する事だ。

我が軍勢が戦場の東へ向かう振りして戦場の中央に現れたら効果が高いだろう?」


「噂で主導権を握り、父上の選択肢が増えました!」


「盛将、正解だ!主導権を握るのは大切な事、それが全てでは無いが、勝つ為に必要なのだ。まず、本日の午後から楽しみな状況になるだろう」


「はい、胸が高鳴ります!」

大石盛将と側に居る里見義弘も両軍の主力決戦に胸の鼓動が高まりました。




古河公方家と立花家の主力決戦に立花将広の軍勢が加わり、午後からの戦いが熱くなりそうです。

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