１５４６年(天文１５年)５月１４日、猪鼻城の戦い！
柏、鎌ヶ谷方面に立花将広が軍勢を率いて出発しました。
千葉家は追撃準備を進めます。
千葉家が追撃の指揮官に選んだ次期宿老候補、原胤長は主戦場に向かう立花軍を出来るだけ削る事を考えていました。
１５４６年(天文１５年)５月１４日
─下総国、猪鼻城─
午前８時頃、猪鼻城から柏、鎌ヶ谷方面に向かう軍勢が支度を済ませて出発します。
立花将広の軍勢１３０００が海岸沿いに進みました。
常陸国僧兵部隊３０００は海岸から少し内陸寄りの道を進みます。
新納忠義の軍勢７０００が北西の道から進みます。
吉良頼貞の軍勢４０００は北から進みました。
猪鼻城から四方向に別れて出発する事で渋滞せずに大軍の移動が始まりました。
各部隊毎に敵の追撃、伏兵に注意を払いながら進みました。
猪鼻城には吉良勢、喜多見忠勝が２０００を預かり、千葉家の軍勢を引き付ける役目を担います。
猪鼻城の監視をしていた千葉家の間者達から立花軍の動きが知らされました。
原胤長は立花将広の軍勢が別々の道から進む事を予測していました。
追撃の準備は出来ています。
白井勢と円城寺勢は猪鼻城の北東７キロの和良比城付近に配置しています。
立花家の軍勢が北と北西から向かう道を進む事を想定して準備していました。
原胤長の軍勢も早朝には猪鼻城から北東へ６キロの位置に進出して追撃可能な状態で待機していました。
猪鼻城を守るのは立花家の同盟大名、吉良家の軍勢２０００が籠城する事が判明しました。
原胤長は立花将広が猪鼻城を破棄せず、守備兵力 ２０００を配置した意味を考えました。
安易に追撃すると罠に掛かる気がします。
側近に指示を促され、深く考える時間がありません。
「良し！敵は予測した通り、別れて道を進んだ！出撃だ！
白井勢、円城寺勢に伝令！
予定通り追撃せよ！以上だ！」
原胤長は白井勢２０００を吉良勢の追撃に向かわせ、円城寺勢２０００を新納勢の追撃に向かわせました。
原胤長の軍勢１００００は猪鼻城に向かいます。
胤長は行軍しながら考えを巡らせます。
立花将広の軍勢を追撃するべきなのか？
猪鼻城を攻撃すべきか？
猪鼻城を包囲して立花将広の軍勢を誘き出すべきなのか？
自分が立花将広の立場だったらどの様な策を考えるのか？
馬に揺られながら思考を巡らせました。
①主戦場に向かう事を優先する。猪鼻城は千葉勢が攻撃するなら破棄するか？
②主戦場に向かうが、千葉家の追撃を予測して反転して迎撃する？
③主戦場に向かう事を優先するからこそ、四方向に別れ、追撃される事を予測していない？
結論が出せないまま、馬を進めました。
やがて２キロ先に猪鼻城が見えると城内に吉良家の軍旗が掲げられています。
猪鼻城から気合いを込めた掛け声が聞こえます。
「エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！」
吉良勢の士気の高さが伺えます。
吉良勢の士気の高さは、必ず援軍が来るから維持されていると察しました。
「あの士気の高さは立花将広の軍勢が反転して援軍が来ると信じているからに違いない！」
原胤長は腹が座りました。
猪鼻城には北側に都川が流れ、東西南は水堀が引かれています。
以前は千葉家の本拠地として使われた時期があり、相応の防御力を備えています。
橋は東西南の３ヶ所、南側、正門からの攻防が鍵になります。
昨日まで千葉家の所有だった城ですから、長所、短所は把握しています。
原胤長は東西南の三方向に１０００ずつ配置して城を包囲しました。
包囲した３０００の将兵に周囲で枯れ木、枯れ草など、燃える物を集めて火を炊かせました。猪鼻城の周囲で多数の火を炊かせて猪鼻城が攻撃されている様に偽装しました。
遠く離れた立花将広の軍勢には猪鼻城が攻撃されてる様に見えるはずです。
立花軍が引き返すと想定して猪鼻城の北側に伏兵３０００を配置しました。
猪鼻城の北側は起伏があり、林と森に囲まれた街道沿いに伏兵が隠れる場所に恵まれています。
さらに猪鼻城に籠城する２０００の軍勢を無力化するため、東西南の門の前に三重の柵を組んで封鎖、柵の前に弓隊、長槍隊を配置して完全に閉じ込めました。
原胤長と１００００の将兵は立花軍を待ち構える態勢が整いました。
千葉家の軍勢は立花家には何度も負けて悔しい思いをしています。
立花将広には千葉家筆頭宿老の父、原胤貞を討たれ、原胤長と千葉家の仇敵です。
今回こそは立花将広に雪辱するぞ！と意気込んでいました。
千葉家、白井勢は北に進む吉良勢に小部隊で先回りして予想進路の数ヶ所に穴を掘り、数ヶ所に柵を設置して行軍を妨げました。
千葉家、円城寺勢も北西へ進む新納勢に先回りして進路に穴を掘り、柵を設置して行軍を妨げました。
吉良勢４０００は進路に穴が掘られ、その先に柵が張られて進路を塞がれました。
先頭の部隊が停止、後続部隊に状況を伝え、主将、吉良頼貞に状況が伝わりました。
「敵襲に備えろー！」
頼貞が叫び、将校達が叫び、各部隊に警戒を呼び掛けました。
間も無く白井勢の伏兵が至近距離から弓矢を放ち、槍を揃えて吉良勢を分断しました。
北西に進んだ新納勢７０００も同じ様に通路に穴が掘られ、その先に柵が張られて行軍が停止した処を円城寺勢に奇襲を受けました。
千葉家の軍勢には土地勘があり、長く伸びた行列に少数ずつ隠れていた伏兵が効果的な攻撃を与えました。
行軍する吉良勢、新納勢の行列は横合いから襲撃され、行列の背後から密集隊形で白井勢、円城寺勢が攻撃を開始しました。
一方、海岸沿いに進んだ立花将広の軍勢は柏、鎌ヶ谷方面を目指す名目で行軍しています。猪鼻城から８キロはなれた幕張城が、同盟大名家、高城家の領地になります。
猪鼻城と幕張城の中間地点が高城家と千葉家の国境になります。
猪鼻城から１時間行軍した頃に先頭の部隊が高城家の領内に入り、行軍２時間で先頭部隊は幕張城付近に到達します。
立花将広は常識から外れた行軍を実行しました。
先頭部隊３０００が４列縦隊、長さ１キロの行列が幕張城に到達する頃、中軍部隊５０００は稲毛付近から海岸に移動して千葉家の軍勢の動きを探りました。この時、引き潮の砂浜は海岸線一帯が水辺まで１キロから２キロも広がり、大軍が集結するのに十分な広さがありました。
立花将広は中軍にあって猪鼻城付近の報告を待ちました。
後軍部隊５０００は先に出発した軍勢が道を開けて海岸に入った為、待ち時間も少なく猪鼻城から出発が出来ました。将広の嫡男、立花頼政が主将を任されています。
稲毛海岸に差し掛かり、父、立花将広の軍勢を抜いて幕張城方面に向かいます。
嫡男、立花頼将の軍勢が先になり、立花将広の軍勢５０００が最後尾に残る形になりました。
やがて猪鼻城が千葉家の軍勢に包囲されて周囲から多数の火や煙があがっている事が報告されました。
─稲毛海岸─
─立花将広、里見義弘(里見家嫡男１６歳)─
「義弘殿、千葉家が想定通りに猪鼻城に攻めて来た！敵にも駆け引きがあり、こちらにも駆け引きがある！
勝つ為の準備や仕掛けや駆け引きの上手さ、引き出しの中に幾つかの強い駒を持つ事、それらが噛み合って、相手より上回ったら勝利になり、相手より足らぬなら負けてしまうのだ！」
「はい！初陣の戦いから１ヶ月余り、立花様のご指導を賜り、すでに両手に余る数の合戦を経験をさせて頂きました。今から千葉家との戦いに胸が踊ります！」
「ぶはははは！度胸がついた様だな、里見家の未来を切り開く覚悟で付いて参れ！
さて、猪鼻城へ向かうぞ！」
「はい、宜しくお願い致します！」
立花将広は上総国、安房国の領主、里美義堯に頼まれて嫡男義弘の初陣を託され、将来の里見家を担う為に指導する事１ヶ月で大小２０回を越える戦闘を経験させました。里見義弘は希に見る実践教育を受ける事になりました。
立花将広は広大な砂浜で隊列を整えると兵士達に呼び掛けます。
「我が立花家の兵士達よ！
我が軍勢は猪鼻城に残した２０００の同盟大名家の仲間、吉良家の軍勢を救いに戻る！
敵にも知恵があり、勇気もあるだろう！
しかし、我らは帝、朝廷から託された綸旨を賜り、関東静謐、民の安寧の為に戦う使命がある！千葉家の軍勢を叩き潰す！
いざ、参るぞ！」
将広の言葉に刺激されて立花家の将兵の気持ちが高まりました。
「エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！」
気合いが高まった兵士達が猪鼻城に向かいました。
猪鼻城を囲んだ千葉家の総大将、原胤長には白井勢が北に向かった吉良勢４０００を攻撃中との知らせが入り、続いて円城寺勢が北西へ向かった新納勢勢７０００を攻撃中との知らせが入りました。
奇襲に成功との幸先良い知らせが入り、周囲の側近や兵士達から喜びの声があがりました。
さらに猪鼻城の北に配置した伏兵から立花家の軍勢が引き返し、猪鼻城に向かっていると急報が入りました。
─猪鼻城付近、千葉家、原胤長本陣─
─原胤長、側近─
「胤長様！予測された通り、立花家の軍勢は引き返して参ります！」
「よっしゃ！城の北側の伏兵が包囲して叩く！
出来る限り立花家の軍勢に死傷者を出させて削るのだ！柏、鎌ヶ谷方面の主戦場に向かう兵力を減らすのが目的だ！」
意気込みが高まる原胤長は伝令を走らせ、猪鼻城を囲む東西南に配置した３０００に出撃準備をさせます。猪鼻城の東西南の門前を封鎖した三重柵を守る兵士を３００を残し、各部隊から７００名の出撃準備を命じました。
やがて立花将広の軍勢５０００が猪鼻城付近に現れました。
立花将広は猪鼻城の北側に伏兵が配置されていると予想しています。
─立花将広、里見義弘─
「義弘殿、猪鼻城の周りに多数の煙が上がり、猪鼻城が攻撃されている偽装がなされている。間者からの知らせによると、千葉家の軍勢は猪鼻城の東西南の３ヶ所の門を三重の柵で封鎖して城兵を閉じ込めて、三重の柵の外側に弓矢と長槍で待ち構え、外に出られぬ状態となっている。
千葉家は立花家の軍勢が反転して来ると想定して備えてる。
油断出来ぬ人物が指揮しているようだ。」
「はい、千葉家は我が里見家の内乱に乗じて房総半島に侵入して以来、１ヶ月余りで多数の将兵を失いました。それでも優れた武将が
まだ残っています。
油断せぬ様に致します！」
「義弘殿、猪鼻城の北側には起伏があり、伏兵の隠れる場所が多数ある。
探りを入れて伏兵を誘き寄せ、海岸へ引き込む！駆け引きをしっかり胸に刻み、忘れてはならんぞ！」
「はい！承知致しました！」
立花将広は猪鼻城の北側に５００ほどの部隊３隊を各々街道と脇道から進ませました。
立花家の軍旗を掲げて猪鼻城に迫ります。
猪鼻城に立てこもる吉良勢の兵士達が立花家の軍旗を見つけると歓声が上がりました。
約束通りに味方の軍勢が引き返したのを確認すると彼らに希望の光が見えました。
「エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！」
城内から元気な声が上がりました。
千葉家の軍勢に緊張が走り、気合いが入ります。原胤長の配置した伏兵が次々に立花家の軍勢に襲い掛かりました。
伏兵は傾斜のある高い位置に隠れ、林や草木の隙間から弓矢を一斉に射撃すると長槍を繰り出して襲いました。
圧倒的に優位な地形を利用して攻め下る伏兵が圧倒します。
立花家の兵士達は無理に戦わず、下がりながら弓矢を連射、下がりながら距離を確保しながら傾斜している道を後退します。
距離を縮められぬように海岸へ下がります。
原胤長の本陣には奇襲が成功して追撃中と優勢が伝わり、本陣の将兵が沸き立ちました。
やがて、引き返して来た立花家の軍勢は４０００前後と推定され、その中に立花将広が居る事が判明しました。
「立花将広が？総大将が救援に来たのか？」
原胤長の頭には絶好の機会なのか？
罠を仕掛けに来たのか？
胸の鼓動が激しくなります。
ここで一気に立花将広を討ち取れば、立花家に大打撃を与え、勝利すれば、古河公方家が主戦場でも立花家に勝利する可能性が高まります。
原胤長は猪鼻城の東西南に待機させていた攻撃部隊３隊に出撃を命じました。
およそ２０００の軍勢が都川を渡り、猪鼻城の北側に進み、奇襲に成功した伏兵の後を追いかけ、海岸方面に向かいました。
立花将広の軍勢は奇襲を受けて海岸へ後退すると、引き潮で開かれた広大な砂浜に原勢を引き込みました。
「騎馬隊！掛かれー！」
「包囲して連射せよ！」
立花家の将校達が叫びます。
騎馬隊１５００騎が３０騎ずつ隊列を組み、大きく包囲すると走りながら連射を続けます。
立花家の騎馬兵は２０mから３０mの至近距離から５０mの離れた場所から水平連射、上空連射を混ぜて激しい攻撃を展開しました。
５０組の隊列に包囲された原勢は死傷者が続出します。
砂浜に引き込まれた原勢は５０００、立花将広の軍勢は同数ながら巧みに包囲すると、一方的な攻撃に転じました。
猪鼻城の南、原胤長の本陣では奇襲が成功して海岸に立花将広の軍勢を追い込んだ形になり、優勢と判断していました。
側近達が仇敵、立花将広を追い込んだと判断します。
「立花将広を討つべし！」
「本陣から加勢すべし！」
側近達が議論を交わします。
この機会を逃したら二度と無いかもしれません。積極策を主張する雰囲気に原胤長の判断は揺れました。
決断すべき道は三つあります。
①原胤長が本陣の４０００全てを率いて出撃する。
②部下の武将に２０００から３０００を任せて出撃させる。
③焦らずに確実な情報を集めてから判断する。
本来なら焦らずに待つべきかもしれません。
しかし、本陣の雰囲気は優勢な状況に流されていました。
この状況が立花将広の誘いで、偽装退却だったら逆襲を受ける事になりますが、本当に優勢ならば機を逃す事になります。
さらには時間が経過すると立花家にはさらなる援軍が到着するかもしれません。
「出撃しなければ一生後悔する！」
「機会を逃せば臆病だと言われるぞ！」
側近達の議論が熱くなり、原胤長の耳にも聞こえました。
「殿！今出撃すれば押し切れます！
時間が経過すれば敵の援軍が来る可能性が高まります！」
側近から意見具申がありました。
胤長は後悔する事を恐れました。
しかし、頭の片隅に罠かも知れぬ疑念があり、やむ無く妥協します。
側近達の要望に答え、博打を決意しました。
「仇敵、立花将広を討つ！
「本陣の軍勢から佐原宗時に３０００の兵力を任せる！立花将広の首を取って参れ！」
「やるぞー！」
立花将広を討つぞー！」
側近と兵士達が次々に叫びました。
軍勢の士気は極めて高く、猪鼻城の南から都川を越えて海岸へ向かいました。
やがて佐原宗時の軍勢３０００は斜面を下り、海岸に到着すると、引き潮で広がった海岸に立花軍に包囲された味方の姿を見て驚きます。
出撃したからには状況が悪くても戦うしかありません。
佐原宗時が叫びます。
「掛かれー！
包囲を崩せー！」
将校達も叫びます。
「怯まず戦えー！」
一斉に包囲を崩せと前進します。
しかし、その背後の松林には行軍先から引き返して隠れていた立花将広の嫡男、立花頼将が率いる騎馬隊１５００騎が現れました。
立花頼将の騎馬隊が３０騎をひと組に５０組の部隊に別れて弓矢の連射を放ちます。
背後から襲撃された佐原勢は忽ち死傷者が続出しました。
両軍の戦いは一方的な展開の状況になりました。
そして猪鼻城の南、原胤長の本陣には南に９キロ離れた市原城から立花家宿老、奥住利政が率いる８０００の軍勢が迫ります。
先鋒の騎馬隊２０００が大地に音を響かせながら原胤長の本陣の四方を囲みました。
「掛かれー！
討ち取れー！」
奥住勢の将校が叫びます。
騎馬隊が走りながら弓矢の連射を始めました。
後方からはゆっくりと長槍隊２０００、弓隊２０００が包囲に加わります。
原胤長の本陣１０００の軍勢は８０００の奥住勢に呑み込まれました。
原胤長に積極策を唆した側近達が呆然と立ち尽くします。
「やられた、やはり誘い込まれた…父も兄も、遂に俺もやはり立花将広には敵わぬのか？」
原胤長が呟きます。
立花将広が囮になり、背後の市原城方面から手薄になった本陣が攻撃されました。
「勝てる相手じゃなかった…」
胤長と側近達が悟りました。
本陣の幔幕の中に弓矢の雨が集中します。
側近達は次々に倒れ、長槍を構えた奥住勢に踏み込まれました。
「原胤長殿！討ち取ったりー！」
「総大将！原胤長殿！討ち取ったりー！」
奥住勢の兵士達から歓声があがりました。
奥住勢は原勢の兵士に降伏を促し、原勢の大半が降伏、死傷者４００、 ６００名が捕虜になりました。
猪鼻城に三重の柵を構え、門前をを囲んでいた原勢は奥住勢が現れると四散して逃亡、奥住勢が柵を破壊して籠城していた吉良家の軍勢を開放しました。
さらに奥住勢は都川を渡り海岸に向かいました。
海岸で戦う立花将広の軍勢と嫡男、立花頼将の軍勢は千葉家の軍勢を包囲して追い込んでいました。その浜辺に奥住勢 ８０００が到着しました。
「エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！
エイ！トウ！エイ！」
奥住勢が気合いの声をあげて砂浜に立花家の軍旗を掲げて威圧します。
「千葉家の将兵に告ぐ！
原胤長殿は討ち取った！
千葉家の軍勢達！原勢は降れー！
奥住勢の将校達が叫びます。
原勢の兵士達が戦意を喪失、一斉に降伏する事になりました。
原勢の死傷者は ３０００を数え、捕虜が４０００の多数となりました。
午後１５時頃、猪鼻城周辺の戦闘が終結しました。
猪鼻城を出発して北に進んだ吉良勢４０００は白井勢に待ち伏せ、奇襲を受けましたが、冷静に戦い、撃退して幕張城に到着しています。
猪鼻城から北西へ進んだ新納勢は白井勢を撃退して幕張城に到着しています。
猪鼻城の戦いで原胤長の軍勢が大敗して胤長の討ち死にを知った白井勢、円城寺勢は四街道方面に撤退、千葉家の本拠地、本佐倉城に大敗の凶報が入りました。
猪鼻城下で立花将広と奥住利政は合流すると千葉家の捕虜や猪鼻城周辺の後始末の打ち合わせを行いました。
─猪鼻城の攻防戦の結果─
猪鼻城攻撃部隊原胤長勢１００００
死傷者３４００、捕虜４６００
損耗率３４％
別動隊、白井勢２０００
死傷者４００
損耗率２０％
別動隊、円城寺勢２０００
死傷者５００
損耗率２５％
千葉家は原胤長を総大将に、四街道陣地から１４０００が出陣しましたが、四街道の陣地に帰還した兵士は４０００に満たない人数となりました。
千葉家の追撃部隊１４０００が総大将を討たれ、壊滅的大敗となりました。
立花将広は後方の憂いを排除する事に成功、安心して柏、鎌ヶ谷方面の主戦場に進軍可能となりました。
