１５４６年(天文１５年)５月１１日、岩槻太田家の快進撃続く！
簗田高助は小弓城に危機が迫る事をしりましたが、動揺せずに対応します。
岩槻太田家の軍勢は順調に進撃します。
１５４６年(天文１５年)５月１１日
午前８時過ぎに、古河公方軍本陣に早馬が到着します。
５月１０日、里見義尭、立花将広の軍勢が房総半島の戦いを鎮圧して木更津城に凱旋したと伝令の使者が伝えました。
午前９時、第二報で立花将広の軍勢３００００が５月１０日、南上総城に入城した事が知らされました。
午前１１時、第三報は立花将広が３００００の軍勢を率いて市原城へ入城したと知らせが入りました。
正午過ぎに高津城と幕張城の千葉家の僧兵１５０００が下総公方家、小弓城救援の許可を申請して来ました。
小弓城が落ちると、千葉家の本拠地、本佐倉城まで５里(２０キロ)と極めて危険な状況になります。簗田高助は小弓城救援を許可するしかありませんでした。
─古河公方軍本陣、柏城─
─足利晴氏、簗田高助─
「高助！房総半島は優勢だった筈、何で情報が入らなかったんだ？」
「陸地は敵の支配地の為、情報が遮断されました。海路の連絡網が整備出来ず、残念な事になりました。」
「立花将広が市原城に３００００だぞ！
小弓城の下総公方家の軍勢はどれ程なんだ？」
「はい、小弓城が５０００、隣の鎌取城に４０００、合計９０００です。
千葉家の僧兵１５０００が救援に向かいましたから、２４０００の軍勢になります。
守りを固めれば立花将広の３００００の軍勢を撃退出来ます！」
「高助、千葉家の僧兵が帰国したら、此方の状況も変わるだろう。
兵力はどうなんだ？」
「はい、敵は佐津間城、鎌ヶ谷城に立花義國の軍勢が集まり、２４０００ほどになります。
小金城周辺には畠山勢１８０００が展開しています。合計３２０００。
我が古河公方家の軍勢は５５０００でございます。予定通りなら明日、江戸川を渡り、下野国の僧兵１５０００が合流します。」
「高助！凄いぞ！７００００の大軍になるじゃないか？それならば、焦る必要が無いぞ！」
「はい、油断せず、兵力の差を生かして押し切り、立花義國の首を狙います！」
主戦場から千葉家の僧兵１５０００が抜けても簗田高助には自信がありました。
かき集めた僧兵を犠牲に立花家の軍勢を削り、古河公方軍本隊の犠牲を減らし、兵力差を生かして立花軍を擦り潰す事を考えていました。
古河公方家に従う岩槻太田家、太田資正の軍勢は僧兵の軍勢を加えて江戸太田家の領内に侵攻していました。
戸塚城、赤山城を攻略して蕨城、鳩ヶ谷城を攻撃しています。
太田資正の狙いは蕨城、鳩ヶ谷城を落として荒川沿いの戸田城、川口城、西新井城攻略を目指しています。
荒川沿いの城を確保して荒川の対岸から援軍が来る事を阻止するのが、目的です。
この辺りの荒川は水深が２mから３ｍあり、対岸に渡るには渡船で渡る必要があります。
小型渡船で１０名、中型渡船で２０名しか渡れません。一度に対岸に渡る軍勢は限られ、河川敷を支配した側が圧倒的に有利になります。立花家、江戸太田家の援軍が来る前に荒川沿いを支配出来るか否かが戦いの鍵になります。
河野勢５０００が囲む蕨城は攻撃開始から３日目、正午過ぎに遂に陥落、城主、渋川義尭は自害しました。
太田資正は河野勢に南西２キロ先に進出して戸田城を囲む事を命じました。
更に、荒川を渡って来る敵の援軍に備えて荒川河川敷に兵力を配置して警戒する事を命じました。
太田資正の本隊７０００は早朝より鳩ヶ谷城の攻撃を開始しました。
激闘５時間の末、午後１３時過ぎに陥落、城主、太田正義は追撃を受けながら川口城方面に撤退しました。
太田資正は追撃部隊を増やして太田正義の追撃と川口城の包囲を命じました。
太田正義は資正の２歳年上の従兄弟でありながら裏切り、立花家に服属した裏切り者です。岩槻太田家としては許せない存在でした。
さらに斥候部隊を荒川河川敷の監視に派遣して立花家の援軍を警戒します。
次に河川敷を制圧する軍勢２０００を送り出しました。
─岩槻太田家本陣─
─太田資正、立川明和─
「明和！川口城を囲むぞ！立花家の軍勢が荒川を渡る前に河川敷を支配地域にするぞ！」
「はい、時間との勝負になります。
立花家は荒川対岸の城の近くから渡船を使い荒川を渡ります。
志木城、朝霞城、赤塚城、赤羽城辺りから渡る筈です。範囲は広く、早期に発見しないと攻撃が間に合わなくなります。」
「ならば、荒川対岸に火を放て！
敵を見つけ次第、火矢を放ち、河川敷を焼いてしまえ！渡り切った敵兵もこちら側の河川敷で火を放ち、焼いてしまえ！」
「殿！それでは恨みを買います！後々の禍根となりましょう！」
「明和、立花家を裏切って充分恨まれている。今さら鬼と言われても構わぬ！」
「承知致しました。殿の決意に従います！」
岩槻太田家の軍勢は荒川沿いの城の攻略と荒川河川敷を支配地域にすべく、進撃します。
立花家と立花家の同盟大名家の援軍が荒川を渡る事が予想されます。
時間との戦いになりました。
岩槻太田家が荒川沿いの城の奪還を目指しています。立花家と同盟大名家の援軍が荒川を渡れるか否か？
先に河川敷を制するのは？
