1546年(天文15年)5月8日、府中城、先勝祝いの空気激変!
前日までは府中の街と府中城内は戦勝の祝いで華やかな雰囲気でしたが、各地から古河公方軍の反撃に苦しむ報告が入り、政務復帰初日から立花義秀に難題が降り掛かります。
1546年(天文15年)5月8日
5月6日に川越から府中に凱旋して3日目、川越上杉家、前橋上杉家との戦いに連勝して賑わいが覚めぬ府中城に各地から不穏な状況が伝わりました。
立花家当主、立花義秀が川越に滞在中、府中城に集められた情報は留守居役、瀬沼寿勝の
裁量で重要な情報だけが、川越の義秀まで知らされましたが、詳細は帰城してから目を通す事になります。
昨日は二日酔いと戦場の疲労が抜けず、義秀と鹿島政家は寝込んでしまい、政務再開は帰国3日目になって漸く始まりました。
瀬沼寿勝から気になる情報として上総国、安房国で僧兵14000が現れて、立花将広と吉良頼貞の軍勢が苦戦、さらに下総国、柏方面にも20000を越える僧兵が現れ、優位なはずの戦いが、苦戦中と聞いて驚きます。
さらには岩槻太田家の領内に僧兵の軍勢が集結中との不確実な情報が聞かされました。
─武蔵国、府中城─
─立花義秀、鹿島政家─
「殿、古河公方軍は仏教宗派を纏めて味方にした様子にございます。
簗田高助の策でございましょう。
恐ろしい事をやり遂げる人物にございます。」
「上総国、安房国に14000?そんなに僧兵が集まったのか?
下総国、柏方面は20000を越える僧兵?
厄介だな…仏門に帰依する僧と戦うのか?
出来れば避けたいがなぁ…」
「殿、状況次第で上総国、安房国、さらに下総国の3箇所へ援軍を差し向ける必要があります。さらに岩槻太田家まで、僧兵を集めてるとなれば、4箇所に援軍と考えるだけで恐ろしい事にございます。」
「政家、川越城周辺の兵力は治安維持や、松山上杉家に反撃の機会を与えぬ為にも動かせぬ、さらに鉢形城の駐留軍も前橋上杉家の抑えに必要で動かせぬ!
それで絞り出せる援軍はどれくらいだ?」
「留守居役の瀬沼寿勝と相談せねばなりませんが、予備役を含めて最大30000程かと思われます。但し、川越から帰還したばかりの兵力10000には数日の休養が必要です。」
「そうか、最大30000、武将の人選もせねばならんな。川越帰りの将兵は疲労が抜けるのにあと3日は必要となろう。
さて、忙しくなりそうだな。
政家、疲れてるだろうが頼むぞ!」
「はい!お任せください。」
府中城内が慌ただしくなりました。
勝利に浮かれていた雰囲気から、古河公方家の反撃を受けて、緊張した雰囲気になりました。
正午過ぎには下総国、柏方面の情報が入りました。5月7日、20000を越える僧兵の支援を得た古河公方軍が7つの城を攻略した事が知らされました。
更に岩槻太田家の領内に下総から20000を越える僧兵が集結、岩槻太田家が領内から集めた僧兵部隊と軍団の編成中と知らせが入りました。
情報元は鳩ヶ谷城主、太田正義、蕨城主、渋川義堯の両者からもたらされ、数日中に旧領回復の反撃に来る事が予想されます。
─立花義秀、鹿島政家─
「政家、川越上杉家と前橋上杉家を撃破していたから今の状況に対応可能だが、負けていたら存亡の危機だったな?」
「はい、両家を粉砕しており、暫く反撃処では無いと思われますが、岩槻太田家が古河公方軍と連携するなら厄介です。
岩槻太田家から鳩ヶ谷、蕨周辺を奪い取りましたが、あの周辺に駐留していた兵力は下総国、柏方面の戦いに派遣しており、守備兵力しかありません。江戸太田家から支援の兵力を向かわせたとして、焼け石に水となる可能性があります。」
「政家、早急に鳩ヶ谷城には江戸太田家から援軍を出す様に要請だ!
蕨城には朝霞城、志木城、清瀬城周辺から援軍を絞り出せ!
早急に蕨城へ援軍を向かわせろ!」
「殿!川越城の後始末に諏訪頼宗を残しております。諏訪頼宗なら手持ちの兵力を率いて志木、朝霞周辺の兵力を統率する能力があります。如何でしょう?」
「良かろう、政家、諏訪頼宗に託す!
手配は任せる!」
「はい!手配致します!」
「政家、状況次第だが、岩槻太田家から奪った荒川沿いの領地は捨てても良い、肝心なのは岩槻太田家に集結している僧兵の軍勢と下総国、柏方面の古河公方軍と連携させない事だぞ!」
「はい!承知致しました。」
立花義秀は最終的な勝利の為に上総国、安房国、下総国の戦いを優先して、岩槻太田家との戦いには見切りを付けて損切りを覚悟するつもりです。
全てに勝利を求めるのは無理だと判断しています。
川越上杉家、前橋上杉家との戦いに勝利しましたが、立花家は安房国、上総国、下総国の3箇所に大きな戦いを抱えています。
そこに岩槻太田家の領地に僧兵の大軍が集結中との情報が入ります。
明日から新たな展開になりそうです。