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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)5月7日、激戦、松戸湊の攻防は簗田水軍撤退へ!

簗田水軍の任務は立花家の大軍が松戸湊に上陸するのを妨害する事、妨害に成功すれば柏方面の古河公方軍の戦いが有利になります。

1546年(天文15年)5月7日


簗田水軍の中型船11隻が松戸湊へ向かいました。葛飾側の東郷勢が弓矢の連射を試みますが、防護壁に阻まれて効果が有りません。

簗田水軍は立花家の渡船に攻撃を始めました。

弓矢を放ち、接近すると鉤縄を投げて船の縁に引っ掛けて手繰り寄せると油壺に着火して放り投げます。複数の油壺を投じると忽ち炎が広がり、簡単には消化出来ず、やがて乗員は川に飛び込みました。

立花軍の兵士はほぼ全員が泳ぐ訓練を受けて泳げますが、甲冑が重くて溺れる兵士も少なくありません。

無防備な渡船が次々に襲われて簗田水軍が優勢な状況になりました。


その混乱の背後から立花水軍の小型船10隻が救援に現れ、接近すると次々に火薬玉を投げ入れ、防護壁の中で次々に爆発、炸裂した金属片が乗員多数を負傷させます。

立花水軍の小型船は鉤縄を引っ掛けて手繰り寄せて確実に火薬玉を投げ入れます。

簗田水軍も反撃に、油壺を投げ入れますが、濡れた布を被せて素早く消化してしまいます。


簗田水軍中型船11隻は渡船を襲撃しながら、立花水軍小型船10隻の戦う余裕を見せていましたが、次第に火薬玉の攻撃に被害が拡大、渡船攻撃を中断、立花水軍の小型船と格闘する事になりました。


そこに松戸湊から水軍副統領、瀧川道真が民間の中型商船5隻、小型商船5隻を借り受けて簗田水軍の背後から現れました。


「体当りだー!

舳先を敵に向けろー!」

瀧川道真が指示を叫び、5隻の中型商船が簗田水軍中型11隻に突入しました。


ドーン!ガガーッ!ドドーン!

簗田水軍の3隻が真横から舳先の直撃を喰らい大破して沈没しました。

残る簗田水軍の中型船には後ろから小型商船が鉤縄を放ち、船の縁に引っ掛けると手繰り寄せます。火薬玉を幾つも放り投げると次々に爆発が連鎖しました。


民間商船には訓練された兵士達が乗っていました。簗田水軍は民間の商船と侮り、不意を着かれて想定を越えた被害に退却を決断しました。

松戸湊付近の簗田水軍は中型船は3隻沈没、2隻が捕獲されて6隻が退却しました。


しかし、上流の簗田水軍と立花水軍の戦いは一進一退の混線が続いていました。

戦いが2時間経過して、両軍の漕ぎ手の消耗が激しくなりました。

上流から攻め下る簗田水軍は疲れたら錨を降ろして休みますが、敵が接近すると錨を引き上げて戦います。


立花水軍は下流から流れに向かって戦う為、漕ぎ手の消耗が早くなります。

休憩するには流れが曲がり、流れの緩やかな場所に移動するか、戦いから離れた下流に下がるしかありません。


両軍とも、船内に予備の漕ぎ手を用意する余裕はほとんどありません。

簗田水軍が戦力と練度で上回りますが、立花水軍は火薬玉が有効な攻撃手段となって善戦しています。

立花義國が率いる大型渡船10隻は体当りを繰り返し、中型船2隻、小型船4隻を沈没させました。


─立花義國、側近─


「若君、恐らく我が水軍の漕ぎ手が疲れています。限界になる前に決断せねばなりません。

渡船と水軍を松戸湊へ撤収し安全を計り、葛飾側に残る軍勢は明日以降の上陸にするのか?

又は、その他の方策を考えなければなりません!」


「そうだな、しかし、敵は戦いが終わったらどうするつもりだろうか?

上流に向かって帰るのか?

下流に下れば国府台湊の我が水軍も抵抗するだろう。さらに下流は海だぞ!?

房総半島を超えて、利根川河口から戻るとは思えぬ!」


「若君、敵は渡船を叩き、松戸湊を破壊するのが目的ですが、上流へ戻る体力さえ削れば早めに諦めましょう。」


「ならば上流まで抜けて、上流から簗田水軍の背後から体当りを行う!

それで松戸湊まで戻るぞ!」


立花義國の決断で大型渡船10隻は密集して上流に向かい、簗田水軍に体当りを仕掛けます。密集して上流に向った為、簗田水軍は逃げ回り、隊列が乱れました。

上流に抜けた義國率いる大型渡船が反転すると再び隊列の背後から体当りを狙います。

逃げ回る簗田水軍が混乱します。


簗田水軍は背後から体当りされて中型船2隻、小型船3隻を失いました。

大型渡船10隻は簗田水軍を突き抜けて無事に松戸湊に入りました。

漕ぎ手は体力を使い果たし、簗田水軍が現れたら身動き不能の状況にありました。


その時、簗田水軍の小型船12隻が松戸湊に侵入しました。水軍統領、簗田義昌から松戸湊に侵入して放火して来る事を命じられています。

侵入した12隻の小型船部隊は大型渡船に接近すると着火した油壺を投げ込みました。大型渡船から弓矢が放ち攻撃します。湊の警備部隊が火矢を放ちます。

立花家の水軍副統領、瀧川道真が中型商船5隻、小型商船5隻を率いて駆けつけます。


簗田水軍の小型船12隻は湊の商家、大型渡船、中型渡船に油壺を投げ入れて放火しながら、巧みな操船で湊から離れて行きました。

瀧川道真の商船では小回りが出来る小型船に追い付きません。

簗田水軍の小型船は悠々と上流に向いました。


松戸湊では商家が2棟、大型渡船2隻、中型渡船3隻に火の手が上がりました。

大きな火災には成らずに消火されましたが、簗田水軍の実力の片鱗が示されました。


小型船部隊12隻は無事に本隊に合流すると水軍統領の旗艦に接近して連絡用の旗を振って攻撃成功を知らせています。


─簗田水軍統領、簗田義昌、側近─


「統領!小型船12隻で松戸湊に侵入に成功しました!攻撃成功の旗を振っております!」


「良くやってくれた!

これで面目は保てただろう。

立花家の水軍は大した事無かったが、大型渡船で体当りして来るとは思わなかった。

損害は半数近いだろう…

しかし、立花軍が江戸川を渡れたのは半数しかあるまい!これなら古河公方軍の優勢は確保出来たはずだ!

目的は達成したぞー!

勝鬨をあげろー!」


「エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!」


確かに立花軍の上陸予定を大幅に妨害する事になりました。

戦いは厳しい結果になりましたが、簗田義昌は胸を張って帰る事を重視しています。


「引き鐘を打てー!

深井湊に戻るぞー!」


簗田水軍は想定外の損害を出しました。

戦いは3時間に及び、漕ぎ手の体力も残り僅かな状況です。松戸から深井湊まで12キロを遡り帰還します。


立花水軍も漕ぎ手の体力が限界ギリギリの状況でした。

追撃する余力は残っていませんでした。


─立花水軍統領、瀧川道玄、側近─


「統領!簗田水軍が撤退します!

勝ちました!」


「厳しい戦いだった。

追撃は無理だな。

勝鬨を挙げるぞー!」


「エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!」


江戸川に勝鬨が響きました。

上流に離れて行く簗田水軍の背中に向けて大きく響きました。


─簗田水軍損害─


中型船30隻→19隻喪失

小型船40隻→15隻喪失

損耗率48パーセント


─立花水軍損害─


中型船20隻→8隻喪失

小型船30隻→12隻喪失

損耗率40パーセント


─松戸湊渡船─

大型船10隻→損失0

中型船20隻→4隻喪失

小型船30隻→12隻喪失

損耗率26パーセント


松戸湊に簗田水軍が上流に撤退した事が伝令を通じて知らされました。


「エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!

エイ!エイ!おぉー!」


松戸湊の数箇所て勝鬨があがります。

やがて立花水軍が疲れながらも晴れやかな笑顔で戻って来ました。

湊には兵士、商人や漁師、市場の関係者や一般の領民までが勝鬨に参加して声を張り上げました。


─松戸湊、立花義國、福島正義─


「若君!勝ちました!

簗田水軍を撃退しました!

若君が大型渡船で体当りするなんて、驚きました!」


「咄嗟に体当りしか無いと考えたが、運が良かったに過ぎぬ、これから水軍の将来については水軍統領、瀧川道玄と更なる努力をせねばならん。敵の多数を沈めたが、こちらの損害も大きいだろう。反省点を踏まえて改善が必要となろう。」


「承知いたしました。

若君、ご報告致します。若君が水上で戦う間、松戸の渡船が簗田水軍に攻撃された為、葛飾側から乗船して下流の国府台湊へ移送致しました。

葛飾と国府台湊の移送中の犠牲者は無く、移送は完了しており、残るは対岸、葛飾側を警備している東郷勢3000のみにございます。」


「おぉー!正義、素晴らしい機転だぞ!

国府台湊ならこちらから1里(4キロ)、本日中に江戸川を渡れた効果は大きいぞ!

さて、日没前迄に東郷勢を全て松戸湊へ移送を頼むぞ!」


「はい!承知致しました。」


葛飾側に残された東郷勢3000は日没前に松戸湊に渡る事が出来ました。

簗田水軍の妨害で時間が掛かりかましたが、立花義國の援軍は松戸湊、国府台湊に到着しました。





100年の伝統を誇る簗田水軍と立花水軍の初めての戦いは大型渡船を体当りさせる奇策が意外な戦果を挙げる事になりました。


水軍の戦力では簗田水軍が優勢でしたが、立花水軍が勝利する事になりました。

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