１５４６年(天文１５年)５月７日、古河公方軍、僧兵部隊の躍進！
簗田高助が用意した僧兵部隊の躍進が始まりました。
八潮城から来る立花義國の援軍が到着する前に出来る限り立花家の軍勢を叩き、成果を挙げれば、互角以上の戦いが望めます。
果たして簗田高助の作戦は成功するのでしょうか？
１５４６年(天文１５年)５月７日
─古河公方軍、柏城本陣─
小金城の戦場から殿軍を努めた簗田高助の軍勢が帰還しました。
将兵達は拍手と歓声で迎えます。
「エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！
エイ！エイ！おぉーぉー！」
陽動作戦に成功した事を祝い
将兵達が勝鬨を挙げました。
─足利晴氏、簗田高助─
「高助！殿軍ご苦労だった！
朗報だ！陽動作戦が成功したぞ！
僧兵の軍勢が花輪城、鷺野谷城、手賀城、岩井城の４箇所の攻撃を始めたぞ！」
「公方様、これより流山城に向かいます！
公方様は本陣にて朗報をお待ち下さい。
「高助？兵士達は疲れてるだろう？
大丈夫なのか？」
「公方様、花輪城は間も無く落ちるでしょう。これから流山城も奪わねばなりません。
多少の無理をせねば立花家に勝てません！」
「そうだな、高助が思うままに任せる！
頼んだぞ！」
「はい！こちらには野田勢５０００を護衛に残しておきます。行って参ります！」
簗田高助は７０００の軍勢を率いて流山城方面に進みました。
柏城から流山城までな距離は８キロ、２時間で到着出来る距離にあります。
簗田高助は柏城と流山城の中間地点、青龍寺付近に布陣しました。
青龍寺付近は丘の上にあり、流山城まで３キロ、花輪城、小金城まで３キロにあり、３箇所を同時に監視出来る場所にあり、戦況を把握するのに絶好の場所にありました。
丘の上に桐の紋章と黄金の日の丸軍旗を掲げます。古河公方家の軍旗を多数掲げて存在を示します。
─簗田高助、瀬能英孝─
「殿、言い付け通り、高台に軍旗を高く掲げました。小金城の立花軍を釣り出すつもりですか？」
「その通りだ。立花軍が寄せてくるなら歓迎するまでだ。
青龍寺の高台に布陣する我らが圧倒的に有利な地形にあり、僧兵部隊が近くに存在する故、余程の度胸が無い限り敵は攻撃を控えるだろう。」
「はい、承知致しました。殿は先まで見越していらっしゃるのが良くわかりました。」
「さて、もう間も無く花輪城は陥落するだろう。僧兵部隊は流山城へ向かわせる。
本日中に流山城を攻略するのだ！」
「殿？川越から向かって来る立花義國の軍勢が昼過ぎには松戸城まで到着するのではありませんか？敵の援軍が来たら危険と思われますが？」
「英孝、八潮城から来る立花軍は中川を渡れたとして、江戸川は船で渡る故、先鋒部隊は昼過ぎには到着するだろう。しかし、全軍が渡り終わるのは夕刻になるはずだ。
渡船の数は限られ、馬と兵糧、人を載せて万単位の大軍なら１日掛かるであろう。
さらに、簗田家の水軍が邪魔をする手筈になっておるからな。」
簗田高助は今回、立花家の援軍に打撃を与える為、水軍が松戸の渡船を攻撃する準備を進めていました。
午後１２時過ぎに始まった花輪城の戦いは鎧袖一触、古河公方軍、曹洞宗僧兵部隊が１時間足らずで陥落させました。
支援に駆けつけた小山田勢も撃破され、流山城方面に敗走する処を簗田勢がさらに叩きました。
追撃しながら、陥落した花輪城に使番を送り、曹洞宗僧兵部隊に流山城攻撃の指示を出しました。
曹洞宗僧兵部隊は花輪城に、後始末と防備を兼ねて１０００を残して流山城に向かいました。
─高城家、小金城─
─畠山忠國、高城義明─
簗田勢の殿軍部隊の追撃を終えて休息していた処に、柏城から古河公方軍７０００が西へ移動して青龍寺の丘に多数の軍旗を掲げている事が知らされました。
「畠山殿、あの軍勢の狙いを如何に思われますか？青龍寺付近の丘は柏城、小金城、流山城花輪城と４つ城の中間の位置にあります。」
「何が狙いか解らぬが、小山田勢があの付近に居るはずだ。斥候部隊を出すぞ！」
畠山忠國は青龍寺方面に斥候部隊を派遣しました。
やがて、斥候部隊から急報が届きました。
花輪城に１００００の僧兵部隊が現れて城は陥落、小山田勢は支援に向かったが撃破され、簗田勢の追撃を受けて流山城に退却中と判明しました。
「古河公方軍の狙いは流山城だ！
高城殿、貴殿は加賀美勢と共に小金城にて待機されよ。
我らは畠山４０００、安藤勢３０００を率いて流山城の救援に参る！」
畠山忠國は７０００の軍勢を率いて流山城救援に向かいました。
小金城に残った高城義明は鎌ヶ谷城の立花軍本陣、本多広孝宛てに事態を急報しました。
しかし、鎌ヶ谷城の立花家の本陣に総大将、本多広孝は留守でした。
北に６キロ先の高柳城周辺にて古河公方軍、宇佐美勢と戦闘中でした。
各地からの情報は本陣の鎌ヶ谷城に集まりますが、６キロ離れた戦場に連絡が着くまで常に無駄な時間が浪費されました。
本多広孝の元には真言宗勢１５０００が３手に分かれて鷺野谷城、手賀城、岩井城を攻撃中との知らせが先に入っていました。
そして、小金城からの知らせが入りました。
─高柳城外、本多広孝、側近─
「なんだと？花輪城が僧兵の軍勢に落とされ、次に流山城が狙われているのか？」
「殿！目の前の宇佐美勢は陽動策です。
古河公方軍が小金城を攻撃したのも全て陽動策に違いありません。
鷺野谷城、手賀城、岩井城は持ちません。
間も無く陥落します！」
「俺達は踊らされていたのか…
何とか流山城だけでも守るぞ！
使番！小金城の加賀美利久様(立花義秀三男)に流山城の救援に向かう様に伝えよ！」
今出来る抵抗策として、小金城から加賀美利久の軍勢３０００に僅かな希望を託しました。
古河公方軍が優位に戦いを進めています。
僧兵部隊の参加で流れは簗田高助が握りました。
立花義國の軍勢の動向が気になります。
