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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)5月7日、滝山大石家、秩父藤田家、各々の思惑。

滝山大石家は立花家から養子を受け入れて生き延びています。

立花家には大きな恩義を感じています。


秩父藤田家は主家に裏切られて消滅の危機にあり、立花家に救われ、深く恩義を感じています。


1546年(天文15年)5月7日


─府中、近衛府、滝山大石家大使館─

─大石定久、田野倉英明─


「英明、2年前の1月、嫡男を病で失い、前橋上杉家と川越上杉家から養子縁組の申し込みがあり、大石家はどちらを選んでも乗っ取られる危険があった。

進退極まり、養女百合姫を伴い、大國魂神社に参拝すると松千代様と後に婿養子の盛将に出会ったのだ。

大國魂神社の大神様のご意志としか、説明がつかぬ。百合姫と盛将は互いを一目で気に入り、松千代様が先代の大宮司、猿渡盛胤のご老公様と引き合わせて下さり、立花家と大石家の橋渡しをして戴いたのだ。

立花家が古河公方家を倒して関東を制覇した時にはどうなるのだろうか?

立花義秀殿の甥を養子に貰ったのだ。

孫の福王丸が生まれて三歳になる。

立花家の血が入った大石家の飛躍は間違いなかろう。」


「大殿、婿殿は立花家の泥酔軍師、立花将広殿の次男であり、滝山城の攻防戦では敵の総大将、上杉憲政と一騎討ちで相手を気絶させて生け捕る派手な初陣を飾りました。

御出世は間違いありません!」


「まぁ派手な初陣であったな。

現職の関東管領を気絶させて生け捕りにした早業は語り草になるだろう。

今は房総半島にて立花将広殿の下で奮闘しているだろう。

これからが楽しみな婿殿だ。」


「大殿、これからの戦いは房総半島、柏方面が片付くと松山上杉家、の松山城、岩槻太田家の岩槻城あたりに大石家の軍勢が動員されます。若殿に活躍して頂くにはさらに兵力の増員が必要になります。」


「立花家の配慮のお陰で我が大石家も品川湊、六浦湊、横浜湊の運営に携わり、配当も頂く様になり、自前の船で交易も始まった。

財政は潤い資金は十分ある故、武家に限らず、商家や農家の次男、三男から集めて兵力を増員せねばなるまい。」


滝山大石家も立花家の発展に伴い、立花家から分配される収入のお陰もあり財政的に余裕が出来ています。

領内には甲斐国から移住する者も増えています。甲斐国の領内では先代領主武田信虎の悪政の影響が残り、困窮する兵士、農民が国境を超えて八王子の奥地に入り青梅三田家、滝山大石家、立花家に保護を求める亡命者がありました。



─府中近衛府、秩父藤田家大使館─

─藤田重綱、中山秀征─


立花家の出資で大使館と、大使公邸から職員宿舎まで与えられ、先代当主、藤田重綱は中山秀征と施設を見廻りました。


「秀征、近衛府の敷地は周囲1里(4キロ)、これからも増える事を想定して作られているそうだ。

ツツジやミツバツツジ、多くの花に囲まれ、清らかな水路に滝もあるぞ!

見事な庭園と大使館、大使公邸や職員宿舎の豪華な事、露天風呂まであるではないか!」


「大殿、立花家の財力、武力、文化には驚くばかりでございます。食器や調度品、掛け軸の絵画や書の類いに至るまで、華美に過ぎず、気品が感じられます。

食生活となると格段に進んでおります。

当面の間、立花家から大使館や大使公邸、大使館職員宿舎での裏方の働き手は立花家から派遣されており、不自由が無いようにしてくださるそうです。掃除、洗濯、食事の世話の心配無く働く事が出来るそうです。」


「それは驚いた。なんと有難い!

しかし、ずっと甘える事も出来まい、秩父からも必要な人手は出さなければならんな。」


その時、立花家の近衛府長官、宿老の佐伯勝長が訪れ、挨拶と説明にやって来ました。


─佐伯勝長、藤田重綱─


「藤田様、この度は近衛府の仲間となられた事を誠に感謝申し上げます。

立花家は朝廷から綸旨を与えられ、帝の意志を託されております。

帝は関東争乱の元凶は古河公方家、足利晴氏とそれに従う関東管領、前橋上杉家などの勢力の悪事をお怒りになられました。

本日より、秩父藤田家は帝のご意志に従う近衛府の一員として仲間になられました。

帝のご意志を実現する為にお力添えをお願い申し上げます。」


重綱の目の前で立花家の序列三番手の宿老が平伏する姿に驚きます。

秩父藤田家は5万石の小大名です、立花家程の大名家の宿老が平伏する程の格式はありません。重綱は佐伯勝長に慌てて顔をあげる様に促し、逆に藤田重綱が平伏して感謝を述べました。

やがて笑顔で顔を合わせると佐伯勝長からの説明が始まりました。


「藤田様、大使館には大使1名、副大使1名、補佐官5名、護衛の兵士20名を配置して戴きます。

近衛府、立花家の大使館にて定例の会議と臨時会議が行われます。

立花家と同盟大名家の政治的、軍事的繋がりを強め、商業、農業、工芸品などの交流を深めて互いの領内の暮らし向きを高める事を目指します。」


「佐伯殿、立花家の御配慮に感謝申し上げます。秩父藤田家の大使にはこの度同行させております次席宿老、中山秀征を任命いたします。どうぞ良しなにお願い申し上げます。」


「はい、早速のご判断に感謝致します。

そこで参考までに、ご親戚の青梅三田家では政治、農業、商業や工芸の専門の文官と農民、商人、職人等、民間の専門家を大使館職員にしており、大使館の職員は30名、護衛の兵士20名が、家族と共に職員宿舎に暮らしております。

三田家にご様子を伺うと宜しいかと存じます。」


「佐伯殿?家族も一緒に暮らせるのですか?」


「勿論です。心身の安定の為にも安心して働いて貰う為、妻子が一緒に暮らせるが一番良いと考えております。

三田家の職員宿舎を是非ご覧下さい。」


「解りました。三田家の様子を参考にさせて頂きます。」


「それから大使館で必要な経費については立花家が負担させて頂きます。

まず、先渡しに1万貫(10億円)をお渡しいたします。さらに毎月500貫(五千万円)の経費をお渡し致します。

全て自由にお使い下さい。

領収書や使用明細等の提出等は全て無用にございます。」


「何と?太っ腹な?えぇっ?

宜しいのですか?」


「はい、神様に叱られぬ使い方ならご自由にして頂ければ自由でございます。

これが、立花家の考え方でございます。」


「解りました。

神様に叱られぬ使い方を致しますと、立花義秀様に宜しくお伝え下さい!」


挨拶に来た佐伯勝長は用事を終えて秩父藤田家の大使館を後にしました。


─藤田重綱、中山秀征─


「大殿!立花家の考え方には驚くばかりでございます。太っ腹にも…豪快過ぎます!?」


「ぶはははは!、豪快だぞ!

立花家には頭が上がらぬぞ!

秀征、立花家が古河公方家を倒して関東を制覇したらどうなる?

帝は?朝廷は次に何を望む?

崩壊した室町幕府は?足利将軍は都から追放されて近江国や伊賀国辺りを放浪して行方も定かにあらず、幕府は滅んだも同然ではないか?

関東制覇の後は帝も朝廷も次に進む道を考えたら…足利将軍家には出来ない事を託されるに相違あるまい。」


「大殿?まさか天下統一を目指すとか?

立花幕府とか?」


「そうだ、立花家は源義家公の嫡流!

三男、義輝公よしてるこうが府中に誕生して源義家公は朝廷から立花姓を賜り認知されたのだ。

足利家はその後、源義家公の四男が下野国の足利荘に領地を与えられた時に足利を名乗ったのだ。

足利家が将軍になれるのなら、立花家が将軍になっても構わぬだろう。」


「大殿、詳しいですなぁ、立花家の成り立ちまで御存じとは?」


「まぁな、秩父神社の宮司から聞いた事なんだがな、立花家と大國魂神社の大宮司一族は古来からの親戚筋にあったので、大國魂神社の四ノ宮の秩父神社の宮司が詳しいのだ。」


「大殿、あまりにも話が大きくなり過ぎて目眩がいたします。」


「まぁ、俺が生きてる間に関東制覇だけは達成出来る様に貢献したいと思うぞ。

それが秩父藤田家の生きる道とするぞ!」








滝山大石家は兵力を拡大してこれからに備えます。

秩父藤田家は立花家の関東制覇から天下統一までを考えました。

関東制覇するまでには困難が予想されますが、この先の展開は?…


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