1546年(天文15年)4月27日、花園城に想定外の脅威発覚!諏訪頼宗はどーする?
机上の作戦には重大な穴がありました。
通過するつもりの花園城が知らぬ間に強化されて脅威になりました。
偶然か?必然なのか?諏訪の神様の導きか?
諏訪頼宗が運を引寄せた様です。
1545年(天文15年)4月27日
仲山城攻撃部隊の諏訪頼宗率いる3000の軍勢は鉢形城の東4キロの荒川の浅瀬を渡りました。
荒川沿いの道を西へ12キロ程先の仲山城を目指します。
今回は予定に無かった鉢形藤田領に侵攻する事になり、事前の下調べ無しに作戦が始まりました。青山城、中城は敵方も不意に侵攻した立花軍の前にあっさりと陥落しましたが、侵攻2日目になると警戒が強まり、諏訪勢の動きに合わせて鉢形藤田家も守りを固めています。
諏訪頼宗の軍勢は荒川の対岸に渡ると荒川沿いの道を西へ進みます。
やがて鉢形城の近くを通る事になります。
荒川沿いを行軍すると荒川に面した鉢形城から攻撃される恐れがあります。
諏訪頼宗の軍勢は荒川沿いの道を避けて西へ進みました。
やがて小前田の地に差し掛かると小前田諏訪神社がありました。
諏訪頼宗は側近を連れて戦勝祈願を行いました。祈願を終えると宮司に道案内を頼みました。
宮司は信濃国、諏訪大社に縁ある諏訪頼宗の来訪を歓迎しますが、危険を知らせます。
宮司によると花園城の周辺の武士と農民が召集されて4キロ先の花園城で戦の準備をしている事、沼田昭光の軍勢1000が援軍として配置されている事が知らされました。
─諏訪頼宗、宮司─
「宮司殿、知らせて頂き感謝致します。
花園城の備えを知らず、危ない処でした。
これは諏訪の神様のお導きに違いありません。」
「諏訪様、鉢形藤田家は昨年の12月に立花家の軍勢に鉢形城が包囲されて以来、花園城は改修されて防御力を強化しております。
この先に進むのは危険です。」
宮司は筆を用意させて地図を書きながら説明します。
「諏訪様、花園城の東から南は田畑に囲まれ道は幾つか西に通じております。
しかし、その先から道が狭まり、荒川沿いの山道になります。
北西には花園御嶽城、虎ヶ岡城と荒川沿いの狭い範囲に砦や城が集まり、道が狭く、包囲されてしまいます。対岸には要害山城が近くに有り、浅瀬を超えて城から攻めて来る恐れがあります。花園城を通過して安心した処を包囲殲滅されてしまいます。」
「危なかった。今回は情報不足、準備が足らぬ状況だった。知らずに通れば壊滅していたかも知れぬ。」
「諏訪様、鉢形城周辺の民、花園城周辺の民も秩父藤田家の統治されていた頃は良かったと思っています。
城普請に駆り出され、租税が重くなり、民の暮らし向きは厳しくなりました。
当社も社領を削られました。
立花家は秩父藤田家を支援していると聞いております。
少しでも早く鉢形藤田家を倒して頂きたいと民が望んでおります。」
「宮司殿、貴重な情報を頂き感謝いたします。御礼に寄進させて頂きます。
さらに、鉢形藤田家を倒した暁には社領が戻される様に尽力致します!」
諏訪頼宗は地元の地理に詳しい案内人2人を借り受け、米2俵を寄進しました。
それから別れ際に最後の質問をしてみました。
「宮司殿、貴重な情報を頂き感謝致します。
花園城は隣の山から攻め口はありませんか?
最寄りの神社、寺院等はありませんか?」
「花園城の南斜面に諏訪神社が御座います。
西南に青龍寺……諏訪様!青龍寺から高根山に通じる道が有ります!花園城の隣の山です!
青龍寺は秩父藤田家のご先祖が開いた由緒ある寺院で御座います!
ご住職は鉢形藤田家とは距離を置く御方にございます。必ずお味方になりましょう。
裏山から花園城の攻め口に案内して下さるはずです!」
「宮司殿!感謝致します!」
諏訪頼宗は重要な情報を得て後続の三田綱秀の軍勢と連絡を取りました。
三田綱秀の軍勢4000は花園城の西3キロの要害山城の攻略を目指しています。
諏訪頼宗は側近と護衛20騎程を引き連れて三田綱秀を訪ね、小前田諏訪神社の宮司からの情報を伝えて相談しました。
─立花家、諏訪頼宗、三田家、三田綱秀─
宮司に書いて貰った地図を広げています。
「綱秀様、予定通りに花園城を通過するのは危険です。花園城を攻略するか?
引き返して主将、立花義弘様の指示を待つ必要が有ります。
どの様におもわれますか?」
「ん…んん、諏訪殿、本来は川越城攻めのだけの予定でしたなぁ……
予定に無かった鉢形藤田領の侵攻ですから慎重に考えましょう。
いずれにせよ、主将から託された命令を遂行するには花園城の攻略しか無いでしょう。
攻略出来なくても、攻撃してみる必要があります。
主将の対面と我々の対面の両方の面子を立てておきましょう。」
2人は相談の末、諏訪勢3000が花園城の南から攻め寄せて囮となります。
三田勢4000は青龍寺から高根山を抜けて花園城を奇襲する事になりました。
諏訪頼宗は自軍に戻ると案内役の1人と側近を青龍寺に先行させました。
青龍寺の住職の協力を取り付ける事、道案内は勿論、さらに大切なのは城の大まかな配置図が必要です。
花園城の様子が不明では危険過ぎる為、是非確保しなければなりません。
諏訪勢は花園城の手前3キロ地点に本隊を止め、花園城近くに100名程の威力偵察部隊を5部隊程先行させました。
諏訪勢と三田勢が協力して花園城の攻略をめざします。
青龍寺の協力を得る事が作戦の鍵になります。
さて、どんな展開になるのでしょうか?




