1546年(天文15年)4月25日、川越城、降伏開城、川越城が立花家の手に渡りました。
川越城が立花家の手に入りました。
義秀が本丸広間に武将達を集めて褒賞を発表します。
1546年(天文15年)4月25日
前日の夜、立花家と川越上杉家と交渉の結果、川越城の降伏開城が決まりました。
立花家の5000を越える軍勢が川越城の武装解除、資産管理、保全の為に監視体制に入りました。
何よりも大事なのは行政関連の帳簿等、行政関連の記録全てが貴重な財産になります。
持ち出されたり、焼却されぬ様に厳しい警備が行われました。
さらに城内を放火されない為、厳重な警備体制になりました。
城下町がまだ燃えていました。
─早朝、川越城─
城下町の火は鎮火せず、まだ燃えていました。既に城内では城下町に火を付けさせたのは上杉朝定だと真実が伝わっていました。
城内の兵士達は複雑な心境で朝を迎えました。
川越城内に上杉朝定の首と遺体が届きました。立花家からの好意で宿老、長尾信正の首と遺体も届きました。
簡素に葬儀が行われ、荼毘に付されました。
葬儀が終わり、遺骨が松山城に向かいます。監査を済ませた上杉家歴代の武具、宝飾品、衣装が荷台に積まれ、武装解除された家臣達が出立しました。
─前日24日、立花家、今福城─
─立花義秀、松千代、鹿島政家─
「お爺、川越城に、武将と兵士、文官の募集したら仕官希望者が集まるんじゃないの?
城下町の復興とか、人材足りないでしょ?
例えば、百名を率いる武将から千人、万単位の軍勢を率いる武将や、城下町の復興は文官多数が必要でしょ?
さらには川越城の使用人もさぁ、お城のあちこちの壁に募集の紙を貼るの!
城内あちこちとお城の外には高札を建てる!
神社仏閣とか、割譲されたお城の周囲に高札建てて募集したら早く人材が集まるんじゃないの?」
「ぶはははは!
求人募集かぁ?武将募集?文官募集?
乗った!松千代!採用するぞ!」
「きゃははは!政家おじさんに丸投げして募集するんだよね?(笑)」
「ぶはははは!わかってるじゃないか?
政家ぇー!
聞いていたかー?」
少し離れた場所で鹿島政家は二人の会話を聞いていました。
「はい、聞いておりました。
早速手配致します。」
松千代の提案が即、採用されました。
「殿、お知らせする事が有ります。
上杉朝定を討ち取ったのは義國様の旗本では無く、松千代様が府中から率いて参りました瀬沼信勝の騎馬隊である事が判明しました。
どうやら、松千代様へ嫉妬なされてご自身の旗本の兵士が討ち取ったかの様な噂を広めております。」
立花義秀は早速、瀬沼信勝と騎馬隊を率いた藤原家長、日奉宗政の3名を招いて酒席を設けました。
上杉朝定を討ち取った事を称え、十分な褒賞を約束した上、明日の表彰では義國の命を守った旗本達の褒賞を優先する事を伝えました。
さらに彼らの騎馬隊は少なくとも三度も立花家の危機に勝利を呼ぶ大殊勲を挙げて、川越上杉家との戦いで最大の貢献を表彰すると伝えると大いに喜び、松千代も参加して酒席は盛り上がりました。
3名が帰ると義秀はぼやきます。
「ふーっ……
義國の嫉妬の為に家臣に気を使わねばならんとは、面倒な奴だな?」
「お爺、あれは治らないから、面倒だよ。」
「松千代、疲れた!寝るぞ!」
前日にそんな事がありました。
4月25日、午後15時頃、城下町の大火が鎮火しました。城下町の西側から南側に掛けて、城下町の四割が消失しました。
午後16時、立花家の主だった武将が川越城の本丸に集まりました。
川越城本丸の広間には主だった武将と側近を合わせると100名程が集いました。
立花義秀は最初に全軍の兵士の健闘を称え、次に上杉朝定を討ち果たす要因となった嫡男、義國の旗本を称えました。
次に川越上杉家から立花家に帰順した大胡重家、広沢政弘、難波田信久達が川越上杉の家臣の切り崩しに貢献した事を称え、同盟大名、青梅三田家の三田綱秀が田波目城周辺の城を次々に攻略した手腕を称えました。
次に髙梨義成が川越上杉家との交渉に成功、降伏開城と、四つの城を割譲させた事を称えます。
そして、褒賞の発表になりました。
川越城を立花義國に任せると宣言します。
青梅三田家、三田綱秀には田波目城、山根城、毛呂城、高取城を与え、百済神社の守護を託しました。
今福城を主に大胡重家、殿山城主を広沢政弘、坂戸城主を希望した髙梨義成に決めました。
それから、今回の戦いで、立花家の大きな危機に三度も貴重な働きをした瀬沼信勝、藤原家長、日奉宗政の軍勢600名に特別褒賞として全員に100貫(1000万円)を与えると宣言しました。
これには本丸に集まった武将達が驚きました。600名なら60000貫(60億円)になります。
義秀が語ります。
「筆頭宿老、鹿島政家の命を救い、立花家の嫡男、立花義國の危機に駆けつけた功績は正しく評価しなければならんからな!
立花家は帝、朝廷から綸旨を戴き、関東の静謐、民の安寧の為に尽くす!
将兵の評価も正々堂々と有らねば成らぬ!
これからも大きな貢献をした将兵に正統な評価を続ける!
最終的な論功行賞は府中に帰還してから行う故、褒賞を楽しみにしてくれ!」
集まった武将達は自分達の褒賞が期待出来るとざわつきました。
─立花義國、東郷信久─
「若殿、義秀様にバレておりましたな?
あの評価、褒賞発表の順番は随分と大殿が気配りした形跡があります。
松千代様の貢献については一切触れておりません。大殿の御配慮です。
以後、松千代様に嫉妬しては恥となります!
お控えなされませ!」
「解った!我慢する!」
「若殿?昨年廃嫡の危機があった事を忘れてはなりません!
弟君、義弘様の成長もあり、次にやったら今度こそ廃嫡になりますぞ!」
「解った!信久、控える、理解はしている!」
31歳の立花義國はまだ数え6歳の松千代に不思議と嫉妬してしまいます。
前世はそれで失敗しています。
今は平和な時代ではありません。
父、義秀と大喧嘩になれば立花家に亀裂が走ります。
父、義秀はそれを避ける為に配慮していました。
─立花義秀、鹿島政家─
「政家、義國と東郷信久呼べ!
酒を呑みながら説教せねばなるまい!」
「はい、穏やかにお願い致します!」
結局、立花義秀は念押しで説教する事にしました。放置するより、直接諭す事を選びました。
立花家の懸念は優秀なはずの後継者、義國が幼い松千代に嫉妬する事でした。
前世では酷い虐待をしています。
父として義秀が説教する事に決めました。




