1546年(天文15年)4月24日、上杉朝定、立花義國、運命の闘い!?
上杉朝定は河越勢と合流しました。
次に南門から川越城に戻ろうとしますが、自分達が放火した火に囲まれ、南門に向かえずに進路を変更しました。
1546年(天文15年)4月24日
─川越城大手門の南1キロ─
上杉朝定は髙梨勢を退却に追い込み、河越勝重の軍勢と合流しました。
合流した兵士達は互いの健闘を肩を叩き会って讃えました。
しかし、河越勢800、上杉朝定勢1500、合わせても2300しかありません。
大手門付近を探索すると三田勢5000が周囲を封鎖しています。
さらに近くには東郷勢5000の存在があります。
─上杉朝定、長尾信正─
「殿、三田勢に東郷勢が合わせて10000の軍勢が行く手を阻みます。
川越城に戻るも、坂戸を目指すのも無理です。しかし、南門からなら入れるかもしれません!」
「解った!全軍で南門に向かうぞ!」
上杉朝定の軍勢は川越城の西側の大手門の南に位置しています。南門に向かうには東に向かいます。
上杉朝定の指示で全軍南門を目指しました。しかし、少しばかり進むと先ほど髙梨勢を包囲する為に放った火の手が風に煽られて辺りに広がり、行く手を遮りました。
「不味いぞ!自分達が放った火の手に包囲されるなんて笑えないぞ!」
「殿!先ほど髙梨勢が退避した道が未だ火の手が及んで無い可能性があります。
引き返しましょう!間に合うかもしれません!」
長尾信正の助言に従い、軍勢は進路を戻り、改めて南へ進みました。
髙梨勢が退避した道には火の手が廻り切らず、通り抜ける事が出来ました。
しかし、南門へ向かう道は閉ざされました。
火の廻りは早く、移動を続ける必要がありますが、近くには立花家の軍勢が居るはずです。見つからずに退避する必要があります。
「何処も安全ではないよな?
北は封鎖され、西の梁田陣地は陥落してるだろう?南は立花家の軍勢だらけ……
東は?東なら?立花義國の軍勢だけだそ!
信正!東はどうだ?」
「殿!立花義國の軍勢は大手門、北門、東門に兵力を分散しております!
今なら義國を守る兵力は少ないでしょう。
見つからぬ様、東にすり抜けて荒川を渡れば助かります!」
「信正!すり抜けて逃げたら川越城を見殺しにした謗り(そしり)を受けるだろうが!
義國の首を狙うぞ!」
上杉朝定は軍勢を東に向けて進みました。
斥候部隊を先行させて、川越城の東門周辺に布陣する立花義國の所在を探らせました。
進む先で立花家の軍勢に見つかれば包囲される心配があります。
城下町の火の手から退避している立花家の軍勢が何処に居るのか解らぬまま進むのは大きな賭けでした。
やがて立花義國の所在が判明しました。
上杉朝定の軍勢から東に1キロ離れた畑の中に2000の軍勢が多数の軍旗と本陣を示す幔幕が見えるとの知らせが入ります。
上杉朝定は決意を固めました。
兵士達を集めると命懸けで立花義國の本陣を攻撃する事を伝えます。
「皆、聞いてくれ!
今まで懸命に戦ってくれた事に感謝する!
これより、彼方に見える立花義國の本陣に突入する!狙うは義國の首ひとつ!
逃げたい者はこの先の荒川を渡り、逃げて構わぬ!
俺と一緒に戦う者だけ着いて来てくれ!」
「おぉー!!」
多数の兵士達に気持ちが伝わり、士気が高まりました。
東に進む上杉朝定は立花義國の軍勢を求めて移動しました。
斥候部隊が遂に立花義國の軍勢を見つけました。兵力は同数の様に見えます。
立花義國の首を目指して勝負に挑みます。