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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)4月24日、川越城下町炎上!

城下町を焼きながら、抵抗する上杉朝定の軍勢は意外な行動で立花軍を翻弄します。

1546年(天文15年)4月24日


─梁田陣地北、上杉朝定、長尾信正─


梁田勢、宇田川勢、河越勢に城下に火を放ち、坂戸方面に退避を命じた朝定は非情な命令を出した後に涙を流しました。

生まれ育った故郷を自分の命令で放火して消し去ろうとしています。

父の跡目を僅か12歳で相続してから9年、自らの思い出と先祖や家臣領民達が築き上げた川越の城下町を消してしまう決断です。


「信正!ご先祖様と家臣領民の故郷を俺が潰してしまうのだ、全ての恨みを背負う覚悟を決めた!城下町に大きな火が廻るまで、梁田陣地を支える必要がある!

南へ移動する!梁田義助を支えにいくぞ!」


「殿!危険です。先に退避すべきです!」


「馬鹿者!俺だけ助かっても意味がないだろう?行くぞ!」


立花軍、東郷勢が坂戸方面の道を開け、攻撃を控えている今なら北側からの脅威がありません。

梁田陣地南の最前線を支え、梁田勢を坂戸方面へ逃がす事を優先に考えました。

今までの上杉朝定なら家臣に丸投げして先に退避したでしょう。

若き当主に自覚が現れた様でした。


上杉朝定の軍勢2000は梁田陣地の南の最前線に到着、梁田義助の軍勢が立花軍と激戦中でした。

─上杉朝定、梁田義助─


「梁田殿!我が手勢が城下町に火を放ち、間も無く煙に巻かれる故、坂戸に退避去れたし!

先に退避して頂く!

梁田勢は引き上げてくれ!」


伝令から聞いた時点で驚いたのに、川越上杉当主自ら最前線に来る等に梁田義助は驚きました。


「朝定様、それは危険でございます!

殿軍なら私共が務めましょう!」


梁田義助は古河公方家から上杉朝定を守る為に派遣されました。古河公方家の筆頭宿老、梁田高助の二番目の弟です。

兄から託された命令を守ろうと殿軍を申し出ました。


「気にするな!梁田殿、秘策が有る故、任せて貰うぞ!気にせずに少しずつ退避してくれ!」


「左様であれば、上杉様、お任せして先に退避致します!くれぐれもご無事であります様に坂戸でお待ち致します!」


梁田勢は陣地の防御を少しずつ縮小します。

代わりに上杉朝定の軍勢が守備に付きました。

「殿?秘策とは、何か思い付きましたか?」

長尾信正が尋ねました。

「ぶはははは!、有る訳無いが、ああでも言わなきゃ梁田義助を説得出来ないだろう!」




鹿島政勝は上杉朝定が現れたと聞き、驚きました。戦国大名家の当主自ら最前線に現れるのは珍しく、さらに今まで、立花家との戦いでは必ず安全な場所に居たはずの朝定が、政勝の視線の先に現れました。

砦の馬防柵の中に鎌倉以来の伝統的兜を被る若き武将、間違い無く上杉朝定でした。

その姿を捉えた時に川越の城下町から流れる黒い煙が数本見えました。


「やられた!

上杉朝定の奴!城下町に放火しやがったぞ!

伝令!今福城の本陣に伝えろ!

城下町から数本の煙有り!

敵の放火の可能性有り!

以上だ!」



─立花家、今福城本丸─

─立花義秀、鹿島政家─


今福城本丸からも城下町から上がる煙が見えました。

「政家、お前が危惧していた通り、放火しやがったぞ!消火は難しいな?」


「はい、府中の街と違い、防火対策は無きに等しいでしょう。

火と煙に巻かれぬ様に軍勢には退避を命じるのが宜しいかと思われます。」


「そうだな、地理不案内の城下町は危険だな?

恐らく川越城に戻れぬから坂戸方面から松山城へ逃げるだろう。

各部隊に火災と煙から退避、安全優先を通達せよ!」


「はい、手配致します。」

鹿島政家が各部隊に伝令を派遣しました。


─梁田陣地前─


鹿島政勝の軍勢が防御柵を倒し、梁田陣地に侵入しました。乱戦の中、煙が容赦無く鹿島勢の兵士を包みます。

咳込む兵士に上杉朝定の軍勢は鼻と口に布を巻いて弓と長槍で鹿島勢を押し潰しに掛かりました。

軈て黒く濃い煙が周囲に立ち込め、危険と察した鹿島勢は陣地から撤退しました。


上杉朝定は軍勢を纏めて陣地の東側の水田の畦道を渡ります。

水田に脚を取られるのを避けた鹿島勢はこの辺りに兵士を配備しておらず、川越城の西南に出ました。そのまま進路を北に向け、川越城の大手門の南方向へ向かいます。

煙が迫る道を知り尽くした軍勢は煙を避けながら進みます。

大手門から少し南に離れた場所では河越勝重の軍勢1000が立花軍、髙梨義成の軍勢5000と市街戦の攻防戦が続いていました。

今福城本陣からの伝令が未だ到着しておらず、川越城下町の火災状況を把握していません。数ヶ所の火災を把握していますが、全体の状況を知らずに戦いが続いていました。


上杉朝定は髙梨勢の背後に放火を命じました。東に進みながら放火を続けます。

髙梨勢の近くから次々と周囲に放火します。

髙梨勢が放火に気付くと至る所から火の手が上がり、髙梨勢は慌てました。

火の手に包囲された髙梨勢の頭上には上杉家の軍旗が包囲しています。河越勢が弓を放ち、火の手の側に追い込みを計ります。


「よっしゃー!逃げる髙梨勢は放置しろ!

河越勢と合流するぞ!」


「おぉー!」

上杉勢の兵士達が声を挙げました。


髙梨勢を威嚇して撃退すると上杉朝定は河越勢と合流、大手門方面に向かいました。



城下町を焼きながら移動する上杉朝定、梁田勢を先に退避させて、次には河越勢を救いました。

上杉朝定の目指すのは?

次の手段は?


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