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戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


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1546年(天文15年)4月22日、川越城攻防戦、南第二砦、南第三砦に立花軍接近!松千代の神憑りパワーが炸裂します。

松千代の提案から大胡重家、広沢政弘が立花家に仕える事になります。

そこから神憑りの展開が始まります。

1546年(天文15年)4月22日午後~


─川越上杉家、川越城─

─筆頭宿老、長尾信忠、弟、長尾信正─


早朝から城下は脱出する民、捕虜から解放された兵士達で騒乱の中、前橋上杉家と川越上杉家の軍勢が衝突、前橋上杉家の筆頭宿老が亡くなる事件になりました。


昨日の敗戦以来、川越上杉家、筆頭宿老、長尾信忠は殆ど徹夜で奔走しています。

大樹院で前橋上杉家、長尾憲長の死を確認した弟、長尾信正から報告を聞きました。


「兄上、前橋上杉家は長尾憲長の後継者を巡り、弟の長尾秀長と時長、さらに長尾一族から長尾景宗、幽閉されてる長野業政の名前が上がっております。」


「そうか、やはり、長野業政の名前もあるんだな?彼なら家中を立て直す力量が有るはずだからな。それで、前橋上杉家の当主、上杉英房殿と話す時間は取れたのか?」


「兄上、英房殿は大泣きされておりましたが、落ち着いてから私を別室に招かれ、密談が出来ました。

英房殿は冷静に対処する考えの様です。

長尾一族に権力が集中し過ぎた弊害を理解なされております。

館林城に向かい、幽閉されている長野業政殿を救出、宿老に加えるつもりの様です。

但し筆頭宿老にするかはハッキリとは申されませんでした。」


「そうか、長野業政は劇薬だからな、前橋上杉家の前当主、上杉憲政殿の時に手腕を発揮、弱体化していた前橋上杉家を建て直した功労者であったが、憲政殿は筆頭宿老から平役の宿老に降格したり、諫言に憤慨して謹慎させたり、バカ殿のお手本であった。

長野業政が筆頭宿老のままなら先の滝山城の戦いに勝利して滝山大石家は滅び、立花家も滅んでいたかもしれぬ。

長野業政なら、前橋上杉家は再び勢いを取り戻すかもしれん。」


「前橋上杉が再起出来ないと我が川越上杉家も滅びるしかありません。

兄上、万が一川越城が支え切れぬ場合はどうなさいますか?」


「信正、他言無用だが、北へ4里(16キロ)の松山城に移転しか無いだろう。

お前に頼みたいのだが、松山城に退避する道筋を確保してくれ。

松山城と川越城の補給路の治安維持確保を名目に手勢を率いて警備を頼む!

この仕事が無用になれば良いのだが、頼めるのはお前しかいないのだ!」


「承知した!兄上、他言無用でやりますから、無用になった時もしっかり手当てを貰いますからね!(笑)」


「手当ては弾むから頼んだぞ!」


緊迫した状況で兄弟最後の会話になるかも知れません。前橋上杉軍の支援が消えた今は立花軍の圧力が高まり、川越城が守り切れるのかわからない情勢です。


─川越城、南東2キロ、南第二砦─


立花家、嫡男、立花義國の軍勢11000が攻撃を開始、砦は二重の空堀の中に500名が籠り、北側に援軍の島村仁成勢2000が支援しています。


─川越城、南西2キロ、南第三砦─


立花家、次男、立花義弘の軍勢11000が攻撃を開始、砦は二重の空堀の中に500名が籠り、北側に古河公方家の援軍、梁田義助の3000が支援しています。


─立花家、今福城─

─立花義秀、鹿島政家─


本丸の会議の間に武将達が集まりました。

川越城周辺の地図を見ながら軍勢の駒を動かして現在の状況を確認しています。

さらに最新の川越城内部の地図が届き、改築されて防御力が強化された事が判明しました。


川越城は元から二重の水堀に囲まれた堅城です。城内の新曲輪(しんくるわ)帯曲輪(おびくるわ)南曲輪(みなみくるわ)、三つの曲輪を大改修しています。

水堀は青色、、畑は茶色、平地は緑、湿地は水色で示す地図を見れば、城攻めは困難になった事が解りました。


本丸を囲む二ノ丸三ノ丸、八幡曲輪を三つの曲輪を大改修して囲みました。

捕虜となった川越上杉家の重臣、大胡重家、広沢政弘に見せた処、二人正確な絵図に驚きました。

鹿島政家は絵図を見ながら二人に川越城の弱点を尋ねました。


二人はじっくり考えながら答えました。

川越城の防御力は十分ながら、弱点なら兵糧が半月から1ヶ月しか持たない事や、当主、上杉朝定が筆頭宿老、長尾信忠に丸投げで、他の宿老、重臣達も筆頭宿老に頼り過ぎている事、彼が居ないと仕事が停滞する事だと答えました。


そこにいつの間にか、松千代が地図を覗き込み、大胡重家に尋ねます。


「大胡のおじさん?南第二砦の援軍の、島村さんが迷ってるから今なら、おじさんが誘えば味方になるよ!仲良しなんでしょ?」


大胡重家は高貴な服装の松千代に声を掛けられてキョトンとしています。

祖父、立花義秀が松千代を抱き抱えながら笑います。

「ぶはははは!大胡重家殿、我が孫、松千代は神様とか、何やら、凡人には見えぬ物が見えるらしいのだ。

南第二砦の援軍武将、島村仁成に繋ぎを取り、立花家に服属を勧めてくれないか?

成功すればお主には今福城を与える!

城主に復帰する事を約束するぞ!

島村仁成にも相応の待遇を与えるぞ!」


「はい!一命を賭けてやらせて頂きます!

必ずお味方にしてみせましょう!」

捕縛され、一時は死を覚悟していた大胡重家は立花家に仕える決意を固めました。


それから松千代が広沢政弘に話し掛けます。

「広沢おじさんはねぇ、南第三砦に弟が居るでしょう?誘えば味方になるよ。」


広沢政弘の弟、忠弘が南第三砦の主将を努めていました。

「はい、弟が南第三砦の主将でございます。」


立花義秀が即断即決します。

「広沢殿、弟を口説いたら貴殿には川越周辺の城主に迎える事を約束するぞ!

新たに城を築いて与えても良いぞ!

どうだ?弟にも相応の待遇を約束するぞ!」


広沢政弘も覚悟を決めました。

「ははー!立花家にお仕えいたします。

必ず弟を味方に引き入れます。」


「決まったぞ!政家、大胡重家、広沢政弘から預かった各々近習20名を自由に使わせて、勧誘させろ!」


大胡重家の近習20名、広沢政弘の近習20名は軟禁されていましたが、待遇が改善され、勧誘工作に携わる事になりました。


「松千代?他に人の心が見えるのか?」

義秀が不思議な能力を見せた松千代に訪ねます。

「お爺、前橋上杉軍に人質を取られて困ってた百済神社を助けたでしょ?

だからお礼に百済神社の神様が与えてくれたのかも?

でも、今だけかもしれないよ?

いつも人の心が見えたら疲れちゃうよ。」


「そうか、今だけでも大助かりだ!」


「お爺、川越城の絵図だけどね、北側に出入り出来る橋と東側に出入り出来る橋があるでしょ?ここの前に構えた北門と東門を軍勢で塞ぐの、逆茂木とか、馬防柵を並べるの、南側には立花家の軍勢が居るから出られない。

西側だけ、逃げられるように開けてたら怖くなって上杉朝定は必ず西の大手門から逃げ出すょ。」


「ほぉ、なるほど…不安になりそうだな?

西側から逃げたくなりそうだな?」


「それはね、川越氷川神社の神様が西側だけ開けなさいと言ってるよ。

氷川神社の神様は秩父の三峯神社の神様の息子なんだよ。スサノオノミコトって名乗ってるょ。秩父を助けてくれたお礼だと言ってるよ。川越城の弱点はね、内部が広すぎて兵士の移動に時間が掛かり過ぎる事だよ。

城の中に6000の軍勢が見えるけど、北門の近くに500、東門の近くに500しか配置してないから塞ぐのは難しくないよ。」


「ぶはははは!

秩父藤田家を救った見返りに?

それは有難い事だ!

川越氷川神社の神様は三峯神社の息子?

スサノオノミコトなのか?

それに兵士の数から配置まで見えてるのか?」


「お爺、百済神社の神様と三峯神社の神様の繋がりのお陰なんだょ。

百済神社の神様が助けてくれた、お爺に感謝してるから、お礼に仲良しの神様繋がりで松千代に教えてくれたんだょ。」


「あぁ、凄い話しだな、神様繋がりかぁ…

頭がクラクラするぞ……」


立花家に仕える事を決めた二人は各々に内応工作を開始しました。

南第二砦の援軍主将、島村仁成が大胡重家の求めに応じて立花家に従う事を決めました。

島村仁成は手土産に第二砦の主将を口説き、降伏させました。

南第二砦は立花義國の軍勢に明け渡しました。


南第三砦の主将広沢忠弘は兄、広沢政弘の勧誘に同意しました。

砦の主将、広沢忠弘から援軍の古河公方軍、梁田義助に立花家に服属すると通告しました。

梁田義助は驚き、怒りますが、川越城の西第四砦付近に撤退、川越城に南第三砦の離反を急報しました。


立花家に随身を決めた島村仁成の軍勢は立花義國の指示に従い、川越城の東の要、東第一砦に向かいました。

島村勢2000と後続の立花軍3000の軍旗に囲まれ、東第一砦の主将は島村仁成から降伏勧告を受けて驚きました。

島村仁成が立花家に服属した経緯に川越上杉家の重臣、大胡重家、広沢政弘の二人が立花家に随身した事を伝えると東第一砦も降伏、

東第一砦に立花家の軍旗が掲げられました。


次期立花当主、立花義國の軍勢は南第二砦、東第一砦を確保して川越城の北、東に掛かる橋の先、城門前に軍勢を進出させました。

松千代が提案した北側と東側の出入口を逆茂木、馬防柵で封鎖する事が目的です。

ここが封じられると川越城から出入り可能なのは西側の大手門だけになります。

川越城内は相次ぐ急報に混乱していました。


─川越城、上杉朝定、長尾信忠─


砦が三つ陥落、島村仁成が離反、古河公方家から派遣された梁田義助から西第四砦にて退路を確保したから北へ退避を促しています。

すでに城内に立花家に内応した武将の噂が流れていました。

更に北門と東門の前に立花軍が進出、逆茂木と馬防柵で周囲を封鎖した事が報告されました。


「何故だ?信忠?次々に三つの砦が落ちて、東の第一砦に誰も援軍に行かなかったのか?」


「殿、第一砦に援軍を出す指示を出しましたが、移動に手間取り、先に第一砦が降伏してしまいました。

守りを強化した余り、城内の移動に時間が取られる事を失念しておりました。申し訳ございません!」


「信忠、顔が青白いじゃないか?

徹夜続きで疲れてるのでは無いか?」


信忠が胸に手を当てたまま、崩れるように横になりました。ました。

「信忠ぁー!どーした?大丈夫か?

しっかりしろ!」

気を失い、倒れた信忠に朝定が肩を揺らしますが、反応がありません。

近習達が慌てて医師を呼びに走ります。

暫くすると次席宿老、上田朝直が慌ててやって来ました。


「朝直!信忠が倒れた!気を失ってる!

死んだらどーしたらいいんだ?

なんとかしろ!」

取り乱す上杉朝定に上田朝直は冷静に朝定を諭します。


「殿、長尾信忠殿は数日の徹夜で疲労困憊、今は医師に任せるしかありません。

次席宿老として、今は筆頭宿老の職務を引き継ぎます!宜しいですか?」


「解った!朝直に任せる!

まず、悪い知らせばかりだがどーする?」


「殿、筆頭宿老代行として判断しますぞ!

撤退します!松山城に撤退します!」


「何ぃー?川越城を捨てるのか?

大改修して大金投じて信忠が精根込めて作り上げた城だぞ!

凄い立派な城じゃないか?

難攻不落と言われてるじゃないか?

どーしてなんだ?」


「殿、実は信忠殿から万が一の時は松山城に移転する準備を頼まれておりました。

信忠殿の弟、信正殿が退路を確保しております。信忠殿が申されるに、どんなに防御力がある城も時の流れの前には逆らえず、守りきれぬ時があると……今がその時です。

難攻不落の要、四つの砦の内、三つが立花家の流れに飲み込まれました。

今は立花家の流れを止め切れません。

今は松山城に移り、再起を図るしかございません!」


「解った。朝直に任せる!

でも、信忠を動かして大丈夫なのか?」


「殿、信忠殿の体力に掛けるしかありません。

一か八か松山城まで搬送します。」


「いや!ダメだ!危ない!

死んだら困るんだ!

立花家と交渉出来ないのか?

松山城に退避するから川越城を引き渡すと交渉するんだ!やれば出来るだろう?」


「殿?そんな甘い交渉が今更通用するとは思えません!」


「嫌だ!信忠が死んでしまったら終わりだ!

俺も死ぬ!信忠を死なせない!

俺が立花義秀と交渉する!

馬を用意せよ!

立花義秀の本陣へ参るぞ!」

珍しく上杉朝定が取り乱して叫びました。


「殿を止めろ!敵に捕らわれるが落ちだぞ!

殿ぉー!」

上田朝直の静止を振り切り、上杉朝定が廊下を走り、近習の数名が追いかけます。

さらに上田朝直の家臣達が追いかけます。

やがて普段から運動嫌いの上杉朝定は追い付かれて別室に軟禁されてしまいました。


上田朝直は複雑な立場にいました。

40歳の筆頭宿老、長尾信忠の下で10年も次席宿老として働き、52歳です。

今、長尾信忠が亡くなれば筆頭宿老に昇格する絶好のチャンスを迎えています。

歳下の信忠が筆頭宿老に相応しい人物と認めながら、同時に嫉妬している自分がありました。

長尾信忠は心臓系の病に倒れ、深刻な状態にあります。迷いながらも長尾信忠の命を奪う決意を固めました。時間が立てば長尾信忠を訪ねる人数が増えます。機会を失う恐れがあります。


信頼置ける側近に耳打ちすると即座に信忠の病間に三名の手練れが入り、医師を脅して信忠の鼻と口を塞ぎ、窒息させました。

医師に呼ばれたと上田朝直は上杉朝定を伴い、病間に入りました。


医師から数日の激務が祟り、心臓が耐えきれずに亡くなった事を告げました。

先ほどまで一緒だった信忠の亡骸に上杉朝定は泣き崩れました。


「信忠ぁー!先にいくなー!

信忠ぁー!嫌だ!信忠ぁー!」


父の顔すら知らずに寂しく育てられた朝定には父に甘えるかの日々を過ごして来ました。

信忠の存在は大きく、頼りきっていました。

もう、頼れる信忠は冷たくなっていました。


号泣する朝定を病間に残し、上田朝直は西第四砦の古河公方家の援軍、梁田義助に信忠の訃報を伝え、松山城へ退避すると告げました。

次に城内の重臣に信忠の死去を知らせ、信忠の職務を上田朝直が代行すると公表します。さらに上杉朝定の命令として、松山城への退避を告げました。


─立花家、今福城─


川越城周辺から次々に朗報が入りました。

川越城を守る砦が次々に降伏、三つの砦が立花家の手に渡りました。

重臣、島村仁成が立花家に臣従を誓い、立花義國の軍勢が川越城の北門と東門前を封鎖しました。

城内の間者から筆頭宿老、長尾信忠の急死の知らせが入りました。








難攻不落の川越城が意外な脆さがありました。

川越上杉家の司令塔、筆頭宿老、長尾信忠の死去から川越上杉家の苦難が始まります。

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