表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国立花家三代、新日本国戦記、大國魂神社の大神様に捧ぐ!織田信長を倒して全国統一を目指します!  作者: 近衛政宗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

232/466

1546年(天文15年)4月22日、川越城下の騒乱、怒る長尾憲長、乱取りを命じる暴挙へ!

約束を果たされず、門前払いを喰らった屈辱から怒りが収まらない長尾憲長は荒くれ者の兵士達に乱取りを命じますが……

1546年(天文15年)4月22日


─川越城本丸、上杉朝定─


川越城の大手門は川越城の西側にあり、北へ逃げる民が列を成して大手門前を通過します。

立花軍から解放された丸腰の兵士達は500ほどの人数が大手門周辺に集まり、警備部隊の兵士と現場復帰を求めて押し問答が続いていました。

雑兵でも鎧を着用していれば識別用に背中に小旗を差しているので上杉家の兵士だと識別出来ます。上杉家が貸与してる武器があれば家紋や意匠が証明になりますが、丸腰の兵士は顔見知りで無い限り上杉家の兵士だと判断出来ません。

時間が掛かりましたが、警備部隊の責任者と顔馴染みの兵士が対面して漸く警戒を解いて解放された兵士達は城内に入る事になりました。

漸く大手門前の騒ぎが収まった頃、警備部隊の元に大手門の西側、裏通りの住居が数ヶ所燃えていると通報がありました。

大手門の西から煙が上がるのが見えます。


大手門の警備部隊から本丸の上杉朝定に火事の報告が届き、消火部隊が出動しましたが、応援が必要との要請がありました。

肝心の長尾信忠は南門に出掛けて不在です。

側近は立花軍の間者が放火している可能性を指摘しました。

朝定は消火の応援部隊の出動を命じます。

さらに立花軍の間者を見つけ次第討ち取る様に軍勢の派遣を命じました。


その頃、前橋上杉家の軍勢1000は約束された朝飯にありつけず、空腹と門前払いの屈辱で怒りが収まりません。

「川越上杉家に罰を与えるぞ!

乱取りを許す!美しき者を集めろ!

欲しい物を奪え!逆らえば切れ!」

長尾憲長は兵士達の怒りを納める為に乱取りを命じました。


川越城下の西側、火災現場周辺で乱取りの被害者から通報を受けた川越上杉軍は、乱取りしてる軍勢が立花軍と判断して急行します。


やがて女性の悲鳴が響き、川越上杉軍が救助に駆けつけます。

周辺では住居に押し入る兵士が居ます。

女性を抱えてる兵士達を見つけると一斉に取り囲み、戦いが始まりました。

周辺には乱取り真っ最中の前橋上杉軍と通報で駆けつけた川越上杉軍との衝突が始まりました。


長尾憲長達はゆっくり北へ行軍していました。適度に乱取りすれば荒くれ揃いの兵士達も怒りが収まると楽観していました。

そこに後方で乱取り中、川越上杉軍と衝突したと知らせが入りました。


「しまった!やり過ぎたか?

仕方ねぇな?助けに行くぞ!」

憲長は反転して馬を走らせ現場に急行しました。

到着すると現場では二名の女性を奪った部下の兵士と、奪い返せと戦う川越上杉軍の戦いが続いていました。

狭い路地に互いの軍勢が罵り、刃を交えています。


「バカヤロー!

同じ上杉家同士で戦ってどーするんだ!

川越上杉家は手を引けー!

俺は前橋上杉家の筆頭宿老!

長尾憲長だ!お前らの主人、上杉朝定に伝えろ!

約束を違えて大手門から追い出した屈辱は生涯忘れぬ!

援軍を頼まれて遠路を厭わず前橋から駆けつけた見返りに美女二人貰うぐらい文句無かろう!貰って帰るぞ!」


論外の屁理屈ですが、馬上から叫ぶ憲長の圧倒的な存在感に川越上杉家の軍勢からは反論出来ずに沈黙が続きました。

長尾憲長の旗本の兵士達も不敵な笑いを浮かべていました。

その時、二筋の矢が長尾憲長の胸に刺さり、もう一筋の矢が首をかすめました。


立花家の忍びが捕虜から没収した川越上杉家の甲冑を着て紛れていました。

「殿様のご命令だ!乱取りする者を許すな!

討ち取れー!」

立花家の忍びが煽動すると、怒りを我慢していた川越上杉家の軍勢は目の前の前橋上杉軍に襲い掛かりました。

「乱取りを許すなー!

討ち取れー!」

立花家の忍び達はさらに煽り続けます。


そこに心配して引き返した前橋上杉家当主、上杉英房が現れました。

「静まれー!静まれー!

我は前橋上杉家当主、上杉英房である!

上杉家同士争うなかれ!

静まれー!」


上杉英房の登場で川越上杉軍の指揮官が冷静になり、戦闘停止を命じました。

双方に死傷者が出ましたが、大変な事になりました。

長尾憲長の胸に二筋の矢が刺さり、首筋から出血が止まりません。


「義父上!お気を確かに!」


「あぁ婿殿、前橋に帰るまでは死なぬ…

心配するな…」

先ほどまで元気だった憲長は重傷でした。


首からの出血が止まらず、胸部に川越上杉家の意匠が付けられた矢が刺さっています。

抜けば大量出血を起こす恐れがあります。

川越上杉家の指揮官の案内で最寄りの寺院に担ぎ込みました。

急報が川越城に知らされると南門の騒動を片付けて戻ったばかりの筆頭宿老、長尾信忠が頭を抱えました。

信忠の元には大手門警備担当者から前橋上杉軍の入城を拒否した理由が報告されました。


─川越上杉家、川越城本丸─

─上杉朝定、長尾信忠─


「信忠?どーする?

どーしたら良いのだ?

前橋上杉家と同士討ちで相手の筆頭宿老を死なせたらどーしたら良いのか、わからんぞ?」


「殿、手遅れです!何も手はありません。

大手門前の警備担当者から前橋上杉家の軍勢を城内に案内する予定でしたが、身元不明の兵士らしき集団数百名が大手門前で騒ぎ立てており、前橋上杉軍の入城を拒否した事が判明しました。

間が悪く、行違いで怒った前橋上杉軍は腹癒せに乱取りしており、非道な振る舞いを許せなかった我が軍の兵士は正義の為にした事です。非は前橋上杉家にあり!」


「信忠?詫びを入れないのか?」


「殿、今は立花軍が南第二砦、南第三砦に迫っております。こちらが優先です。」


「前橋上杉家と手を組む方法があります。

まず、長尾憲長に死んで貰い、長尾憲長の居城、館林城に幽閉している元筆頭宿老、長野業政殿を救出して筆頭宿老に返り咲きして貰います。

取り敢えず、我が弟、長尾信正を謝罪と裏工作の為に派遣します。」


「そうか、やはり信忠は先周りで考えているのだな?全て任せる!頼んだぞ!」


上杉朝定には手に負えない案件です。

いつも通りに丸投げで信忠に頼ります。






川越上杉家に悪夢の事件が発生しました。

立花軍が川越に迫る時に味方の宿老に重傷を負わせてしまいました。

長尾憲長の運命は……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ