１５４６年(天文１５年)４月１９日、伊集院忠久、岡本政國、藤田康邦、薄氷の勝利だった２日間の戦いを振り返ります。
２日間の戦いに勝利しましたが薄氷の勝利だったと判明しました。
越後上杉家に親書が渡される経緯が判明、驚きの事実が知らされます。
１５４６年(天文１５年)４月１９日
─夕刻、下田野砦─
伊集院忠久は厳しい戦いを乗り越え、岡本政國、藤田康邦の協力に支えられて勝利を掴みました。
２人の協力が無ければ越後上杉軍、本庄勢、柿崎勢に敗れていたに違いありません。
昨日から今朝まで、岡本政國は根古屋砦、国神砦を守り切り前橋上杉軍、小幡勢、長尾勢
に勝利したのは伊集院忠久が援軍１０００を派遣、秩父藤田家から秩父防衛隊、富岡勢の１０００が援軍に駆けつけたからこそ、互いに支え合っての勝利でした。
前橋上杉軍、小幡勢、長尾勢の進攻が１日ずれて、越後上杉軍、本庄勢、柿崎勢と同日の攻撃だったら？
伊集院忠久、岡本政國、藤田康邦の３名は同日に攻撃されていた場合を推定しました。
３名の答えはほぼ一致、国神砦、根古屋砦が攻略され、前橋上杉軍、越後上杉軍が下田野砦、皆野城攻めに合流して攻略、戦いは秩父中心部に移り、敵軍優勢の状況が想定されました。
１日ずれたお蔭で滝山大石家、青梅三田家から援軍２０００が到着、戦いに参加した事が大変大きく、勝利の要因になりました。
前橋上杉家の軍勢は１１０００、越後上杉家の軍勢が８０００、合計１９０００
秩父藤田家は兵力１０００、志願兵の秩父防衛隊３０００を含め４０００
岡本勢３０００、伊集院勢５０００
合計１２０００
この戦力に１日敵の攻撃がずれた事で滝山大石家、青梅三田家からの援軍２０００が加わり合計１４０００
総兵力の差が縮まり勝利の要因になりました。
「結果として我らは昨日、本日の戦いに勝利したが、運に恵まれたに過ぎない、最後まで気を引き締めて参ろう！」
伊集院忠久の言葉に岡本政國、藤田康邦も頷きました。
岡本政國から伊集院忠久に質問がありました。
「伊集院殿？
越後上杉家当主、上杉房朝様への親書ですが、我が殿は先を見越して用意されました。伊集院殿に託せば越後に届くと見越した殿様が凄いのか？
もしや、貴方が殿に親書の件を提案なされたのではありませんか？」
「ぶははは！
それは俺では、無いぞ、松千代様が殿様に進言なされたのだ。
松千代様の夢に秩父三峯神社の神様がお出ましになられ、秩父に戦乱ありと知らされた。
松千代様は殿様に伊集院に任せろとご指名なされ、私が秩父に派遣される事になった。
越後上杉房朝様への親書を書く様に勧めたのは松千代様なのだ。
殿様も名案に驚かれた！
親書がきっかけになり、越後上杉家が前橋上杉家に援軍を送らなくなれば、これからの戦いに大きく影響するだろう。」
「なんと？松千代様だったか！
それにしても越後上杉家に親書を渡すには正式に使者を越後に使わす方が確実ではありませんか？」
「通常ならそうだが、越後に使者を使わすには前橋上杉領内を通過する故、筆頭宿老、長尾憲長に阻止されるだろう。腹黒い奴だからな……まぁ、親書を託されたからには何とかして渡す方法を考えた。
まぁ運良く敵将、本庄実政殿を捕らえたから
託したまでだが、松千代様には親書が渡る事が見えているのかも知れぬ。」
「伊集院殿、親書が無ければあの時、本庄実政殿は切腹なされ、無念の最後……天神山城に戻った越後勢は恥を払拭する為、必死の戦いに転じたでしょう。この先も越後勢との戦いが続く恐れがありました。
それが親書のお蔭で戦場にて越後勢と戦う事が無くなるかもしれません。」
岡本政國は語りながら親書が無事に届く事を祈りました。
秩父藤田家当主、藤田康邦はこの２日間の戦いが実は薄氷の勝利だったと知り、ぞっとしました。
小さな地域の藤田家を命懸けで支える立花家、大石家、三田家に深く感謝するしかありません。
「立花家、大石家、三田家の皆様には感謝しても仕切れません。秩父藤田家当主として誠に感謝申し上げます！」
涙を浮かべ頭を下げる藤田康邦…
秩父の銘酒が運ばれ、ささやかながら、勝利の宴が始まり、家督を継いでわずか４ヶ月の藤田康邦を激励する和やかな宴になりました。
戦いの結果は勝利しましたが、まだ、秩父の戦場に敵軍が残っています。
越後上杉家の軍勢の動きは本庄実政が握ります。親書を携えて約束通り越後に帰国するか否か？気になります。
