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11,

 


「うーん、やっぱり背が高いとドレスが映えるわね」



 ジータはスタイル良いなぁ。



「ふふ、でも女受けは良くても、男受けは断然あっちよ」


「……胸きつい」



 今日もレイアに持っていかれそうね……。 でも社交界の最終兵器を作り出してしまったのは私だし、ちゃんと責任は取らないと。



「おっ、来てたんだな、嫌われ者」


「――むっ! レオーネ、そっちこそレイアに見合う男は用意したんでしょうね」



 会場に着いてまもなく、声をかけてきたのは噂だけの恋人。 その噂も薄れてきたけどね。



「何の取引なんだよ……。 まあ、金持ちで頭が良い、ってのは連れて来た。 あまりこういう場に来ない奴だから大変だったんだぞ」


「 “誠実” が抜けてるわよ、そこ大事なんだからっ」


「悪い奴ではない……ちょっと変わってるけどな。 ――ファビオ、この子が話してたレイアだ」



 ふむ、彼がレオーネが連れて来た令息ね。


 細身でキレイな顔してるじゃない。 でもちょっと髪が長いのは減点かな。



「ファビオ・モアロニクだ。 婚約、結婚にしか興味の無い薄っぺらな貴族令嬢と話すのが苦手でな、こういう場はあまり好まない」



「……レオーネ、()()()()変わってるって言ったわよね?」


「国有数の豪商、モアロニク商会の長男だ。 そこらの貴族より財も力もある、何より成績優秀で頭脳明晰だぞ?」


「それならレイアも成績は学年1位よ」



 自分の事でもないのに自慢げに顎を上げると、「ほう」と言ってファビオはレイアの前に立つ。



「フェーゲル王国との貿易で我が国最大の失策は何だと思う?」



「な、何よそれ、そんなの……」

「試験で成績が良いから頭が良い、とは考えないのがアイツの持論だ。 実際に使える人材とは限らない、らしい」



 それにしたって、レイアはまともに男の子と話せないのよ? そもそも就職先を探してる訳じゃないんだから……



「み、道は国力を表す、それを怠ったから……」



 ……レイア? それどういう意味?



「そうだ」


「――そうなの!?」



「貿易の本格化前に整備しなければいけなかった。 フェーゲル王国からは輸送しにくい程度の低い国だと思われ、他国と比べて取引量を抑えられている」


「じ、事故による保証、積荷の遅延など、無駄な問題が今になってのしかかってきてる、から……」


「ふむ、君とは話しが合いそうだ」



 こんな出会い……もある、の?



「――ん? どうしたのかしら?」



 大広間の入口から騒めきが聞こえてきた。 その騒めきに紛れて、前回初めてのパーティーで知った名前が耳に入ってくる。



「メリッサ様……」

「珍しい、学生のパーティーにはほとんど顔を出さないのに」



 メリッサ……公爵令嬢だ。

 ふと隣を見ると、ジータが顔を歪めて身を竦めている。 私はそっとその背に手を添えた。



「エルマ……」


「大丈夫よ」



 公爵令嬢からすればジータは婚約者の浮気相手だ。 でもその関係は終わったし、メリッサ様は知らない筈。 ……それにしても、普段来ないみたいだしタイミング悪いわね。



「学生生活もあとわずかですし、偶にはこうした場も良いものですね」


「あ、ああ、そうだな」



 隣にはあのダンテ……当たり前か、婚約者ですものね。


 公爵令嬢か、確かに凄い気品があってキレイ。 男を見る目は無いけど……ってジータにも悪いか、それは。



 大広間の階段を上り、まるで王族を讃えるように皆がそれを目で追っている。 そして振り返ると、メリッサ様は演説をするように私達に話しかけた。



「今日は、皆さんにお伝えしたい事があります」



 騒めきが大きくなり、それがやがて静まった頃―――



「私の卒業後の予定が変わりました。 ――ダンテ、あなたとの婚約は破棄させてもらうわ!」



 隣に立つ伯爵令息、ダンテ・シュカワレを鋭い眼差しで睨み、公爵令嬢は婚約破棄を宣言した。



「なっ、何を言ってるんだメリッサ、婚約破棄だなんて……」


「理由はこの大広間に居るでしょう、これ以上の申し開きは見苦しいですよ」



 隣に居るジータの心音が聞こえてきそう。 そんな、どうしてメリッサ様がそれを……



「ごっ、誤解だ! 私は決して不貞など……」


「早く実家に戻った方がよろしくてよ、ご両親と相談なさいな。 ―――この国では生きにくくなるのですから」



 メリッサ様が階段を下りていく。

 その途中、



「レオーネ、奥で話したいわ」


「――は……? 私と……ですか?」



 騒然とする大広間、二人は騒音から遠ざかるように奥へと消えて行った。



 ………どういう、事?



 そうだ―――、




 ジータとダンテ、二人の不貞を知ってるのは私だけじゃなかった……。





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