番外編 私達の結婚式 8最終話
これで本当に完結です。
よろしくお願いします。
招待客らが小さな教会の素朴な席に座った。
祭壇に神父とジェラルドが立った。
扉が開いてスタンリー伯爵に手を取られたアメリアが現れた。
フローラ監修のウェディングドレス。アメリアの趣味意向を取り入れ、王家御用達のトップデザイナーがデザインした美しいドレスだ。一流のお針子が整然とした縫い目で仕上げてある。
ウェディングドレスでありながら、レースや飾りを取り外し可能に仕立てられている。少しの手直しでちょっとしたハレノヒに着用出来るドレスとなる。
アメリアが望んだアメリアのためのドレス。
そのドレスに合わせた花嫁のヴェール。
ドレスもヴェールも最高級の一点物。
ヴェールは当日の光景をしっかり眼に焼き付けたいとの花嫁の希望で、顔を隠していない。
透かし彫りで花を表したレリーフに真珠とダイヤが嵌め込まれた国宝級のティアラ(ジェラルドからの贈り物)。
そのティアラからヴェールが広がっていた。
アメリアのドレスに合わせたジェラルドのタキシード姿。
2人は幸せと信頼に満ちた眼でお互いを見つめあっていた。
アメリアもジェラルドも互いの姿に見惚れていた。眼に焼き付けて一生忘れないつもりだ。
娘をエスコートしてバージンロードをゆっくり歩くスタンリー伯爵。
断絶していた娘の結婚式に、父として娘の手を取れたことに、感無量だった。
一度は手放した娘。
最愛の妻との間の最愛の娘だった。
若い妻を得て、娘の信頼を自ら失った。
その娘が玉の輿に乗ったと知った日の驚き。
妻が何故か怒り狂って娘の事を悪し様に罵って、初めて2人の不仲を知った。
家が没落しようと、娘の嫁ぎ先のウィンダム公爵家に頼ることはしなかった。してはいけないことだ。
息子ノアを後継者としたのは、、、その為に娘を放逐したのは、他ならぬ自分なのだから。
若い妻に溺れ、判断力を失くした愚かな自分。
親しい友人から社交を断られようと、抗議はしなかった。甘んじて受け入れた。当然の結果だった。
がむしゃらに領地を良くしようと励んだ。王都を離れ、領地で過ごした。
ジェラルドの姿を見て、スタンリー伯爵は思い出していた。
昔、あの花婿の立ち位置で、妻となるジェニファーを迎えた日の喜び。
アメリアが産まれた日の幸福感。
妻との穏やかで幸せな日々。
幼いアメリアの可愛らしい姿。
、、、妻が亡くなった日の絶望。
妻に似た娘を愛しながら、見れば妻を思い出す辛い日々。
娘との絆を失った後悔の日々。
その娘が結婚式に自分達一家を呼んでくれた。
言葉を交わしてもらえないと諦めていた娘の、結婚式に、こうしてエスコートさせてもらえている喜び。
スタンリー伯爵は目が真っ赤だ。そして、感激しすぎて嬉しそうだ。
参列者が拍手し、皆、笑顔だ。
ここにいるのは、ジェラルドとアメリアを大切に思う親しい人々だ。
父と娘がその中をゆっくり進む。
祭壇の前でスタンリー伯爵がジェラルドにアメリアの手を渡した。
「娘を、よろしくお願いします」スタンリー伯爵が潤んだ瞳で言った。
「もちろんです。義父上」
ジェラルドは決意を込めて返した。
神父の厳かな言葉で、神の前で2人は初めて、お互いを生涯の伴侶とする誓いをした。
そして、アメリアとジェラルドは誓いのキスをした。
2人は微笑み合い、信頼の眼で見つめ合い、幸福感で満たされていた。
ジェラルドが参列者に向かって感謝の言葉を述べた。
「皆様、本日は私達の結婚式にお集まり頂き、ありがとうございます。
ご存知の通り、私達は既に夫婦であり、かけがえのない宝物にも恵まれております。
皆様のご厚意で、この結婚式を行う事が叶いました。
私、ジェラルド・ウィンダムは先程神の前でアメリアへの愛を誓いました。
皆様の前でも、誓います。
私は生涯をアメリアと子供達を愛し守ることを誓います。
私達の為に、私達の結婚式に参列して頂き、ありがとうございます!」
大きな拍手と祝福の歓声が起こった。
「おめでとう!」「幸せにな!」
「アメリアとてもキレイよ!」
「ジェラルド様、私も、生涯ジェラルド様と子供達を愛し、守ります!大好き!」アメリア。
「リア、私のリア!」
ジェラルドがアメリアを抱き締めた。
また歓声と拍手が起こる。
「おめでとう!お二人さん!」
「おめでとう!アメリア!」
「ジェラルド、ほとほどにな!」
「おかしゃま!だいしゅき!」
「お幸せに!もう幸せだろうけど!」
ジェラルドとアメリアは参列者から祝われて、お互いを見つめ、微笑み合い、祝福の花びらが舞う道を歩き出した。
完結しました。
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。
拙い物語に最後までお付き合い頂き、本当に感謝しております。




