2 アメリア・ラッセルの事情
よろしくお願いします。
たくさんある小説の中、この小説を開いて頂き、ありがとうございます。
頑張って、楽しく、時々ウーンウーンと唸りつつ、書きました。
私、アメリア・ラッセル18歳。
母方のラッセル侯爵家、祖父母の養女。
ミルクティー色の髪に翡翠の瞳。地味な顔立ちだけど。まあまあ可愛いと思っている。
数ヵ月前まではスタンリー伯爵家の嫡女だった。
お母様が5年前に亡くなった。私は13歳だった。
お父様が再婚した。私が15歳になる少し前だった。
喜ばしい事なんだけど。再婚相手のシェリーさんは私より4歳年上なだけ。
シェリーさんは元男爵令嬢で、1度ある子爵とご結婚されたんだけど、上手くいかずに程なく離縁。それで、年若いのにスタンリー伯爵家に後妻として来てくれた。
私、アメリアはそれまでスタンリー伯爵家嫡女として育てられていた。
母の実家のラッセル侯爵から後継は私だと求められていたしね。
新婚のお父様と少し年上なだけの継母。
私、お邪魔虫。
新婚夫婦のイチャイチャに耐えられなかった。
シェリーさんは、一度目の失敗(離婚)を経て、絶対にこの結婚相手を逃すものかとの気迫。人目を憚らずお父様に甘えていた。
例えば、居間に入ったらお父様の膝の上にシェリーさんが乗ってて、濃厚キス。さらに、シェリーさんの服のなかにお父様の手が入ってるのが見えた。
私、ショックで自室に逃げ帰り泣きました。
散歩で庭を歩いていたら。
ガセボの長椅子で。お父様とシェリーさんが寄り添ってキスしてたり。
お父様が鼻の下を伸ばした中年オジサンにしか見えなくなった。
尊敬していたお父様は発情期の猿になった。
朝食の席に2人とも出てこないのはいつもの事となり。
使用人に言われて、私は夫婦の寝室付近は立ち入り禁止。
それでも聞こえる、廊下に響くシェリーさんの声。
スタンリー伯爵邸で居づらくなったアメリア15歳。留学しました。
隣国ルドガシア王国で2年間を過ごしました。
スタンリー伯爵家嫡女として、ランデガルド王国の貴族との交流を深めねばと、最終学年は帰国しました。
スタンリー伯爵家に帰ると、シェリーさんは妊娠しておられました。
お父様は相変わらず、シェリーさんにデレデレしてました。
帰ったけれど、部屋で一人で過ごし、食事も部屋に運んでもらってました。
学園はしっかり通って学びました。
家では部屋から出ずに過ごす日々。辛かったです。
弟か妹が生まれるのは喜ばしい事。私も嬉しかったんです。
数ヵ月して、シェリーさんが生んだのは、男の子。ノアと名付けられました。お父様もシェリーさんもノアをとてもとても可愛がりました。
それから半年くらいして、卒業も近くなった頃。
突然。
お父様が後継はノアにすると言い出したのです。
まあ、せっついたのはシェリーさんなんですけど。
お父様は40歳を過ぎていて。
もしお父様が儚くなってしまわれたら、シェリーさんとノアの立場は微妙。
私が婚姻して爵位をついで子を成した時。シェリーさん達はこの屋敷に住まわせるかも、微妙です。
ノアが後継者となれば、シェリーさんはずっとスタンリー伯爵家にいられますからね。
お父様は後継者を私からノアに、貴族籍に変更届けを出しました。
それを聞いた亡きお母様の実家、ラッセル侯爵家は怒り心頭でした。
ラッセル侯爵家はこれまで何くれにつけて、スタンリー伯爵家の後ろ楯としてついていてくれました。私が後継者だったからです。
揉めにもめて、私は祖父母の養女になりました。
そうそう、婚約者もいたのですが、後継を外された事によって、婚約は白紙になりました。
ま、私はスタンリー伯爵家から放り出されたんです。
時期も悪く、王宮官吏の登用試験も終わっていました。
卒業後は婚約者と婚姻してスタンリー次期伯爵として領地経営やスタンリー商会の経営をしていくはずが、全て無くなりました。
お母様の実家のラッセル侯爵家にお世話になり、来年度の王宮官吏試験を受ける事にしたんです。
その後のスタンリー伯爵家はどうなってるか?って、聞きたい?
長年に渡る恩を仇で返したスタンリー伯爵家として、スタンリー商会は高位貴族から取引を全て切られました。
スタンリー商会は規模を小さくして、何とかやってるようだけど、どうなるかはわかりません。
婚約者とは、以前はまあまあ上手くいっていると思っていたけど。
私の留学中、お互いに気持ちは離れたという感じ。
白紙になっても、気持ちにダメージはなかった。
留学中、私もルドガシア王国で恋をしたから。婚約者がいたから、思うだけの恋だったけどね。素敵な人だったなぁ、、、、。
はっ!!脱線したわ!
さて、と。話を戻します。
帰国したらラッセル侯爵家の従姉妹のアメリは婚約していました。
美人のアメリは引く手あまた。
その中で、ウィンダム公爵家嫡男がアメリにゾッコンで。
めでたく婚約が成った、と聞いた。
従姉妹だけど、私はアメリと仲良くなかった。
アメリが私を嫌っていた。
「同じような名前で紛らわしいわ」と直接言われた事もある。
自分を嫌う人に好意を持つのは難しい。私もアメリが嫌いになった。
従姉妹とは言え、格上の侯爵家のアメリから言われたら、言い返す事もできず、アメリと距離を置いた。
アメリのお兄さんのフィリップとは気が合う。
フィリップは2つ年上。
ああ、バージンロードが最終地点に到着しちゃった。
震えるお祖父様の手から、新郎に私の手が渡されてしまった。
神父様のありがたい祝辞が述べられた。
「ウィンダム公爵家ジェラルド・ウィンダムとラッセル侯爵家アメリア・ラッセルの結婚を祝福致します。
神はジェラルド・ウィンダムとアメリア・ラッセルの婚姻をお認めになられました」神父様の朗々としたお声が教会に響いた。
あれ??「アメリ」じゃなく「アメリア」と呼ばれた?聞き間違いかな?と思った。
神父様が新郎に「誓いのしるしを」と促した。
新郎が私のベールを上げた。
息を飲む音が聞こえた。ビックリしたんだろうな。
ゴメンネ。アメリじゃなくて。美人じゃなくて。
うつむいていた私は、おずおずと、顔を上げた。
私は初めて、新郎を見た。
お読み頂きありがとうございます。
楽しんで頂けたら、嬉しいです。




