1 結婚式に参列しに来たはずなのに
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なんで、こんなことに?
従姉妹の結婚式に来たはずなのに。
私がウェディングドレスを着て花嫁になっている。
名前?名前のせい?
数ヵ月前、母方の祖父の養女になった。
アメリア・スタンリー伯爵令嬢から、アメリア・ラッセル侯爵令嬢と名前が変わった。
従姉妹である伯父の娘の名前が、アメリ・ラッセル。今日の本来の花嫁の名前だ。
孫娘の結婚式に来た養父であり祖父の前ラッセル侯爵にエスコートされて、今、アメリアはバージンロードを歩いている。
祖父の腕に手を添えている。アメリアの手は震えている。
祖父の手も震えている。
バージンロードの先に、新郎がいる。
ついさっき、新郎側に花嫁の変更を伝えたばかりだと言う。
新郎様とは、面識がない。名前しか知らない。
アメリは金髪の美女。派手な美人。恋人と逃げたらしい。
私はミルクティー色の髪。どちらかと言うと、地味な顔だと思う。
瞳は同じラッセル家の翡翠色だけど。
ベールをまくって、幻滅されると思う。
ウィンダム公爵家も面目を潰されるよりも花嫁交代の方が良かったらしく、了承してくれたそうだけど。
どうなるの?私!
頭は混乱の極み。私も逃げ出したいよ!
バージンロードを祖父とゆっくり進む。
右側が花嫁の親類縁者の席である。
なので、右側の参列者達がヒソヒソと話している。花嫁交代を伝えてもらっているのだ。ビックリだろーな。
困惑、気の毒そうな顔でこちらを見ている。
アメリ・ラッセルは花嫁控え室に置き手紙を残して、恋人と出奔したそうだ。
今日はラッセル侯爵家令嬢とウィンダム公爵家嫡男との結婚式。
我が国ランデガルド王国の王族も参列に来てくださっている。
ウィンダム公爵家の縁戚のルドガシア王国のライオネル王太子も、参列なさっておられる。
新郎のお祖母様はルドガシア王国王女様なんだって!!現ルドガシア王の姉君なんだって!!
王族の方々、さらに多数の貴族家がお祝いに来てくださっている。
ラッセル侯爵家の花嫁が逃げたなど、言えるわけがない。
新郎側に体調不良で急遽、花嫁が交代になりました、と伝えたそうだ。いいの??!!
新郎はアメリに惚れ込んでるんじゃないの??
だから、私は花嫁役だけ、今だけだよね!そうだよね!
先程まで、私は参列者のはずだったのに。
豪華な結婚式に呼ばれて、ウキウキだった。
素敵な殿方との出会いがあるかもね、なんて少し期待もしていた。
ドレスアップして、参列者の溜まり場にいたのだ。
そこで、旧友や親族の同年代のお嬢さん達とおしゃべりしていたら。
ちょっと前には満面の笑みの伯父上と祖父が、別人の顔面になって私を探しに来た。
血走った眼の伯父と祖父に拉致されるように花嫁控え室に連れ込まれた。
「アメリが恋人と逃げた」伯父上。
花嫁控え室で、伯母上が失神して寝かされていた。
祖母は虚ろな目になって、ブツブツ呟いている。
耳をすませて聞くと「終わった。ラッセル家は終わった」と繰り返し言っていた。
つい先程までのお祖母様とは様相が違っている。お年を召しても凛とした淑女のお祖母様だったのに。今は、目が空を彷徨って焦点が合ってない。ヤバい。
「すまない。アメリア。アメリの代わりに花嫁になってくれ!名前が似てるから大丈夫だ!」祖父。
「花婿側に伝えてくる!」と伯父と祖父は出ていった。
承諾してないよ!私は!
しかし、それしかない事は私にもわかる。
「フィリップ様はアメリ様の捜索に行かれておられます」侍女が教えてくれた。
フィリップはアメリのお兄さん。
事の展開に付いていけず、真っ青になり、口をパクパクしてる間に。
ラッセル家の侍女達にウェディングドレスを着せられた。
アメリより小柄な私。
ドレスを着せられながら、あちこち詰められた。特に胸。
ものすごい豪華なウェディングドレスだ。繊細なレースが袖や裾にふんだんに使われている。
トップデザイナーがアメリのためにデザインした、らしい。
あちこちに真珠が縫い付けられている。ヒイィ!高いよね!
トドメにズッシリ重いダイヤのネックレスを付けられた。
傍目には素晴らしく豪華な幸せ花嫁の出で立ちだろうけど。
今の私には囚人服と首枷だった。
髪を華やかにセットされた。
髪にも真珠やダイヤの飾りのティアラ。
そして今。
ブーケを持たさせられて、祖父とバージンロードの上にいる。
アメリア・ラッセル18歳。
人生は驚きに満ちている。思わぬことが起きるよね。
でもね、予定外にも、程があるでしょう!!
助けて!
神様!
って、今から神様に嘘をつきに行く私。助けてくれるわけないか、、、、。
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