いきなり女子会
別れは、割とあっさりしていた。
アリサが用意していた花束(後で聞いたところによると、学園内や移動中の時に少しずつ作っていたらしい。すごいな)を渡し、少しづつ挨拶をして解散となった。
私は疑問を持っている。
ドルチェとソーレンのことだ。
今回の旅行で、二人は一回も同じ部屋で寝ていない。
二人に限ってそんなことはないと思うが、もしや喧嘩か?
帰りの馬車は二台。
それぞれ、男女に分かれている。
つまり、何か。
女子会だ。
「ソーレン」
「何?」
「ドルチェと喧嘩でもした?」
「いや?全くしてないわよ。喧嘩なんて」
ソーレンは何も問題ないと言うかのような余裕に溢れた表情で言い放った。
「じゃあ、なんで!?」
「何がかしら?」
「なんで、一回も、その……」
「ドルチェ、『ここには旧友がいる。少し、会っておきたい』って、夜はずっといなかったのよ。じゃあ、仕方ないでしょ?」
ドルチェは何を言ってるんだ?
いとしの彼女を放っておいて、旧友?
一日くらいならまだしも、毎夜?
旧友の性別も言わずに?
これが女なら浮気だぞ。
「ソーレン、浮気とかされてないよね?」
「大丈夫よ」
「なんで断言できるの?おかしいよ!ソーレンは、もっとわがまま言っていいんだからね!?」
「大丈夫よ」
「だから、なんで!」
「ドルチェの旧友、竜だもん。初日、会わせてくれたんだ」
そりゃ大丈夫だ!
「そっか。ならよかった」
「それに、別に浮気されてもいいわよ。まず、そもそも天使を人間如きが縛りつけようって言うのすら間違ってるしね。その上で、ドルチェは絶対に私のところに帰ってきてくれるから」
すごい自信だな。
そのことを確信している、そんなオーラで溢れている。
これが妻の余裕……。
「それより、他のみんなは恋愛しないの?」
「「「え?」」」
顔を見合わせる私と、オウスクリータと、アリサ。
「うちのクラスの男子って、どうなんだろ……」
「オウスクリータはフィリオが好きでしょ?」
「もちろん」
「じゃあ、フィリオの選択肢はない。ドルチェもない。なら、アロガンツァ……?」
「いいじゃない。本来は私が妻となる予定だったのでしょうけれど、私はドルチェと添い遂げる。今のうちにラブラブになっておけば、玉の輿よ?」
ソーレンは私とアリサに言った。
私はアロガンツァと恋愛する気はない。
というか、あの思想に触れても恋愛しようと思えるのはよっぽど敬虔な天使教信者しかいないだろう。
「私はする気ないわ」
「私も。今は、恋愛にうつつを抜かしている場合じゃないので」
アリサは真面目なことだな。
いつも通りだ。
「あら、そう?面白くないわね」
「悪かったね!」
女子会は、馬車が止まり、野営地を作っている時も続いた。
なんなら、寝る前も続いた。
終わりはあっけなかった。
テントに、ドルチェが迎えにきたのだ。
私たちと話している時の済ました声とは別人に思える甘々な声でソーレンがテントを出た時、自然にみんな眠りについた。
そこから一日。
私たちは学園寮内に帰ってきた。
噂によると、私たちと同じように男子の馬車でも男子会が行われていたらしい。




