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エピローグ
枯れた桜の下、眠るように横たわる男の脇に一人の女が屈み込んだ。
女は目を閉じたままの男の息を確認し、彼がすでに事切れていることを知った。
……すべてが終わってしまった。
女は、投げ出された男の腕の先にある剣を取った。そしてその切っ先を自らに向けて――
降り出した雪が眠るように横たわる二人の男女の上へ、まるで薄衣を掛けたようにうっすらと積もっていった。
一面の白に反射した光が彼等を彩る赤い色を照らしている。
音すらも包み込む静かな雪の中、やがてゆっくりと彼等の身体は白に覆われていった。
雪は降り続く。すべてを静寂の中に呑み込んで、まるで彼等が幻であったかのように――。