旧優生保護法 戦後の日本国憲法と相容れない思想
戦後八十一年という節目になにか書こうと思いましたがここまでで戦争責任や原爆など色々と書いていたので今回は送りません。ただ一つ。醜い殺し合いをさせた当時の首脳陣、国家の形に対して考え続けてNOを突きつけるのが今僕らにできる精一杯のことと思います。
s 優生保護法違憲判決のyo◯tube上のコメント欄にカスみたいなコメントがありましたね。
k 障害者に子どもを育てることはできない、という理論かな。優生学という見地から健常者だけを育てるというのが日本にとっていい方向に向かっていくものではないか、という考えのもと国による強制不妊手術が行われてきた。
でも、少し考えれば分かることを政府はわからなかったと思う。いや、わかろうとしなかったという方が正しいか。
s どういうことですか?
k 簡単な話、なんで障害というものは人類の遺伝子に含まれてきたのかといいうことだ。そして人間はそんな中で繁栄してきた。この事実は、障害者という存在が生存競争というものの中でそんなに大きなハードルではなかったということだ。
例えば、アフリカで目が見えない人に目が見えるように手術させようとしたら多くの人が反対した。本人含めてだ。その理由は奇跡を起こすからとのこと。
目が見えない代わりに聴覚が発達し、健常者では分からないほど小さな音でも拾えるため水源を見つけて井戸を作らせることができたという。
障害というハンデがありつつもそれを補うほどの才能をもつ人間が人類に大きな力を与えたという事実でもある。
そしてもう一つ、優生保護法であってはならない事があった。いや、法学としてあってはならないことが行われていた。
s 一体何ですか?
k 遺伝性の可能性が微塵もないのに強制不妊させられ、その手段も悪質化されていったということだ。
s 遺伝の可能性がない?それだったら不妊手術の意味はないのでは……
k 無い。全く意味がない。
例えばハンセン病にかかった人は強制不妊手術の対象だった(ハンセン病に遺伝性は無い)。優生手術はあくまで本人の同意と配偶者の同意が必要だが例外が広い。
「医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、任意に、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。」
「医師は、診断の結果、別表に掲げる疾患に罹つていることを確認した場合において、その者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるときは、前条の同意を得なくとも、都道府県優生保護委員会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請することができる。」
s なんか医師が勝手に判断できそうですね。
k 実際に勝手に判断できたよ。精神分裂病、現在で言う統合失調症は当時の医学知識だと結構ひどいもので「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」がなかった時代(精神衛生法)はもちろん医師の判断が必要とはいえ親が要請して優生手術をやらせることもあった。本人の意思が介在しなかったということだ。
s あと悪質な手段とは。
k 優生手術は当事者の健康を害さないようにさせる必要があった。だから最初はパイプカットのような手法だった。しかし、時代が進むに連れ子宮摘出手術や精巣摘出手術といった体に負担が大きい手術が行われるようにもなってきた。この時点でもはや「母性の生命健康を保護すること」という一条の目的すら軽視されていったんだ。男性の被害も尋常じゃないが女性に対するこの行為は法治主義の軽視にほかならない。もちろんどちらも体を勝手に国がいじるという卑劣な行為によって泣き寝入りする羽目になったことを忘れちゃだめだ。
s ここまで来るとちょっと法治主義が疑わしくなりますね。
ここに一覧を示すが、ここに示す病気、性格は遺伝が原因と言い切れないものや、遺伝だとしても強制的に優生手術(言ってしまえば国家による身体の自由の侵害)される必要がなかったものが全てだ。
母体保護法に変わるまであった差別的かつ非人道的条文を歴史として覚えておいてほしいという僕の思いとしてここに載せる。詳しい病名はしっかりと調べてほしい。
「 一 遺伝性精神病
精神分裂病
躁鬱病
真性癲癇
二 遺伝性精神薄弱
白痴
痴愚
魯鈍
三 強度且つ悪質な遺伝性精神変質症
著しい性欲異常
兇悪な常習性犯罪者
四 強度且つ悪質な遺伝性病的性格
分裂病質
循環病質
癲癇病質
五 強度且つ悪質な遺伝性身体疾患
遺伝性進行性舞踏病
遺伝性脊髄性運動失調症
遺伝性小脳性運動失調症
筋萎縮性側索硬化症
脊髄性進行性筋萎縮症
神経性進行性筋萎縮症
進行性筋性筋栄養障碍症
筋緊張病
筋痙攣性癲癇
遺伝性震顫症
家族性小児四肢麻痺
痙攣性脊髄麻痺
強直性筋萎縮症
先天性筋緊張消失症
先天性軟骨発育障碍
多発性軟骨性外骨腫
白児
魚鱗癬
多発性軟性神経繊維腫
結節性硬化症
色素性乾皮症
先天性表皮水疱症
先天性ポルフイリン尿症
先天性手掌足蹠角化症
遺伝性視神経萎縮
網膜色素変性
黄斑部変性
網膜膠腫
先天性白内障
全色盲
牛眼
黒内障性白痴
先天性眼球震盪
青色鞏膜
先天性聾
遺伝性難聴
血友病
六 強度な遺伝性奇型
裂手、裂足
指趾部分的肥大症
顔面披裂
先天性無眼球症
嚢性脊髄披裂
先天性骨欠損症
先天性四肢欠損症
小頭症」(出典、衆議院、優生保護法より)
s ちょっと待ってください、生まれつき体の形がおかしいからという理由で強制的に手術させられたのですか!
k 本当にムカつくよね。血友病(生まれつき血がサラサラで出血しても血が止まりづらい病気)などの遺伝性がはっきりしているものがあったとてだ。ふざけんじゃないよって思う。それが自分の子供を作っちゃいけないなんて理由になるのか!出血が多いから病院のコストが高くなるとかそういう考えに対してマジで苛つく。国のエゴであって国が理想と感じた人間だけを残そうとする絶対に許されない法律だと思う。
s なんか、この法律って思ったよりかひどいものですね。
k 学校の教科書に載せてほしいよ。人権侵害の中でも相当悪質な国家による人権侵害の歴史を薄れさせたら、また同じ歴史を繰り返す。
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優生保護法は戦前、刑法に堕胎という罪があったこともあり中絶や不妊手術は基本的に違法だった(国民優生法という別の法律は存在はしたが)。それを戦後合法にしようとするためにできたのが優生保護法であった。
近親相姦、強姦や経済的困窮などによる望まない妊娠から救った事実はある。
でもね、誰が健康優良児で不良って決めるのか、他人が決めることだったのかな。
全色盲というものがある。生まれつき色が分からないことで錐体細胞がなかったりすることによって起きる。優生手術の対象だった。「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする」という名目で子どもを生ませないようにさせた。
同じ生き物で色がわかる生物は一握り。一部の生物と人間が分かるだけ。
不良な子孫か……
ふざけるな。なんで他人から不良品と言われないといけないんだ!
全色盲を引き合いに出したがそれ以外も全てそれに入る。不良品が子どもを生むなという時代が違憲と認められてから数年が経つ。
育てる、産むという生物としての尊厳を奪った許されざる行為をした。
これでも、優生保護法はあるべきだと言いますか。
法と政治の無知な批判者に告ぐ。
法を知れ、政治を知れ。そこから批判を始めろ。
そうでなければタダの誹謗中傷と変わらない。
思想云々カンヌン言う前に、全条項が違法とは言いませんが、優生保護法を撤廃させるべきではなかったという人に対して言いたいことを書きました。今ある母体保護法は、生命に対する尊厳を守るものとしてあるべきはずでしょう。差別と区別は違うという人がいるのでしょうが、生命からすればどう見たって差別です。
人間はいつからか、人間を除く他の生命を軽蔑していたのではないでしょうか。優生保護法、この思想は人間の差別的思想の根源を辿る数少ない一例でしょうか。
みんなで共有して考えてほしい。




