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天界での死に方  作者: 土成 のかげ
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小人との出会い

「咲?本当にどこに行ったの?咲〜!」

本格的に柑と凛が私を探し始めた。私はここだよ。とっても小さくなってしまったから見えないのかな?大きく手を振って合図を送る。

「ここだよ!!!」

と叫んだけれど声もきっととても小さいに違いない。どうしたら気がつくかな。ジャンプしたり、足踏みしたりしてみる。


そしてふと冷静になった。そもそもいきなり小さくなるなんて現実ではあり得ない。つまりこれは夢に違いない。とってもリアルで寝る前の記憶と直結しててちょっとびっくりしたけれど、そう、夢なのだ。そう思ったらなんだかしっくりきた。私の夢は結構リアルな事が多いもいのね、うん、うん。そうだよね?


次に気づいたらひどい空腹だった。あれ、お店出た後、何してたっけ、とってもお尻が痛い。寝ぼけ眼で辺りを見回すと、だだっ広い薄暗い空間に一人で座り込んでいた。ここどこ、電車、ではないよね、でもそれ以外に帰宅途中で寝て起きる場所ってあるっけ。考えを巡らせる、思い当たるのは先程の夢だけだ。え、え、え、さっきの状況は夢ではなかったの?そんな事ってある?でもでもでも、万が一あの状況が現実だったとして、そんな中私は寝てしまったってこと?私うっかり過ぎない?本当に?何が本当?

どんなに動揺しても、怖くても、体は実直に状況を伝えてくる、とにかくお腹空いた。腹が減っては戦が出来ないからね、まずはお腹を満たそうと気持ちを奮い立たす。幸いお店のお菓子試食して回ったから何となく食べ物の場所が分かる。泥棒みたいだけど仕方ない少し頂くことにしよう。少し歩くとガラスのディスプレイだと思っていたコンフィチュールの瓶が並んでいるのが見えた。蓋がしっかり閉まっているので今の私の大きさでは開けられないけど明日の朝、開店すれば頂けるかもしれない。次行こう次、今食べられる物が必要だ。確か試食のお菓子が入っていた箱が向こうの方にあったはず、あのプラスチック蓋ならなんとかなるかもしれない。これからいつ元に戻れるのかも分からないから何としても食べ物を確保しなくてはならない。試食の箱を探してウロウロしているとジージーと機械音が上の方からなっているのに気がついた。空調かな、今の季節昼間はちょうど良いけれど夜は冷えるものね。ん?でも待って、無人の夜の店に空調は入れないよね。さっきより注意深く周りを見ていると機械音はどんどんと近づいて来るのが分かった。暗くてよく見えないので籠の陰に隠れて様子を伺うことにした。

「すみません、本日天界人になられた方いらっしゃったらこちらへいらしてください。お迎えに上がりました。」

機械音収まると、男の人の声がした。

天界人って何? 天界人になった人、と言う事はさっきまで別の何かだった人の事だろうか。静かに見守っていると、声の主が独り言を言いながら探索し始めたのが分かった。

「今日は絶対誰かが召喚されたはずなのですが。何しろ今日は特別な日ですからね。それとも時期を逸したのでしょうか。」

「どなたか、今日自分に異変が起きた方、とても小さくなった方、または大きくなった方、どんな変化でも構いません。居らっしゃいませんか。」

2つ目の状況は、まさに私だ。名乗り出るかどうか必死で考える。相手の姿もよく見えない、目的も分からない、そしてそもそも、凛や柑のように私のことが見えないかもしれない。どうしよう…ため息が溢れると同時に何と、私の腹の虫が盛大に鳴り響いた。ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!嗚呼あああ、もうおしまいだ。私の選択肢はつゆと消えた。

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