話し合いは半殺しから
背中に哀愁と怒りを背負ったメイドのショコラさんによる無双。これにより王が居るであろう部屋の見張り2名はあえなく鼻を抑えて悶絶しながら撃沈した。
最初の下手に出てへっへっへしていた彼女は死んだ。
今はもう殺戮と破壊の衝動に目覚めた狂人と成り果ててしまった。
とても悪い事をしたと思ってます、本当だよ。
お詫びにサラちゃん救出出来次第すぐにでも新たな職場を紹介しようと思う。もうここには居られないだろうから…。
ずっと続く罪悪感に苛まれながら、ショコラさんを先頭に次なる犠牲者候補である王の私室へ。
中へ入ると話し合い中だったのか皇帝っぽいオジサンと交流会で見た覚えのある男女二人それと中にも騎士が数名配置されている。
あの男女二人は確か王子様と俺と同じ聖女だったかな。
あ、目が合った。
「お、お前は…。」
「騒がしいと思えばなんだお前達?騎士は何をやっているんだ。」
王子様が何故か俺を見て凄い驚いているけどどうしてだろ?
それを無視するように王様が俺達に投げ掛ける。
「貴方を殺しに来ました。」
ちょっと待ってお姉さん。
騎士達がびんびんに剣を構え始めたってば。
「…なに?」
「だから、私に孤独を植え付けた貴方をぶっ殺しに来ま」
「はい、どうどうどう!ショコラさん落ち着いて。殺る殺らないはひとまず置いときまして王様に質問させて下さい!」
「………ふぅ、そうですね。私としたことがつい先走りました。まずは半殺しにしときましょう。」
止まらねぇ。
まだ有罪か無罪か決まっていないのに。
でも、このおっさんが戦争始めたからサラちゃんが攫われたようなものだよね………………半殺しなら良い気がしてきた。
でもでも、その前にちょっとだけ待って。
「おじさん、おじさんがこの国の王様つまり皇帝様で合っていますか?半分殺される前に答えて下さい。」
「貴様ら何を言っている?私を殺すだと?私を皇帝と知っていてそう吐くなら随分と命知らずな輩だな。」
疑問はごもっとも。
でも、さっさと答えて。
「はいはい、命知らずです命知らずです。それよりも質問に答えて下さい。このお城にサラちゃんという女の子は居ますか?貴方が指示してサラちゃん攫ったんですか?さぁどうなんですか!!」
「ちょ、ちょっと待て。矢継ぎ早に何度も問うな!サラなんておなごなど知らん。いや、まぁ知ってても答えんがな。」
これが明暗を分けた。
皇帝だっていうのに怯むことなく沢山質問してくる女の子。立場と威厳を見せる為に少し言葉を濁したのが運の尽きだった。
「………サラちゃんの居場所をご存知なんですか?」
「ふん、さぁな知っていても貴様みたいな小娘に教える義理など無いわ。」
「………ショコラさん。」
「はい。」
「半分だけ殺っていいよ。」
「えぇ、そのつもりです。」
ショコラさんは王様の元へ堂々と歩む。
けれど、それを阻止しようと躍り出る騎士様計3名。
「貴様達、皇帝陛下に対して無礼である。我々が斬り伏せてやる!」
「ウルサイ。ワたシのハナシをキイテくレナイひとナンテみンナシネバいイ…。」
「く、狂ってる…。怯むなやれぇぇ!!!」
狂人、狂った人。
狂人の危険なところは思想も感情も表情すらも狂い荒ぶること。
否、何よりも危険なのは普段理性で抑えている力の鎖を簡単に外してしまうことだ。
だから、普段は箒以上の重たい物は持てませんって言うショコラさんでも箒よりも何倍も重く硬いはずの鎧を容易に殴り壊すことが可能なのだ。
なので、騎士様達の振るった剣がことごとく砕けていくのも自然の摂理なのだ。
一瞬のうちに得物を失った騎士様方は呆然としてしまう。お花すら摘まずに労りそうな見た目の女性に剣を粉にされたら誰だってそうなるよ。
「「「な、な、な…。」」」
「フフフ、サヨウナラ。」
恐ろしく不気味な笑みでさよならを告げた。
死を悟った騎士達は己の腰から聴こえる骨の折れる音を感じながら意識を手放していった。
アリスちゃんからの注意
実際は死んでいないからね!
無駄な殺生、駄目ゼッタイ!!
あと残りは怯える皇帝おっさんと王子様に聖女のみ。




